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恋時計  作者: のん
16/20

16.暗闇に

眠いデス。

全然勉強(しゅくだい)やってない・・・・。

やばいデス。

「え。う、み?」


慌てる私ムシしてアイツは私に抱きついたまま、泣きじゃくる。


「ごめんな・・・・?」

「どした、の?」

「思い出した。」

「えっ。」


アイツの言葉に私の頭は操縦不可能。


「2年前の事・・・・。」

「ほんとに・・・・?ほんとに思い出した、の?」

「・・・・。」


黙ってアイツは頷いた。


跳ね上がってしまう胸が私の気持ちを()かす。


アイツが・・・・。

私の知ってるアイツが。戻ってきた。


それだけで嬉しくって、涙が溢れ出す。




「っ海ー!!!!」



抱きつく私を静かに受け止めて、アイツは言う。



「ゴメン。真希の事は思い出せない。」

「え?」

「覚えて、ないんだ。」



彼の・・・・海の言ってる事は、事実ですか?

冗談じゃないの?


「ハハハ、そんな冗談・・・・」

「冗談じゃない。」


真剣なアイツの瞳は本物。


「何ソレ・・・・っ。」



こんな現実受け止めたくなくって、走って逃げる。






アイツの声はドンドン遠くなってって。

視界がぼやける。


「真希っ!!!」


そしたら後から誰かが抱きついてきて。

振り返ったら。


「愁、君?」


彼がいた。


「何、で?病院は・・・・?」

「真希の事諦めたくないから。しつこいかもしんねぇけど、俺はずっとずっと、真希の事が好きなんだよ。

 アイツみたいに、傷つけたりしない。」

「見てた、の?」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「だっさいね。私。てっきり私の事まで思い出したのかと思ってさ?

 馬鹿だね・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「本当。馬鹿だ・・・・。アイツから逃げてばっかで、愁君まで気遣わせて。怪我まで負わせて。

 傷つけて。何で・・・・?何でこんな私にそこまで言ってくれるの?」

「そんな君が好きだから。」

「・・・・・・・・。」

「君しか、考えらんないから。」


「ゴメン。時間、ちょうだい?」

「判った。俺。ずっとずっと。待ってるから。どんな結果になろうとも、真希の返事、待ってるよ!」

「うん・・・・・・・・。ありがとね。」


ちょっとだけ救われた。

ううん。ちょっとなんかじゃない。

かなり。

救われた。

愁君の言葉に。


なんか涙も乾いてきて、スッキリして。

一人であの大きな湖に向かって叫んだ。


「ばか海ぃーーーー!!!」



*** *



俺の前から逃げる様に走ってった真希。

ごめんな。

思い出せないんだ・・・・。

君の事。


どんなに母さんの事とか、事故の事とか思い出せても。

君との思い出だけ、真っ白なんだ。

君と、どんな会話したのか。君と、どんな顔で笑いあったのか。

君と、どんなふうに・・・・?どんな関係だったのか。

判らない。


でも。たった一つだけ判る事。


それは。


“俺は真希が好きだ。”



君が好きだって事は、覚えてる。

でも。それだけじゃ・・・・。それだけじゃ、ダメなんだ。


ごめんな?真希。



次回:どうして・・・・?どうして私の事だけ覚えてないのよ・・・・。

   何で?どうして?

   揺れ動くココロは今正に君に向けられているというのに。

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