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恋時計  作者: のん
4/20

04.記憶を

こんにちわ。

恋那です。

この度は『恋時計』を読んでいただき。

ありがとうございます。

今回は少々長くなっております。

お手間を御掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いします。

でわ。

どうぞ。

涙が止まらなくて。

私は1人泣いていた。


アイツは。

一体何考えてんの?


“忘れんな”


って。

約束したじゃん。

覚えてねぇくせに。

何で逢いにくんの?

中途半端な事して、期待させんなよ。


私は・・・・。

2年間。

アイツを待ち続けた。

最高のシュチュエーションを期待してた。

でも。

アイツは連絡一つしてくれなくて。

私は柄にも合わず、心配してたのに。


突然転校して来て。

いきなり初対面って言われて。

私がどれだけ・・・・。

どれだけ傷ついたか、アイツ分かってない。


せめて。

2年間何してたのか。

それだけでも良いから。

私に言えよ。

私怒らないから。

殴らないから。

泣かないから。


“好きだ”


もう一度。

あの日みたいに言ってよ。


ーーーバンッーーー


「ッすいません」


女の人の体にぶつかった。


「こちらこそ、ごめんなさいね。

 あら?貴方もしかして、真希ちゃん?」

「・・・・・・え」

「覚えてなぁい?昔よく遊びに来てたじゃない」

「あっもしかして、海のお母さん?」

「そうよ。まぁ、大きくなったわねぇ」

「いえそんな事ないです。」

「あっ今日からね。息子がこの学校に通う事になったの。」

「・・・・・知ってます。」

「そう。じゃぁ、もうあの子と話・・・・・」

「しました。でも・・・・・アイツは。」

「ごめんね。真希ちゃん。」

「えっ。何でお母さんが」

「ごめんね。ごめんね」


海のお母さんは、崩れ落ちるように泣きじゃくる。


「・・・・・え、大丈夫ですか?」

「あっごめんなさい、ね」

「海に、何かあったんですか?」

「・・・・えぇ。」


「実はあの子。事故に遭って」

「事故!?」

「2年前。転校先へ向かう途中、飛行機で。」

「・・・・・・・。」

「私たちは別の便に乗っていたから、詳しくは分からないんだけど」

「・・・・・・・。」

「飛行機内で、頭を強打したみたいで、記憶が、無いの。」

「記憶が、無い?」

「えぇ。記憶喪失。2年前の記憶が全て、消えたの。」

「・・・・・・そんな。海が。」

「だから、貴方の事も、覚えてない」


“覚えてない”


そんな・・・・・。

何で、海が。

何、で。


「すぐにお医者様に診てもらったわ。

 でも。2年間経っても。海の記憶は戻らなかった。

 それは、最も大切な存在を見つけていないから。

 ・・・・・・・・そう言われたわ。」

「・・・・・・・・・。」

「海にとって、大切な存在は。

 真希ちゃん。貴方しか、居ないの。」

「・・・・・・え。私?」

「だから海を。此処に連れてきた。」

「・・・・・・。」

「もし・・・。あの子の事をまだ好きでいてくれているんだったら。

 支えてやって欲しい。あの子に笑顔を、与えてやって欲しいんだ。

 ごめんね。わがままばっかりで・・・・。」

「・・・・いえ、そんな」

「息子を、よろしくね」


涙ぐむお母さんは私に頭を下げる。


「・・・・やめてください。」

「え」

「だから、私なんかに頭、下げないでください」

「真希ちゃん?」

「私・・・・。

 何にも知らなくて。

 なのに海に酷い事ばっか言って。自分だけが辛いような言い方して・・・・。

 ほんと、最低。」

「真希ちゃんは最低じゃない。誰も。悪くない。」

「私、海を支える資格、あるのかな。

 今、彼氏だって居るし、前みたいに、元通りに海を愛せるか、自信も・・・。

 ないです。」

「・・・・ありがとう」

「え」

「こんなにも、息子の事を考えてくれて、ありがとう。」


キーンコーンカーンコーン


「あっ授業・・・・・・。」

「ごめんね?話長くなちゃって。」

「いえ。」

「それじゃあ、またね」

「ハイ。。」




次回:真実を知って。

   私が支えたいと、愛したいと思ったのは。

   

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