第30話〜店主と天使の、小さな1歩〜
30話でとりあえずの区切りということで。次から怜侑くんの方も意識して行きますので。
それではどうぞ!
「ありがとうございました〜!」
「お疲れ様、ちょうど客がいないから今のうちにちょっと休んどきな。」
「いいの?他にやることない?」
「あるにはあるけど急がなくてもいいものばかりだし、疲れてるだろう?少し休んだ方が…」
「まだだいじょーぶ!あと1時間ぐらいなら頑張れるよ!」
まあ、彩月ができるって言うならやってもらうかと思い直し、彩月にテーブルを拭いて食器を片付けて貰うことにする。
その間に自分は食材の確認や足りない調味料やお箸等の補充を行う。さあ、今日もあと少しだ。
「今日はお疲れ様、彩月。ありがとう、かなり助かったよ。」
「怜侑くんこそお疲れ様だよ。これからも頑張るから、ちゃんと…見ててね?」
「ああ、もちろん。彩月の頑張りはちゃんと見るよ」
あの後は2人組1グループのみだったのでそのまま片付けに入ったけど、最初から最後まで彩月はかなり頑張ってくれた。
なんならその後のご飯まで作ってくれたぐらいだ。ありがたすぎるな。
「それもそうなんだけど…女の子としても、ね?」
「え?それってどういう…」
意味、と言う前にじゃあね、またあした!と扉を閉めてしまった彩月。…女の子としても、か。
「はあ…。どういうことなんだろう。」
思わずそう呟いてしまう。あの後ずっと彩月の言葉の意味を考えるぐらいには頭が占領されていた。
普通に考えればそういうことなのだろう。けど、これで誤解だったらただ恥ずかしいだけだしな…。いや、でもなぁ…
それに…それに、もし彩月まで…
なんて事を考えてたら、携帯に1つのLINEが入った。
〜彩月視点〜
「言っちゃった…」
女の子としてみてなんて大胆なことを言ってしまったけど、ああでも言わないと見てくれなさそうだし。
彼は私の事を大事にしてくれてるしちゃんと個人として見てくれてるけど、そこに恋愛の感情がない。ないままだと怜侑くんを堕とすのは難しいから少しずつ意識させて行かないとね!
それと、今日から私は怜侑くんのお店で働くことになった。…本当は怜侑くんのお手伝いのつもりだったからお金を貰う予定はなかったんだけど。流石は店主、だよね。
怜侑くんは店主。高校生を続けてるのはおばあちゃんが行きなさいって言ったからであって、彼の心はお店に向いている。店主と言う立場上彼は普通の高校生よりも時間の融通が聞かないだろうし、こうやって自分から関わりを深くしないとね!
彼の助けにもなるし、将来のためにもなるし。
明日怜侑くんにあった時の反応が楽しみだなぁ♪でも怜侑くん、色々ダメな方に考えてそうだよね。LINEぐらいは送っとこ!
「えっと、なになに…?「今日はお疲れ様!怜侑くんの教え方が上手だったからすぐ覚えられたし、とっても楽しかったよ!…それから、私は怜侑くんから離れるつもりは無いからね。」か。」
上の文は自然にLINEを送るための文(それでも思った事を言ってくれてるとは思うが)で、本題は後半なのだろう。
きっと、俺が彩月が離れていく…また独りになるのを怖がっているのを見抜いてたんだろう。彩月は本当によく見ている。
世の中には孤独を好む者もおる。しかし、孤独に耐えられるものは一人もおらん。と、言うのは某有名なアニメのセリフだ。
本当に、その通りだと思う。結局俺は今の関係を失うのが怖くて先に進めないのだろう。今はまだ恋人がどうとかそういうことまでは考えられないが、それでも大切な人であることに間違いはない。
彩月を、もっとしっかり見てあげないとな。
そう決めて、LINEの返信をすることにした。
「あ、返信が来た」
内容は、「彩月もお疲れ様。正直、彩月がこんなに早く仕事を覚えてこんなに助けてくれるとは思ってなかったよ。仕事の内容をしっかり覚えられたのは、彩月が頑張ったからだ。楽しいなら、何よりだよ」
そして間髪入れずにもうひとつ送られてきた。
「…ありがとう。ちゃんと見るよ」
ふふ、ちゃんと伝わってたようで何より!明日からが楽しみだなぁ!
某有名なアニメ、私めっちゃ好きなんですよね。あのセリフは心に残ってます。
それではまた次回、お会いしましょう!




