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第5話〜天使様は黒〜

怜侑君の店主パートです。


さて、それではどうぞ

「…よし、準備よしっと」


さて、今日も元気にお店を開店させるぞ〜。

ちなみにだが、平日うちの店は基本15時開店の22時閉店である。


本日は特別に18時開店にしているが、それもこれもテスト返却という悪い文化があるからである。


「お疲れ様、怜侑君。」


そう俺の後ろから声をかけてくる彩月。何故彩月がいるのかと言うと、彼女と一旦別れたのだが、別れて30分後に


「怜侑君、もうお店来ちゃった」


と言うLINEが入ったのだ。仕方が無いので2階に案内して適当にしてもらっているというわけだ。(うちは1階が施設、2階が生活部屋となっている。)


「本当に疲れるのはこれからだからまだまだ全然。それより、開店してる間ずっと1人にさせるけど本当にいいのか?見てても退屈するだけだぞ。」


「そんな事ないよ。それに、怜侑君って謎多いし。普段どんな感じでやってるのかって気になるじゃん」


「はいはい、さいですか。彩月がいいなら俺はいいけど。」


「私はゆっくり見てるから、頑張ってね!終わったら一緒にご飯だからね!」


「分かってるよ、忘れたりはしない。じゃあ、頑張ってくる」


そう言いながら時計を見る。時間だ。今日は楽しみがあるので頑張れそうだ。


「よし、開店…っと、おお、大坂さん。いらっしゃいませ。」


早速お客様が来たようだ。と言うより、この大坂さんは常連さんでこの店が開店する頃にはもう来ている。他にも常連さんが居らっしゃるが、全ておばあちゃんがやっていた時からの常連さんだ。


「いつもので頼むよ。それからビールと黒豆。」


「はい、ビールと黒豆どうぞ。いつものはすぐやるね。」


大坂さんはいつも頼むものが決まっている。ビールと黒豆を頼んで、先にそれを食べつつあとから来るお刺身盛り合わせをあてにビールを飲むのだ。いつかやってみたい


「はい、お刺身盛り合わせね。」


「おお、ありがとう。」


そんなこんなで、俺の店主タイムが始まったのだった。


一旦最後のお客様が退出すると、時刻はもう21時50分だった。

今日もたくさん人が来てくださったな…あと10分か。もう来る人もいないだろうし、そろそろ軽く片付けようかな…と思っていたら、2人組の夫婦が入店してくれて。



「いらっしゃいませ!お好きな席へおすわり下さい」


そう言うと、目の前の席に座ってくれる。俺はすかさずお冷をおいた。


「メニューはこちらになります。お決まりになりましたらお呼びください。」


「すまないが、私達はここは初めてでね。おすすめを頂きたいのだが…」


「それでしたら、海鮮定食は当店のおすすめになります。また、パスタなんかもございますが」


「では、私は海鮮定食を頂こう。…明梨は何にする?」


「なるべくあっさりしたものが欲しいんだけど、何かありますか?」


「そうですね、でしたら、お寿司なんかはさっぱりしているかと。生ハムサラダと言ったものもあります。あとは蕎麦ですかね」


「あら、じゃあお蕎麦を下さい。」


「海鮮定食とお蕎麦ですね、かしこまりました。少々お待ちください。」


うちは和食を主に取り扱っているが、和食しかない訳では無い。パスタなんかはぶっちゃけ作るのが楽な部類だし。


お蕎麦を茹でてる最中に魚をきる。今日の海鮮定食はイカにマグロとサーモンのお刺身、そしてタイという無難なものだ。そこにお味噌汁と、うちは飯に酢飯を出している。


珍しいだろうが、祖母が酢飯が好きで出していたものがそうなのだ。あと、刺身の量が多いというのもある。


「お待たせ致しました。海鮮定食とお蕎麦です。…ごゆっくりどうぞ」


「ありがとう。頂きます。」 「頂きます。」


何故だろう、ずっと見られてたような…まあいいか。邪魔にならない程度に片付けよう。


俺が調理器具を洗い終えた辺りで、先程の夫婦が声をかけてくれた。


「美味しかったよ。ありがとう。いい腕をしているね。」


「ありがとうございます。そう言っていただけて何よりです。」


「これなら、うちの子も任せられる。」


「…うちの子??」


何となく、本当になんとなくだがとても嫌な予感がする。うちの子って言った?今仲良くしているの、一人しかいないんだけど…


てか、え!?よく見たら彩月に似てる!?何故気が付かなかったんだ俺ぇぇぇぇ!


「ははは、気が付いたか。彩月の父と母だよ。珍しく娘が外食したいと言い出したものだからどんなことかと思えば…事情は、だいたい娘から聞いている。彩月をよろしく頼むよ。」


「彩月、いるんでしょう?あんまり無理言って困らせちゃダメよ。」


「分かってるよお母さん。…お疲れ様、怜侑君。」


「あ、ああ、ありがとう。」


「では、私たちはこれで。…彩月、大事にしなさい。…」


「毎度、ありがとうございました。また来てください!……さて、」


とても、とってもびっくりしたがそれはそれ。彩月にゆっくり話を聞くとするか。


「彩月、もしかして知ってたのか?」


「……なんのことだろう?ねえ、それより早くご飯食べよう?遅くなっちゃうよ?」


こいつは黒だな。グルだ。…飯を食べながら聞くとしよう。

次はイチャイチャさせるぞ〜(決意)


続きが気になる方、読んでやってもいいという方はブックマークを!

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それではまた、次のお話で会いましょう

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