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恋時計  作者: のん
14/20

14.海と愁

暑いー!!!

では、どぞー

「あ、れ。真希?」

「ッ、愁君!!!」

「愁ッ!!!」


愁君が目を覚ました。


「よかった。よかった。本当に良かった。」

「此処は、病院?」

「そぅ。病院。愁君っ私の事かばって」

「真希っ!!!君が無事で本当に良かった。」


ねぇ愁君。

何で貴方はそんなに優しいの?

私なんかを、何で心配すんの!?


「私なんかの為に、犠牲にならないでよッ」

「犠牲じゃないから。」

「え。」

「俺が勝手にした事だから。」

「何で・・・・。何でそんなに優しくするの?」

「好きだから。」

「え」

「俺は今でも真希の事、好きなんだ。」

「・・・・愁、君。」


そんなに優しく、しないでよ。

私わがままだから。

欲張っちゃうから。

だから。

私の心がドロドロに溶けちゃうような言葉。

言わないでよ。


「っ、ごめん。」


自分の気持ち分かんなくなりそうだから。

慌てて病室から出る。


ごめん。愁君。




「真希・・・・?」


後から聞こえるアイツの声が。

私の気持ちをシフォンケーキのように掻き立てる。


「海・・・・。

 ごめん。」


自分の気持ちに腹立つ。



「っ海ぃー。どーしたのぉ?大丈夫ぅ~?」


場違いな甘い声だしたアイツの声が聞こえた。


・・・・萌。


「何でアンタが?」


私の存在に気づいた萌はとたんに声のトーンが下がる。

一度は親友だと感じた彼女からの視線は冷たく、重い。


「まさかアンタ海と一緒に居たの?」


違う。

違うし。

一緒に居たかったよ?


「本当、サイッテーね。」


ーーーパチンッーーー


鈍い音が病院に鳴り響く。

殴ったのは。

私。

私が萌の頬を殴った。


「痛っ!!何すんのよッ!!!」

「それはこっちのセリフ。海の彼女面すんなよっ。

 海の記憶、かき乱すな!」

「っ。」

「何で。何で海なの?他の男でも、いーじゃん。」

「真希に言われたくない。

 アンタには、愁君居るじゃん。あたしには誰も、いない。」

「・・・・・・・・・・。」


初めて聞く萌の思い。


「彼氏いて、輝いてる真希みたいになりたいって。

 思ってた。」

「・・・・・・・・・・。」

「したら、真希の元カレが転校してくるって聞いて。」

「・・・・・・・・・・。」

「付き合いたいって思った。」

「んな事。その時言えよ・・・・。もう、取り返しつかねぇ」

「・・・・・・・・・・。」


アンタにされた事。

忘れた訳じゃないよ?


でも。

萌の気持ち、分かる気がする。


貴女はただ。

恋に溺れただけなんだよね。

昔の私みたいに。

周りが見えなくなってただけなんだよね。


「ゴメンナサイ。真希。

 もう、海には関わらないから・・・・。」

「・・・・・・・・・萌っ!!!」

「え」

「アンタの言った事、間違ってない。

 私が最低な奴だって事。

 合ってる。」

「・・・・・・・・・・え」

「アンタは、昔の私みたいなんだよ・・・。

 放っておけねぇ。」

「真希・・・・。」

「萌?私アンタ許す。だから、絶対。絶対。

 自分の命投げ捨てるよーな事、すんなよ?」

「何で?何でそんな事言ってくれるの?あたしは。親友のアンタを裏切ったんだよ?」


んなに裏切られたって。

私はアンタを許すって言ってんだ。

私の直感に間違いはねぇ。

アンタはやり直せる。


だから私は、不安定で。

やっと本当の恋知ったアンタを抱きしめる。


「っ。真希ぃ・・・・。」

「泣きな?私は此処に、いるからさ。」

「っ、ありがと。ありがと。ありがとう・・・・。」


私。

璃嘉みたいに。

なれたかな。


一瞬でもいーから。

萌の光に・・・・支えに、なれたかな。

萌の気持ち聞いたら。

どーしても。

どーしても。抱きしめずには。

いられなかった。


「仲直り、してもいいかな。」


萌が気まずそうに私に問う。


「んなの。」

「・・・・・・・。」

「あったりまえじゃん!!!」


アンタは私にとって大切な。

大切な。

友達ぢゃん。


だからね?


“ありがとう。”



何となく、礼言いたくなっちゃったんだ。




次回:貴女が居てくれたから。私は存在してる。

   そんな貴女が泣くから・・・・私も釣られて泣いちゃうぢゃん。

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