05.屋上で
第5話です。
でわ、どーぞ
チャイムが鳴ったけど、教室に戻る気がしなくて。
一人になれる屋上へと向かった。
* * *
ーーーカチャッーーー
此処の屋上は、とっても綺麗なんだ。
傷ついた私の心をいつも、癒してくれる。
2年前、アイツと別れた時も確か、此処で泣いてたっけ。
そしたら愁君が来て、私に告白してくれて。
それで私たちは、付き合う事になったんだ。
・・・・やだな。
こんな時に愁君の事考えたら。
私の気持ち、分かんなくなる。
私は、愁君の事好きだし・・・・。
愛してる。
でも、アイツの事も・・・・大好きだ。
私がアイツを・・・支えたい。
記憶を取り戻す、鍵となりたい。
もしアイツが、2年前の事を。
少しでも思い出してくれるのなら。
私の気持ちは揺らがないかもしんないのに。
「はぁっはぁっはぁっ居た!!!」
「え」
振り返るとそこには、ドアに手を掛ける、アイツの姿があった。
「やっと、見っけた」
「え。何してん、の?」
「それはこっちのセリフ。何してんの?」
「私は・・・・ただ。」
「ただ?」
「私の事はいいの。アンタは?」
「俺は、お前を探して?」
え。
探して?
こんな勝手な私を、何で?
「謝りたかった。」
「は?」
「お、れさ。記憶がねぇんだ。」
「え」
「だからそれで、お前を傷つけたかもしれない。」
「・・・・・。」
「だから。謝りたかった。」
「優しすぎるよ・・・・。」
「え?」
「海はっ優しすぎるんだよっ。悪いのは全部、私じゃん。
何も知らないで、叩いたり、酷いこと言ったり、私。
本当、最低なのに・・・・。何で・・・・何でっ謝んのよっ」
「・・・・・・。」
「痛かった、でしょ?ごめんね」
「別に。俺、強えぇし。」
「馬鹿。こんな時にまで、強がんなよ」
「お前、さ?俺の事、知ってる?」
「・・・・知ってるよ。充分すぎるぐらい、知ってる」
「俺、此処に大切な、彼女が居るらしいんだ。
母さんから聞いた。そいつに会えば俺、記憶取り戻せると思うんだ。
だから・・・・そいつが誰なのか、教えてくれねぇか?」
「そぅゆぅのってさ?アンタ自身が見つけなきゃ、意味、ないんじゃん?」
「・・・・・・・。」
「私が教えた所で、アンタにとって聞こえるのは、知りもしない記憶でしょ?
それなら、アンタが自分で、見つけな。
じゃ、私行くわ。」
アイツの返事を待たずに、私は屋上から出た。
次回:私が好きなのは、愁君だけど。
海の事も、好きなのかもしれない。
自分の気持ちが分からなくて。
モヤモヤする。




