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(´・ω・`)小説情報のキーワードに「覗き」が追加されました。

 恐らく……いや、間違いなくこの姿になってから最も長い時間を過ごしたであろう草木で隠蔽した崖の拠点に戻ってきた。

 少し離れていただけのはずなのに、何故にこうもこの場所が愛おしくも感じられるのだろうか?

 荷物を置き、いつものようにエルフの監視を行うべく身を隠し、望遠能力を使用して川を見る。

 丁度エルフのお姉さん達が川で遊んでいたのだが、どうやら来るのが少し遅かったようですぐに帰り支度を始めてしまう。

 時間が合わないのは仕方がない。

 潔く諦めて別の監視ポイントに向かうとする。

 残念ながらズレた歯車というのはすぐに噛み合うものではなかったらしく、現在確認されているポイントにはエルフは一人も現れることはなかった。

 時間だけが過ぎ夜となる。

 川の使用が解禁されたので、体を洗い水を汲んで魚を獲る。

 調理場へと向かい、昼の間に狩った獲物を解体して作った肉の塊を豪快に切り分け焼く。

 ついでに魚も焼く。

 ここで気が付いた。


(しまった。塩は全部向こうに置いてきたんだった)


 移動の妨げになるからと全て置いてきてしまった。

 これはうっかりミスである。

 やはり塩を入れる容器が必要であると再認識。

 ついでに水を入れる大きな入れ物や食材用の容器、食器やそれに代わる物も欲しくなってきた。

 またあれやこれやが欲しくなってくるパターンに、俺は頭を振って冷静さを取り戻そうとする。


(僅かではあるが電気は使えるんだよな……)


 使うとしたら何を拾って来るべきだろうかと電化製品を思い浮かべる。

 結局冷静にはなりきれず、その日は妄想ばかりが捗ってしまい、気づいた時には朝だった。

 昨日の残りの肉を食べつつ、太陽の位置を確認して監視体勢へと移行する。

 丁度良い時間だと思っていたが、30分くらい待つことになった。

 今日の予定は「本日の6号さん」を堪能した後、荷物を本拠点に置いてショッピングモールへ行って必要なものを確保することである。

 しばらくは忙しく本拠点と街を行き来することが予想され、この監視任務は全力を以て当たる。

 相変わらずというべきか、6号さんは日増しに厄介になるエロガキ共を相手に翻弄されていた。


(しかしまあ、よく次から次へとイタズラを思いつくもんだ)


 6号さんも子供が相手だからか強く叱ることができず、結局はいつも通りになすがままである。

 最近では事故に見せかけて胸を揉む、顔を埋めるとやりたい放題である。

 だが今日のガキ共は一味違った連携を見せた。

 まず一人が魚を捕まえ先生である6号さんに見せると、それをパスするように高く放り投げる。

 慌ててキャッチしようと両手を上げた6号さんの背後にいた二人目がすかさずパンツを掴んで一気に下ろす。

 追撃とばかりに三人目が下着を戻そうと腰をかがめたところでお尻を突き飛ばすと、6号さんは両手を水の中に突っ込んだ。

 6号さんを突き飛ばした三人目はそのまま通り抜けるように肌着を掴んでダッシュする。

 肌着を取られ、取り返そうと足を前に出したところで下着も奪われエロガキ共が離脱するとその戦果を高々と掲げる。

 6号さんは素っ裸となったのでエロガキ共の完全勝利である。

 エロガキ三人衆のその姿を女子は冷めた目で見ていた。

 将来が実に楽しみである。


(しかしこうしてみると人間もエルフも変わらんなぁ……)


 クラスに一人はいたであろうエロい奴を思い出し、子供時代を懐かしく思う。

 結局掴まったエロガキは頭に拳骨を貰っていたが、多分全く懲りていない。

 今後とも日々精進してもらいたいものだ。

 さて、見るものも見たので移動を開始。

 目指すはエイルクゥエルのショッピングモール。

 途中本拠点に寄って荷物を軽くし、積載量を確保する。

 体が馴染んだ今なら日付が変わる前に向こうにつくことだってできるはずだ。

 

(折角だ。新記録を狙うとするか!)


 ノリと勢いからの台詞だが、体力気力共に充実――いや、むしろ湧き上がっていると言っても過言ではない。

「今ならできる気がする」という確固たる予感が囁き、俺は全力疾走を開始した。




 その日の夜――まさかこんなに早く到着するとは思わなかった俺は、エイルクェルに辿り着くと同時にぶっ倒れた。

 途中から何故か意地になって全力で走っていた。

 はっきり言おう。

 めっちゃ疲れた。


(もう無理、休む! っていうか寝る!)


 俺はノロノロとショッピングモールへと向かい、以前作った寝床へとヨタヨタと歩く。

 作ったときの不格好なままの布団を集めただけの寝床は、前と変わらぬ姿で俺を出迎える。

「ただいま」と小さく心の中で呟き倒れ込む。

 十分に重ねられたマットが俺の体を受け止めた。

 しばし目を瞑って休んでいると物音が聞こえた。


(……足音も聞こえる。気の所為ではないな)


 ここを掃除してから時間が経っている。

 ならば新しいゴブリンが湧いていてもおかしくはない。

 俺は大きく溜息を吐くと、仕方無しに起き上がる。

 水を飲み、持ってきていた肉を全て食べる。

 まずは相手の姿を確認する。

 一応ゴブリン以外という可能性もあるので、確認は重要である。

 俺は未確認の足音との距離を測る。

 

(少し遠いか? これなら擬態はまだ必要ないな)


 俺はゆっくりと寝床から出ると音を確認しながら距離を詰めると予想とは違う生き物がいた。

 二本足で立つ毛むくじゃらのデッカイ生き物――熊だ。

 おまけに普通の熊じゃない。


(確か……「グランドベアー」だったか?)


 角の生えた6m近い熊を見て昔読んだ本を思い出す。

 記憶が確かならオーガすら捕食する極めて危険なモンスターだったはずである。

 正直負ける気がしないので無視で良い。

 襲ってくるなら返り討ちにするだけなので寝床に戻る。

 アレがいるならここにゴブリンが住み着くこともないだろうし、番犬代わりにはなるので生かしておいても問題ない。

 俺は寝床に戻ると念の為に入口を家具で塞いで眠りについた。

 翌朝、目を覚ました俺は体を伸ばし起き上がる。

 荷物を可能な限り少なくしたので、昨日の晩飯で手持ちの食料はなくなっており、朝飯は抜きである。

 必要なものを集めるべくショッピングモールを見て回る。

 ポリタンクを始め、食器や容器に使いそうな日用品を集めて回る。

 状態の良い物に限るのでバックヤードにある在庫から手を付けるため、少々狭い思いをしながらだが宝探しのようで悪くはない。

 一通り必要な物は揃ったか、というところで目についたのは家電製品売り場。

 俺は「ぐあ」と顎に手をやり考える。


(候補を絞るためにも何があるかを見ておくのもありだな。電力消費が大きな物は除外するとして……ああ、冷蔵庫とか常時電力を食うのもダメか。となれば――)


 手にしたドライヤーを見る。

 明らかに必要のないものだ。

 生活が便利になる省エネの電化製品を思い浮かべるが、なにせ家事など滅多にしない実家住みの人間だったので思いつくものがない。

「もうしばらくブラブラしてみよう」ということで店の中を見て回る。

 そこで目についたのが大型テレビ。


(あー、こういうデッカイ画面で映画とか見たかったよなぁ……)


 娯楽を求めるというのもアリなのかもしれないが、電力の問題以前に使えるかどうかがそもそも怪しい。

 加えてデータディスクがまだ読み込めるかどうかという問題もある。

 見たかった映画や、俺の知らない新作など非常に魅力的に思えるのだが、該当するデータディスクがあるかどうかもわからず、それが無事であるという問題もクリアしなくてはならない。

 乗り越えた時のリターンは非常に大きいが問題が多すぎる。

 候補として考えておく程度でも今は良いだろう。

 しかしそうなると他の物が魅力に欠ける。

 家電と言えば洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなどが真っ先に上がるが、どれも必要がないか条件に合わない。

 掃除機なんて使う場面がそもそもないし、冷暖房は電力消費が激しい。

 使えても扇風機くらいである。


(こうなると娯楽関係に使うのが正解か……なら音楽はどうだ?)


 考えてみたがアリだ。

 必要な物が映画に比べて少ない。

 候補が絞れつつある時、それが俺の目に止まった。


「ビデオカメラ……だと?」


 思わず口から出た「がっがーお」という汚い声が響くと同時に、これまで経験したこともないような葛藤が頭を巡る。


(しかし! それでは犯罪だ……いや、帝国はもうないのだから帝国の法では裁かれることはない! ない、が……!)


 そう、共和国には「ビデオカメラを使って盗撮をしてはいけない」という法は存在しない。

 いや、これは屁理屈だ。

 そもそも人類の英知、科学の結晶を盗撮なぞに使うのが間違っている。

 人間として越えてはならない一線を――


(あ、俺人間じゃないから大丈夫だわ)


 俺は悪魔の誘惑に打ち勝つことができなかったどころか、握手さえしてみせた。

 待っていろエルフ共!

 貴様らが倒して見せた帝国の科学力を、今一度貴様らにこっそりとバレないように披露してやる!

(´・ω・`)ノリと勢いでこうなった。修正ができるかどうかはわからない。

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― 新着の感想 ―
[一言] ビデオカメラだとおそらくズーム力は弱いから、かなり接近しないと盗撮はできないんじゃ・・・
[良い点] こういう緩いエロファンタジー増えて欲しい
[一言] ワルガキ三人は『勝利◯ポーズ!』と勝鬨をあげ、 6号さんは、『まいっ◯んぐ』と頬を赤く染めたことだろう。
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