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(´・ω・`)エイプリフールネタはないんだ、済まない。
崖上にある小さな洞窟。
その周囲は持ち込まれた木々で隠蔽されており、遠目からではここに洞穴があるとは誰も気づくことができないだろう。
ここに拠点を構え既に16日が経過しており、足りない物は作るなどして補うことでそこそこ快適な暮らしをしている。
エメリエード?
最前線都市?
あったね、そういうのも。
でも、もうどうでもよくなった。
結論から言うと、あいつら科学を捨ててやがった。
もうね、文明レベルが低下してるとかあり得ない。
大砲とか銃とかめちゃくちゃ警戒してた俺がマジで馬鹿みたい。
バリスタとかはまあ、設置されていた。
俺が知っているやつそのままの物が現役だった。
モンスターは進化する場合もあるが、特殊な個体を除き基本的に進歩はしない。
それに対する備えだから装備品等が昔と変わらないというのもわからないでもないが、被害を減らすために新しい武器や技術の開発くらいはするものだろう?
いや、結果が出ていないだけという可能性もあるので責めるのは酷かもしれないが、正直言うとがっかりした。
あと確信とまではいかないのだが、恐らくカナン王国に俺を止める手段はない。
俺が本気で攻め込んだら王都くらいまでなら余裕で進める自信があるくらいには、今のカナンの戦力の評価は低い。
正直、カナン王国には少し期待していた部分もあった。
帝国に隣接する国家の中では唯一科学を扱い、その技術水準も決して低くはなかった。
単に帝国が突出しすぎていただけであって、カナン自体は遅れた文明ではなかった。
そのカナンが旧帝国領で見つけた物から自国の技術力を大幅に向上させている可能性が十分あると考えたからこそ、俺はずっと警戒もしていたし自身の行動の制限もしていた。
でもカナン王国に対しては遠慮する必要が最早なくなったと言っても良い。
失望したとかではなく、客観的に見て脅威度が低すぎるから出した結論だ。
一応お隣のセイゼリアとの仲が良くなっているのであれば、多少の危機感を覚えなくもないが、国家の領土紛争が科学を捨てた程度で解消されるとはとてもではないが思えない。
魔法技術に関しては間違いなく上がっているであろうことは、飛行船を飛ばしていることからも窺える。
もしかしたら年代物を使用した、もしくは未だ技術が残っている可能性もあるにはあるが、あの程度の物ならどの国も作っているし、どこも成果を出していない。
エメリエードでのモンスターとの戦闘は見たが、魔術師の数が明らかに増えていたことからもそれが窺える。
問題はその質だ。
全員揃って棒立ち詠唱という遠目でわかるお粗末さには、如何に魔法に関して無知な俺でも溜息が出る。
つまり魔術師が砲台の代わりというのが、現在のカナンの戦術となっているわけだ。
俺なら間違いなく前衛無視してそこに突っ込む。
言いたいことは色々あるが、恐らく魔法と科学を両立していたが故に、片方を捨てたことで未熟な技術体系が露呈し、発展が遅れていると解釈してやるのが精一杯である。
街を見ても、出入りする商隊を見ても、どこを見ても「科学」の姿が見当たらない。
完全になくなったわけではないのだが、もうどうでもよくなった。
もうこの国には期待しない。
だから共和国へと向かった。
そこで俺を待っていたのは、聞きしに勝る「自然崇拝」っぷりだった。
最初は「こんな連中に帝国は……」と憤りもしたが、エルフが戦う姿を見てわかった。
「ふざけんな、このトンデモ種族が」と言いたくなった。
ゲームなら台パンしてるレベルの理不尽さだった。
そもそも魔法というのは詠唱を必要として発動に時間がかかるものである。
それだけのリスクを払いながらもその威力が帝国の兵器にも引けを取らなかったからこそ、各国はそれなりに戦えていたのである。
ところがこのエルフ共は詠唱なしで魔法を使う。
しかも人間が使うものに比べて威力が高く、使用回数の底が見えない。
俺でもすぐにわかった。
「あ、こいつらやべぇ」と――
そんなわけで現在は共和国の国境らしき川の近くの崖上に潜伏している。
調査のために何度か川を越えてみたのだが、警戒網を抜けるのが中々厳しそうだったので奥に進むことができないでいる。
それでも集落とでも呼ぶべきものを幾つか発見しており、他にも町と呼べる規模の集団が生活する場所の特定もできている。
また10日間に及ぶエルフの行動範囲の観察により、現在の拠点の安全性は確かなものとなった。
具体的に言うと、エルフは川を渡ってこない――つまり、ここが彼らが認識している国境でほぼ間違いない。
少なくともエルフが東へ領土を拡張しないのであれば、この隠蔽された拠点に来ることはないだろう。
問題があるとすれば、火を使う時は時間と場所を考えなくてはならないことだ。
とは言え、主だった不満は現在のところその程度のものとなっている。
何故ならば、ここには楽しみがあるからだ。
そろそろ時間なので定位置で伏せると川の方をじっと見る。
しばらく待っているとエルフの子供が川に向かって走ってきた。
それに続くように8~12歳くらいの子供が10人ほど到着すると、少し遅れて大人のエルフがやって来る。
毎日決まった時間にやってくるので、川で水泳の授業でもしているのだろう。
子供は男子4人に女子6人で、大人はエルフの女性が一人だけ。
たまにもう一人いる時もあるが、その時は座学もしているようだ。
川に到着した子供たちが引率の大人が何か言った後、元気良く片手を上げると服を脱ぎだす。
脱ぎ終わった者から順に川へと入っていくのだが、こちらには興味なし。
男も混じってるしな。
本命はこちら――大人のエルフ。
見た目の年齢は20代前半でストレートのロングヘアの金髪美人。
彼女が脱ぐと白い肌着越しに大きな胸が揺れた。
俺は彼女のことを「6号さん」と呼称し、毎日この時間にやって来るのでこうやって待機しているのである。
大人も子供も白くて薄い肌着で川に入っており、水に濡れれば当然透ける。
生地が薄いこともあってか、肌に張り付くとバッチリ見える。
たまに男子が先生にイタズラするが如く、服を後ろから思い切り上に持ち上げる。
肌着に引っかかって弾けるように弾むたわわな果実には怪物の俺もご満足。
「けしからん男子だな、いいぞもっとやれ!」と心の中で声援を送る。
この距離ならば望遠能力を使えば十分見えるのだが、俺としてはもっと間近で見たい。
血の涙を流す勢いで願いながら能力を使ったことが幸いしたか、俺の望遠能力は進化を遂げた。
要するにもっとドアップでおっぱい見たいと歯を食いしばりながら能力の限界に挑み続けたら成功した、というわけだ。
エロのパワーって凄いよね。
さて、この6号さんはおっとり系なのか、よく子供のイタズラに引っかかっている。
というより、明らかに男子はそういう目で見ており、常に隙を窺っていると言っても良い。
そんなこんなで1時間ほどテレビ番組でも見るかのように、時に声援を送りつつ目の保養をする。
その後、狩りに行って朝食を済ませた後は軽く周囲を探索しつつパトロールをする。
実はこの川から然程離れていない場所にゴブリンの巣があった。
当然殲滅したが、他にいないとも限らないのでこの時間はこの辺りを嗅ぎ回り、生態系の確認も兼ねて巡回しているというわけだ。
そして太陽が真上になった頃に拠点に戻ると、再び定位置に伏せて待機。
今回はタイミングが良く、丁度川に到着したところだったようだ。
(1号、2号、2号、3号に……4号だな)
5人のエルフ達が服を脱ぎ川に入ると水を掛け合ったりして遊び始める。
見た目14~18歳くらいの美少女達が裸で水浴びをしているこの場所は、何を隠そう「女性用水浴び場」である。
ここは女性用だが他の場所には男性用もあり、決まった時間帯に遊びに来るエルフをこうして眺めることができるのがこの拠点の良いところである。
ちなみに夕方前になると大人の女性がやって来る。
その中には6号さんもいることがあるので見逃すわけにはいかない。
自然に溶け込むように裸になる辺りに「自然崇拝」の真髄を見た気がする。
俺はここに拠点を作り、念入りに川を探索し続けることにより合計5箇所の水浴び場と3箇所の覗きスポットを作成した。
また場所によって利用される時間が微妙に異なるので、最大で一日7回の覗きチャンスがある。
時間が被っているのもあるので全部を回ることは不可能なのが残念だ。
なお水浴び場の5箇所のうち2つは男性用で、それにすぐには気づけず時間を大分無駄にした。
こうしてここで覗きをしていてわかったことはエルフの胸の大きさだけではなく、この周辺の集落の人口も大体ではあるが把握できた。
その数は200人前後と推測しており、町のエルフを含めた場合はどこまで増えるかは未だ不明。
引き続きこの拠点で観察を続け、エルフに関する情報の収集を継続する。
おっと、第二スポットがそろそろ時間だ。
こちらの観察はまだ続けたいが、恐らく今日は5号トリオがいるはずなので隔日利用を確定させるためにも、今回はそちらに行かねばなるまい。
新兵とは言え元帝国軍人――職務全うのため、最大の脅威たるエルフをしっかりと隅々まで観察する所存であります。
多分次回は別視点。




