第23話〜店主様は教えます〜
ではではどうぞ
「…って感じだ。最初の方は簡単な料理くらいは教えるけど俺が作ったものを運んでくれればおっけー。何したらいいかわかんなくなったら聞いてくれれば答えるから。」
「うん!頑張るからね!」
メモを取りつつ、やる気に満ちた顔で言ってくれる。説明すれば直ぐに理解してくれたし、わからない所はちゃんと聞いてくれるので有難い。
「程々にな。あとは給料かな。働いてくれた時間に応じてちゃんと支払うから安心して。値段は…」
確か全国の平均時給が1155円だったから、だいたい1200円〜1300円ぐらいかな。でももう少し出してもいいのかな…と思いつつ考える。
「私は怜侑くんのお手伝いがしたいだけで、お金は別に要らないよ?」
「働いてくれた分はきちんと対価を払うのが当たり前だろ?だからちゃんと払うぞ。」
はっきりと目を見て、譲るつもりは無いぞと言う。
「…わかった。でも、そこまで高くなくていいからね?」
「考えておくよ。何か質問はある?無いなら、彩月が他にやりたいことをやってくれればいいけど」
「今のところは大丈夫かな。他にやりたいことか…それなら、久しぶりに海鮮定食が食べたいぐらいかな。」
よしきたおまかせあれ、と言いつつ準備に入る。…せっかくだから、彩月に教えながらやるのもいいかもな。
「どうせ見るなら近くにおいで。一緒に作りたいならそれでもいいけど、どうする?教えておいて損は無いだろうし」
やった!と言いつつ近くにきて目を輝かせる様子を見ていると、もっとはやくからこうしてあげれば良かったのかなと思ってしまう。
「…いつもずっと見てただけだもんな。ごめんな、退屈させて」
それは、至近距離に居なければ聞こえなかった程小さな呟きだった。しかし、正確に聞いていた彩月はゆっくりと微笑んだ。
「見てるのが楽しいって言ったのは嘘じゃないよ。それに、今こうして怜侑くんと一緒に出来て嬉しいんだから気にしないで?」
「あ、ああ。」
「どうしたの??」
にやにやしながら寄ってきやがって…分かってて聞いてるな?俺はそう簡単に可愛いなんて言わないぞ。
「可愛いって言ってるの、聞こえてるよー?」
しまった、言ってしまった。…彩月にいいようにやられてしまったけど、楽しそうにしてるところを見ると嫌な気持ちなんて湧かないから不思議だ。
「可愛いって思ってくれてるんだ?嬉しいなー」
「そりゃあまぁ…彩月は可愛いと思うぞ。」
「ず、ずいぶん素直じゃん。」
「嘘をついても意味ないだろ。…はい、そろそろ出来るから皿を用意しような」
「美味しい!!ありがとうね!」
「そりゃよかった。って、半分は彩月が作ったんだから。」
「ほら、怜侑くんの分も作ったんだからいつまでもそこに居ないで食べよう?」
その言葉に応えて隣に座って食べ始める。ああ、やっぱり誰かと食べるご飯ってのは美味しいね
次の更新も早めに出来ればなーとは思っております
それではまた次のお話で会いましょう




