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(´・ω・`)レビュー頂きました。

 戦いが終わり、魔剣を返して颯爽と姿を消したところで一先ず川へと向かう。

 あれを「戦闘」と呼んで良いのかは疑問だが、個人の感想を言わせてもらえるのであれば「いい運動になった」程度のレベルである。

 包丁がなくなったのは少し悲しいが、命を救う対価と考えるならばあの魔法薬で十分。

 帝国産の刃物が負けているとも思えないので問題はないだろう。

 それを計5本頂いているのだからお釣りはしっかり返さねばならない。

 帝国人として釣り銭を誤魔化すようなみみっちい真似はしない。

 さて、街道のある平地を東にいった小さな森からさらに東へ行くと、レストナント川に辿り着く。

 山に近い上流なので水が綺麗で魚もきっとたくさんいるだろう。

 ちょっとはしゃぎすぎて汚れたので先に体を洗いたい。

 ついでに魚も確保しつつ汚れた手足や尻尾を洗う。

 最近エルフ監視任務から少し離れ気味なので魚を調達する機会がなかった。

 なので水浴びも兼ねてここに来たという訳である。

 久しぶりの水浴びを楽しみつつ、獲った魚を処理してクーラーボックスの中から取り出した容器に移す。

 濡れた体を自然乾燥に任せて火を起こし魚を焼く準備をする。

 その際に熱くなった着火用魔法道具に触れてしまったのだが、火を点けることができる温度のはずがあまり「熱い」とは感じなかった。

 俺は首を傾げて何度か指で触ってみたのだが、火傷することは勿論、熱さで反射的に引っ込めるようなこともなかった。


(あれ? こんなに熱に強かったか?)


 道具が壊れるのも嫌なので触るのはこの辺にしておく。

 気が付けば少し焦げた手の甲も今は元の色に戻っており、確認すると背中の傷もないように思える。


(再生力が高いことはわかっていたが、あの程度なら気にする必要もないってことか)


「流石は帝国の技術である」と理解はできなくとも取り敢えず頷いておく。

 塩を振った焼き魚を頬張りつつ、次の行動を考える。

 軍を舐めプで叩き潰した以上、カナン王国は黙ってはいないだろう。

 何もせずに隠蔽に動くという可能性もなくはないが、カナンは南のレーベレンやハイレほど腐敗した国家ではないので、その懸念はするだけ無駄だろう。

 食事を終え、一部をクーラーボックスに保存すると魚を刺していた長い鉄串を洗い移動の準備を始める。

 国が軍を動かすには時間がかかる。

 その間に別の街道で商隊を襲う。

 欲しい物さえ手に入れたらしばらくカナンからは離れる予定なので、少しくらいは派手に暴れてもよいだろう。

 もっとも、既に暴れてしまっているので誤差の範囲だ。

 というわけで次は北に移動して街道を目指す。

 時間が時間なので急げば明るい内に街道に出ることになるので、タイミングが良ければそのまま夜襲ができるだろう。

 リュックを背負って方角を確認し、一直線に駆け抜ける。

 山が近いこともあって悪路ではあるが、この肉体の前には関係ない。

 そんなわけで森を抜けて見えてきたのが、恐らくカナン王国の南東に位置する街「ハーゲン」――ここはセイゼリアに最も近い街であり、交易路も存在しているはずである。

 そこを通るであろう商隊を狙えばカナン、セイゼリアの双方から睨まれる。

 よって、ハーゲンから王都へと向かう街道で獲物を待つ。

 セイゼリアからの輸入品は当時とどれだけ変化しているかは知らないが、きっとその中に俺の食生活を豊かにしてくれるものがあるはずだ。

 王族や貴族、大商人が贅沢を止めていたらその限りではないが、その心配はする必要がないだろう。

 もしかしたら思わぬ物が手に入ったりするやもしれない。

 王族御用達の高級品とかもあるだろうと考えたら俄然やる気が出てきた。

 それなりに裕福な生まれと言えど、所詮は一般人。

 ロイヤルなあれこれを堪能できるかもしれないと無駄に興奮する。

 なので街道を遠目に見ながら走る速度も自然と上がり、暗くなるまで走り続けていた。

 そのまま走り続けたところで明かりを発見し方向転換。

 野営中の商隊を見つけたかと思ったが、どうやら野盗が集まっているようだ。

 その数は凡そ20人――武装したオッサン共が火を囲んで何やら言い争っている。

 僅かに聞こえる声から単語を拾ったところ、理解できる範囲で「商人」と「逃した」があり、どうやらこの集団は商隊を襲ったまでは良いが逃げられてしまい、ここでくだを巻いているのだろうと推測。

 なのでこのまま轢き殺す勢いで突っ込む。

 これでまた商人達から荷物を頂く理由ができた。

 叫ぶ野盗のど真ん中を突っ切り、がんがん見すぼらしいオッサンを跳ね飛ばす。

 連中の話から察するに、商隊はこいつらから逃げ切ってそう時間は経っていないはずだ。

 ならば俺の足なら余裕で追いつくことができる。

 振り切ったと安心して足を止めていたならすぐにでも発見できるだろう。

 案の定、そのまま進み続けること1時間足らず――商隊の野営地を発見。


(馬車が5台に護衛が……7人と少ないな。もしかしたら先程の野盗に殺られたか?)


 だとしたらお悔やみ申し上げる。

 だが奪う者はそのような事情を考慮しない。

 逃げられないように静かに進行方向を塞ぐように移動を開始。


(引けば野盗が、進めば俺が――さあ、商人諸君。どっちを選択する?)


 楽しくなってきた俺は上機嫌で登場。

 一瞬にして野営中の商人と護衛がパニックを起こしたところを一気に距離を詰め、一台の馬車にターゲットを定め接近する。

 馬が逃げないように通せんぼしながら馬車の中を拝見。

 臭いも確認したが、金属臭が多めなのでハズレだろうと箱に手を伸ばす。

 その中身は貴金属や装飾品がほとんどであり、恐らくセイゼリアから輸入した宝石を加工したものだろうと推測する。

「やはりこの馬車はハズレだった」と斬りかかってきた護衛を尻尾でベチコンと叩いてノックアウト。

 次の馬車はアタリ。

 近づいた瞬間臭いでわかった。

 なので馬を繋いでいた器具を外して最後のお楽しみに取っておく。

 三台目の馬車に向かうと、その上で弓を射っていた護衛の男を掴んでポイ。

 受け身を取らなければ危険な高さだが、まあ大丈夫だろう。

 馬車の中には水や食料、生活用品があり子供が二人眠っていた。

 この騒ぎで目を覚まさないのだから将来はきっと大物だ。

 息を殺して震える両親を横目に次の馬車へ向かうと護衛5人が立ちはだかる。

 なので無視して馬車の中を検める。

 気づけば3人ほど倒れていたが、俺の進路を塞ぐのが悪い。


「このぉぉぉ!」


 ロングソードを振り下ろすが、無防備な俺の背中に当たると剣が手から離れたらしく、地面に落ちる音がした。

「なまくらじゃ切れんよ」とお返しとばかりで尻尾でベチンと強めに弾く。

 あと子供が寝てるから静かにしろ。

 さて、四台目の馬車だが……中にあったのはまさかの砂糖。

 壺二つと少ないが、甘味であることには違いはないので一つ確保する。

 他に欲しい物はなかったのでこの馬車は終了。

 メインは香辛料なのでここにばかり容量を費やすわけにはいかない。

 最後の馬車へと近寄ったところでガタガタ震える小太りのおっさんが中にいるのが見えた。

 がさこそと馬車に両手を突っ込み荷物を探っているとおっさんが「やめてくれぇ」と泣き言を言う。

 泣きの入ったその姿が無性に可哀想に思えてしまい、荷物漁りを中断。

 どうせ欲しい物はないだろうと二台目の馬車へと向かう。

 おっさんが何か呟いているが、それは俺に対するものではなくて神に感謝を捧げているのだとわかった。

 取り敢えず香辛料はがっつり頂いていくのでリュックを降ろし、馬車の中の壺の中身をどんどん持参した容器に詰め替えていく。

 それを止める者は最早おらず、残った人間は皆俺が立ち去るのを神に祈っている。


(比率ではブラックペッパーが一番多いな。あとはレッドペッパーとグリーンペッパー……あんまり辛いのは好きじゃないんだよなぁ)


 粒のままというのも悪くない。

 こうなるとペッパーミルが欲しくなる。

 容器が埋まり、後は壺のまま持っていくしかなくなったので、容量が許す限り詰め込んだのでリュックを背負って本拠点に戻るとする。

 走り出すと背後から神に感謝する言葉が聞こえてきたが、俺に対しては罵倒のみだ。

 仮に彼らがあの野盗に襲われており、そこに俺がやって来て助けたとしても同じように神に感謝するだろう。

「モンスターに助けられた」という理解不能な事実は「神の奇跡」で片付けられる。

 有史以来、人間とモンスターは常に殺し合いを続けてきた。

 その関係が変わることなどこれからもない。

 それだけの死体を積み上げてきたのだから、何を言おうが今更である。

 せめてモンスターの研究でもしていれば話は違うのだろうが、そんなことができたのは帝国くらいなもので、少なくとも周辺国でそのようなことが行われていたという記憶はない。

 それ以前に昔のままなら、モンスターに知性があることを認めている国など存在していない。

 事実はどうあれ、国家が「認めない」と言っているのだから、この件に関する議論などやるだけ無駄である。

 ちなみに、それはあくまで人間の話であってエルフは別だ。

 あいつらはそもそもモンスターを「敵」とすら認識していない。

 言い方を変えよう。

 敵ですらない。

 種族のスペックが高すぎてモンスター如き敵にならないのだ。

「ドラゴン呼んでこい」と言いたいが、そのドラゴンが近寄らないのである。


(そんな連中と10年以上戦争続けてたんだから帝国ってすげぇよな)


 こう考えれば人間も大したものである。

 魔法ばかりに傾倒せずに科学を取り入れてさえいれば、もっと暮らしは豊かだっただろうにと、何もない平原を走る。

 そう、具体的に言えばデータディスクを作成できるくらい発展していれば、俺が抱える悩みも解決しただろう。

 それはさておき進路を変更する。

 ペッパーミル欲しさにいつものショッピングモールへお買い物だ。

 代金は帝国軍につけておいて欲しい。

 夜通し走り続ける気なので、この位置からなら明日の夜には到着するだろう。

 食料は乏しいが、寝床はあるのでそちらで一泊して本拠点に戻るとしよう。

(´・ω・`)一昨日からアクセスが急激に伸びていたが何かあったのだろうか

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― 新着の感想 ―
[気になる点] あの魔法薬 帝国産の刃物 2色?の魔法薬をゲットした経緯については触れてたような気もしますが 計5本もらったのはどちらなんでしょう?
2021/06/23 16:58 退会済み
管理
[一言] ○○を応援・支持するHPというサイトがありまして 二次小説と、管理人さんの推しの色々を紹介しております 18日に、そこに乗ってました。私もそこから
[一言] アクセスが急に伸びたのは ○○を応援・支持するHPで紹介されたからだと思いますよ。
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