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(´・ω・`)ただいま。ようやくリアルが落ち着いてきたので再開。記念すべき100回だけと特に何もないんだすまない。

 夜が明ける。

 とは言ってもまだ薄暗く、最後にエルフが明かりの魔法を点けてくれてから3時間ほど経過している。

 あまり遅くまで起きてもらうのもどうかと思い、程々に留めて置いたつもりなのだが、数名は寝ずの番として俺を見張っていたのでいらぬ気遣いだった。

 伝えてしまったものは仕方がないので、明かりが消えてからは星空を見上げてぼーっとしていた。

 暗い中を無理して読む必要はないと横に置いていた本を手に取り続きに目を通す。

 エルフの言語にはまだまだ馴染みが不十分ではあるが、持ってきてもらった本は子供向けのものがメインだったので読むことに苦労はない。

 しかしこの体を見て「児童用の本」を読み物として渡すという選択をしたエルフには少なからず驚愕を覚える。


(まあ、確かにエルフ語覚えて日が浅いけどさー……内容が内容だけに時間潰しになるかというと微妙なラインなんだよなぁ)


 せめてもう少し文学的なものだったならば格好もついたのだが、夜中に絵本を読むモンスターというのもこれはこれでホラーめいた光景である。

 そんな訳で「学術的な本はないか?」とメモに書いてこちらを隠れて監視しているエルフに向ける。

 しばらくすると、三冊程本を持ってきた女性エルフがおっかなびっくり俺の手が届く範囲に本を置いて足早に立ち去った。


(2号だな)


 そんなに怖がらなくても良いと思うのだが、とデータの蓄積により気持ち精度の増した観察眼で見送る。

 さて、早速本の中身を拝見したところ、どうやら魔法に関するものと数学の教科書のようなもの、それと農業について書かれているものだと判明した。

 迷うことなく魔法に関する本を読む。


(農業関連も捨てがたいが、それは十分な寿命が確保されてからだ。今は最も有用な知識となるこいつを選択する)


 そう意気込んで読書を開始したわけだが……書かれている内容を理解することは残念ながらできなかった。


(というか明らかに入門書とかそういうレベルの話じゃない。どうみても中級とかそんなやつだ)


 こんなもの理解できるか、と叩きつけたくなったが我慢。

 これは魔法に関しては完全なド素人である俺にはまだ早い代物だ。

 ふと「入門書を読めば俺にも魔法が使えるのではないか?」と考えたが、果たしてエルフがそれを許容するかと言えば……難しい話である。

 6号さんならOKを出してくれそうだが、氏族外の周囲を納得させることができるかと言えば、とてもではないができるとは思えない。

 あまり迷惑をかけるのもどうかと思い、ここは素直に諦める。

 そもそも「帝国人の俺が魔法を使えるのか?」と問われれば首を横に振るしかない。

「試してみなければわからない」という者は多いだろうが、大抵の帝国人は一度は試している。

 十代前半、または半ばには誰しも一度は「魔法、入門」等の単語を検索して実行に移しているものなのだ。

 その内容が間違っている可能性を考慮すれば、エルフの持つ書物から正解に辿り着けるという考えもできる。

 しかしこの俺に魔法を使わせることをこの世界は良しとはしないはずだ。

 エルフとの共生を視野に入れている現段階では、彼らの不利益は控えるべきである。


(ただしダメおっぱい、お前は除く)


 むしろあのおっぱいは俺とエルフの関係を円滑にするために犠牲となるべきだ。

 正直、それ以外にあの低スペックエルフを有効活用する術が思いつかない。

 エルフ達の賢明な判断に期待する。

 そんなことを考えながらも、何か有益な情報はないかと魔法書を頑張って読み解く。

 残念なことに今の俺に有用なものは何もなかったが、わかったことが一つある。

 どうやら俺を支配の魔法で縛っていた人物の関係上、魔法に関する単語や用語について理解できないものがほとんどなかった。

 あのクソババアに感謝するつもりは微塵もないが、嬉しい副作用ではあるので有効に活用していこう。

 それからしばらくして……「ぐぁ」と小さく一鳴きして魔法書をパタンと閉じる。

 一冊読み終えたわけだが原理もそうだが理屈がさっぱりわからない。

 書かれている内容の意味はわかったが、それ以上となるとさっぱりなのだ。

「やはり入門書から読まないとダメだな」という当たり前の結論を出したところで、日はしっかりと昇っており、朝食の支度をしているのか良い匂いが漂ってくる。


(エルフは普段どのようなものを食べているのか……興味があるな)


 当然お客様である俺の分もあることに期待が高まる。

 というか用意されてなければ狩りに行かなければならないので、そのようなことはないと言い切って良いだろう。

 しかしここであまりがっついてしまってはいけない。

 久方振りの文明的な食事とは言え、まさに獣が如くかっ食らえばこれまでに積み重ねてきた評価が覆る恐れがある。

「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、ここはエルフ流での作法を重んじるべきである。

 さすれば6号さん辺りの評価が間違いなく高くなる。

 色々と仲良くして損はない人物。

 既にお気に入りに登録されているだろうが、好感度はどれだけ高くても問題はない。

 折角なので農業の本も目を通してみたが、こちらは知らない単語が多かったこともありさっぱりだったので早々に閉じることとなった。

 そうして本と目の両方を閉じて空を見上げていると、屋敷から出てきたエルフの男性がこちらに向かって歩いてくる。

 聴覚でそれを察していた俺は閉じた本を横に置き、首を動かして用件を聞くように彼に視線を送る。


「飯はどうするつもりだ?」


 男は必要以上に近づくことなく、何かあれば対処できるであろう距離を保ちそう尋ねる。

 俺は少し考える素振りを見せるとメモ帳を取り出しサラサラとエルフ語を書き、出来上がったもの指で摘まむ。

「そちらと同じものを頼む」と書かれたメモを見せると怪訝な顔をして屋敷へと戻っていった。


(おや? もしかして朝食を出すつもりがなかった? それとも同じものを食べようとするとは思わなかった?)


「まあ、どちらでもよいか」とエルフの朝食が来るのを待つ。

 エルフが普段どういったものを食べているのか少々興味があったのでちょっとワクワクしている。

 そんな訳で待つこと15分――出てきたのがパンとスープとサラダ。


(……まいった。普通過ぎて反応に困る)


 実は味が……という可能性もあるので、まずは俺にとっては一口サイズのパンの半分程食べてみる。

 結果は俺の知っているパンに比べてモチモチした食感のものだった。

 ただ小さい。

 故にその食感を存分に堪能することは難しく、総評としては「まあ、こんなもんか」と期待通りのような期待外れのような微妙なラインとなった。

 とは言え、人間だった頃なら楽しめていたであろうものである。

 次にスープだが、味付けは干し野菜やキノコから出たダシに塩で味を調えたあっさり風味。

 この大きな手に合うスプーンがないので器に直接口を付けることになるが、きちんと溢さずに飲むことができている。

 朝食としては間違いなく合格なのだが、やはりと言うか量が少ない。

 その気になれば一口でいけそうだ。

 最後にサラダは洗って切っただけの生野菜。

 こちらも一口でいけることから、どうやらエルフは少食であることがわかった。


(あ、もしかして「同じもの」と言ったから同じ量だったのか? それであんな表情をしていたのか?)


 ふと先ほどの男の反応の意味を察する。

 訓練兵時代の俺からすれば、人間時代でもあれなら二人前は余裕で食える。

 ましてや今のこの図体では少ない、というより間食程度の食事となる。

 エルフ語にもっと理解があれば間違えることはなかっただろうか?

 そんな事を考えながら朝食を終える。

 久しぶりの文明的な食事だが、この量では物足りないことは確かである。

 ちょっとお代わりを要求してエルフの反応を見るのも良いかもしれない。

(´・ω・`)コロナと猛暑って相性が悪い。

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― 新着の感想 ―
[一言] おかえり!
[一言] お帰りなさいませ。 マスクと猛暑は本当に洒落になりませんね。 お体には十分気をつけてください。
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