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(´・ω・`)そろそろ週二くらいに戻せそう

 真っ向勝負がしたい俺と正面からぶつかりたくない虫との壮絶でもない追いかけっこ。

 相手の全体像を拝めたから「さあ、ここからが勝負だ!」と意気込んだところ全力で逃げられた。

「お前のその威嚇のような行動は何だったんだ?」と思わなくもないが、こちとら自然界の頂点付近。

 いやー強いって罪ね、と前もこんな風に逃げられたことを思い出す。

 見事に意表を突かれた俺は「逃げるな」と追いかけるが、要所要所であの紐みたいな糞長い針が付いた尻尾で攻撃してくるため、その都度足を止めての迎撃となり中々接近戦に持ち込めない。

 そして鬱陶しいことに虫の分際で地形を実に有効活用してくる。

 有体に言えばこの体のサイズが足を引っ張った。

 崩壊しているとは言え、ここは元軍事基地であることからそれなりに建造物が存在しており、通り抜けることができない箇所が所々ある。

 そこを上手く活用され、距離を見事に離されていると言うわけだ。

 しかしながらそのような場所は一度使えば俺が通れるように拡張される。

 同じ場所は使えず、次第に縮まっていく距離にほくそ笑み、俺はついに背後から襲い掛かる尻尾を足を止めずにタワーシールドで弾き、サーベルを振り上げ飛び掛かる。

 着地と同時の一撃――回避し損ねた虫の足が少しばかり短くなる。

 追撃とばかりに着地モーションをキャンセルするが如く、更に一歩前に踏み出し盾で殴りかかるが、丁度相手の反撃とかち合わせたので防御に変更。

 鎌の一撃を防ぎ、それを跳ね上げると同時にサーベルを切り上げる。

 前へ、前へと攻め立てると背後から迫るはお馴染みと化した針付き尻尾。

 なのでこちらも尻尾で対抗。

 馬鹿正直に先端を弾くのではなく、紐のような細い部分を叩き落とし、そのまま地面へと押さえつける。

 それでも軌道を修正し、こちらに向かって飛んでこようとしてるのだから、この針は有線式自立兵器か何かだろうか?

「そう言えばロボットアニメでそんなのあったなぁ」と有線対無線でピュンピュンやってた映像を思い出しながら鎌の付いた腕を切り捨てる。

 ついでにいい加減鬱陶しい尻尾も続く連撃で切断しようとしたらゴムみたいな感触でできなかった。


(なるほど……伸縮性あってのあの軌道だ。こうなるのも道理か)


 可能な限り正確に相手を分析しつつ、着実にダメージを与えていく。

 幾度となく振られるサーベルだが、俺の腕力にも耐え得る素材であるが故にその安定性は素晴らしく、刃こぼれ一つなく打ち合える。

 剣で、あるいは盾で残り一本となった鎌を弾き、時折放たれる尻尾も同様に対処する。

 今度こそ逃げられないように足も一本持って行く。

 確実に、だが致命傷とならないよう傷を付けつつ、目の前の練習台を壊さぬようじっくりと戦闘を思い通りに進めていく。

 そして十分な経験を積んだと判断した頃合となり、俺は向かってくる相手の欠けた鎌を盾で弾くと同時に剣を振り下ろす。

 宙を舞う最後の腕――残る三本の足で逃げ出そうとする蟷螂モドキ。

 俺は一歩大きく踏み込み、その首を切り捨てた。




 終わってみれば呆気ない。

 毒でもありそうな色合いの虫だったが、それも刺されなければ関係ない。

 仮に刺されたところでポーションを完備する俺には無意味。

 毒自体が効かない可能性もあるのだから、勝ち目など元よりなかったと言うことだ。

「良い経験になった」とご満悦の俺は周囲の状況を確かめる。

 少々破壊活動が過ぎた気もするが……まあ、問題があるわけでもなし良いだろう。


「しかし虫の次がこれまた虫か……」


 何か大量発生するような条件でも揃ったのだろうか、と首を傾げる。

 あの数の魔虫となれば何かしら前兆があってもおかしくはないと思うのだが、思い当たる節が全くない。


(まあ、この辺りにはあまり来ないからな。精々ゴブリンを……)


 ここで思い出す。

 昆虫はゴブリンの主な食料の一つだ。

 そのゴブリンを俺はどれだけ駆除したか?

「あれ? もしかしてあいつらって俺のせいか?」と一瞬考えたが、一月や二月でそんな劇的な変化など起こるはずもない。

 勿論原因の一つになっている可能性はあるが、それだけで発生するとは思えない。

 あるとすれば、条件がほとんど満たされていたところに、ゴブリンの減少が重なったことで爆発的に数が増えあのようなことになったと考える方が自然だ。

 つまり俺は最後の一押しをしただけであり、無実である。

 いや、むしろ町からそう遠くない位置で発生しているのだから、これは地域管理を怠った行政の責任と言っても過言ではない。

 無罪を勝ち取った俺は両腕を高々と上げた。

 一件落着である。

 それはそうと帝国の英知を以てしてもモンスターの発生条件は詳らかにされていなかったりする。

 傾向からある程度のことは判明しているとは言え、それを根拠とするにはあまりに脆弱だった。

 科学では解明できないが故に、帝国はモンスターへの措置を徹底していたのだが、その国土が今やモンスターパラダイスと言うのも皮肉な話である。

 成果と呼べるものもなく、調査を終えた俺は残骸と瓦礫ばかりの元軍事基地を後にする。

 それからすぐに別の虫型モンスターと出くわすのだから、これが偶然だとは思えなくなってきた。


「調べた方が良いのだろうか?」


 そんなことを呟きながら、頭部が切り離され動かなくなった角付きイナゴの横を通り過ぎる。

 取り敢えず予定通りにカナン王国の南部開拓前線拠点である町へと、魔虫の群体を大きく迂回して向かう。

 そう言えば、あの傭兵は無事に逃げ切ることができたのだろうか?




 翌日、大きく迂回しながら森を進む俺は追加で虫型のモンスターと遭遇。

 サイズは中型だったので速攻で勝負が付いたが、森の東側で数が増えているのではないかと心配になってきた。

 そんなことを考えながら北上していたら普通の動物型モンスターともエンカウント。

 未知の猿型だったが木の上からこっちを見下ろしゲヒャゲヒャ笑っていたので投石で落としたところを一刀両断。

 最初の一投で猿を動かし、その着地点にもう一発が奇麗に決まった。

 まぐれでも勝ちは勝ちである。

 ちなみにモンスターの肉は大体不味いので、食べるならばしっかりと下処理を済ませて手間をかけて調理する必要がある。

 中にはどうやっても食肉として適さないものがあるので注意が必要だ。

 この前読んだ料理本にそんなモンスター関連の注釈があったことを思い出しつつ、死体を埋めて再び走り出す。

 なんやかんやで無事目的地の西側へ到着。

 ここからどうやって輸送物資を狙うかだが……その前に寝床にできそうな場所を探すことから始めよう。

 旧帝国領、カナン王国との国境付近なら似たような基地跡があってもおかしくない。

 今日は生憎の曇り空、屋根のある場所を探さねば。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここ数話で色々白骨遺体が登場しましたが、後々関係してくるかどうか心配。 特に親子の遺体とか。
[気になる点] 何故食べない? 対象ならちょっと舐めるだけで食欲爆発と分かってるんだから試すのも秒でしょ?
[一言] キメラかもしれないって思ってたのになんで食べないんだろう
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