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正々堂々、何それおいしいの?

やべぇよやべぇよ……俺の主人の声がした。その原因と言えば、関所の奴が言った報告だ。

ナオキ襲来。マジかよ、という事態である。


「なんでなんでなんで」

「カジノ作ったら来ると思うの」

「なんで!それを!先に!言わないの!」

「韻踏みながら踏まないでくれません?」


パニックである。自分に都合がいいと調子乗るくせに、予想外の事態にはパニックになる。

もう、あわあわ!わちゃわちゃ!ふえぇぇ!って感じだ。良く分からないか。


「どうしよう、逃げる場所がない」

「逆に考えるんだ、戦っちゃえって」

「おま、戦力見てみろ!戦力!」


眷族の皆さんが、資料の内容を図解で説明してくれる。

黒板とチョークで可愛い絵と共に説明だ。多分、これが一番早いと思います。


「では説明させてもらいます」


眷族のお姉さんが眼鏡着用で黒板を杖で叩く。

ぷくー、と頬を膨らせながら俺を抱きしめて頭を乗せるルージュがそれを見る。

首が重いんだけど。


「まず、ナオキが連れてるドラゴンですが冒険者の眷族から報告がありました」

「そうです、アレはブラックドラゴンで間違いないっす」

「ブラック……ドラゴン……って何?」


芸人ばりに眷族の皆さんが転んだ。意外と余裕だな、お前ら。


「ブラックドラゴンは、闇のドラゴンって言われてるっす。気性も荒くて、一番強いと思われるっす。特徴として引き寄せたり引き飛ばしたり、不思議な魔法を使うっす」

「以上のことから、使い魔にしている可能性があります。次にペトロ様ですが、戦力は未知数。あの魔力、相当危険です」

「先輩は多分、平気。魔法使えないからね。でも、そんな魔力があるなんて……」


魔道具を使えば無双できそうである、まぁ戦力にはならないだろう。

問題はナオキの方だ。


「此方の方ではグーラー部隊を使ってそれとなく聞きだしました」

「街に来て最初が娼館って頭が痛くなりそうだわ」

「すごい売上です、先月分を超えました」

「よし、もっと送って搾り取るのよ!よくやったわ、ナオキ!」


それでいいのかよ、と言わんばかりの切り替えである。

コイツ、十字架向けたら嫌がるどころか銀だから売れるって飛びつきそうだな。

まぁ、銀の十字架なんてそうそう使わないけどな。


「それでまとめた結果ですが、まず魔法を無効化する際に敵意などが無ければ防げないようです。避妊用の魔法は効果があったみたいなので、呪術が有効かと思われます。実際にダメージを与えない形の、制限系が有効かと」

「なるほどね」

「他にはこの身体能力のブースト」


ピシ、ピシ、と大事だと言わんばかりに三頭身のナオキの絵が杖で刺される。


「魔力を込める必要があり、身体の表面へと流す必要があります。そのため、その魔力を転用して呪術の方へ回す事で、魔法無効と身体能力強化と魔法発動を防ぐ事が出来ます」

「それって、ただの人じゃない」

「その通りでございます」

「ふ、ふふふ、ふはっははー!余裕だわ、もう何も怖くない!あんな奴、瞬殺よ!」

「おいやめろ、調子に乗るな」


俺の言葉は聞こえておらず、ナオキを始末したら何食べようかとか言い出した。

おい、死亡フラグ建てるんじゃないよ!


「作戦としては、まずヤンヤン様にブラックドラゴンと戦って貰います」

「異議あり、そんなの絶対おかしいよ!」

「しかし、我々は日中は戦えません」


まさかの弱点である。俺がやるって、おい無理だろ。

しかし不思議な魔法とやらは引力と斥力だと思うんだよな。

勝てるのだろうか……


「次にペトロ様を捕獲、もしくはナオキから遠ざけます」

「そうね、戦闘に巻き込めないわ」

「最後に部屋の方に呪術を刻み、ナオキを全裸にさせて接触面を増やします。そのためにルージュ様にはひと肌脱いで貰います」

「いいわよ、一肌……脱ぐ?」

「つまり、誘惑して貰います!」


数秒の時間が経ち、一気にルージュが赤面した。耐性ないもんね、お前。

口をパクパクさせて、周囲を見る。目を逸らす眷族達に察した。


「あ、あの、それって」

「分かりかねますか?」

「アレよね?」

「アレとは何でございましょう、我々眷族はアレでは分かりません!」


そうだそうだ、と声が聞こえた。君達結構ノリノリですね。

そして、弄ばれてるぞルージュさん。


「だから……せ……す」

「声が小さいです、ルージュ様!さぁ、さぁ!」

「や、やだぁ……言いたくないよぉ……」

「我儘を言わないでくださいまし!さぁ、ルージュ様!」


怖いよ。あと、怖い。

どんだけ言わせたいのよ。


「だから、せ、せせ……」

「聞こえません、聞こえませんよ!」


その後、赤くなるルージュが泣き顔で叫ぶまでセクハラは続けられた。




作戦開始の日である、俺はブラックドラゴンとやらの目の前に来ていた。

デカイ、黒い、テカテカ、そんな感じだ。

なんだろう、コイツ俺の顔見る度に首を傾げてるぞ。


「貴様、ドラゴン……いや、犬か?」

「貴様、トカゲ……いや、ゴキブリか?」


ブワッ、と周囲に風が発生した。

すごい、威圧感を体感した気がする。


「お前、アレだろ。キメラドラゴンだろ、絶対そんな感じだよ。心が広い俺様をイラッとさせるのアイツらだけだもん」

「そうだもん!キメラドラゴンだもん!イラッとさせちゃうだもん!」

「貴様ぁぁぁ!」


ブワッ、と再び風が発生した。ヘイヘイ、掛かってこいよ。

お前、怒ってますって態度だけかよ。


「あれれ~今ここに自称心が広いってトカゲがいたんですけど」

「グッ!」

「ねぇ怒った?怒っちゃったかな?俺様、げきおこプンプン丸って!プギャー!」

「ここにいろって言われたが、お前だけは殺す!」


俺とブラックドラゴンの逃走劇が始まった。

先手、俺である。奴は自分を中心に引力と斥力を使う事が出来る。

つまり、俺は奴が引力を使った瞬間に後ろに引っ張られて逃げる事も叶わない。

という事で、全身の硬質化を発動する。今の俺はハリネズミ、この状態の俺を捕まえる事なんて出来ない。


「あっ」


身体が浮いた、前足がクルンと虚空を切る。形で言うと前転した感じになってしまう。

いかん!ということで俺は身体を丸くした、そう名付けるならば棘ローリングと言った所か、戦闘中に思いつくとは自分が怖いぜ。


「ふん!」

「ちょ!?」


やっぱり、奴の攻撃の方が怖い。

奴は尻尾を持ってバットのように俺を待ち構えていた。




世界が回る、いや回っているのは俺なのだけど。

確実にヘルニアになっちゃうダメージを喰らって俺は飛んでいる。

これがホームランボールの気持ちか。と、変わり続ける景色を見て思った。

畜生、あの野郎ってば毛が刺さったから追ってきやがった。取りあえず大の字に体を広げてみた。

素晴らしい、これがスカイダイビングか。

それにしても……


「どうやって着地すればいいんだろ」


翼を失った事を後悔した。

いや、まだ行ける!俺に風魔法を当てて湖まで行けば、何とかなる!

自分に魔法を当てながら、少しづつ湖に近付く。ちょ、アイツ早い!

もうこうなったら、取り敢えず攻撃するしかない。遠距離攻撃は俺の血を使えばいいだろ。


「おりゃぁぁぁぁぁぁ!」

「ふん、効かんわ!」


俺の決死の攻撃は血の銃弾となって穿たれる。

だがしかし、そんな物は全て反転して俺の方へと迫った。ピンチである。

いや、違う。


「お、おぉ!」

「しまった、本体まで当たっている!?」

「そ、そうだ!馬鹿め。貴様の攻撃は全て計算されているのだ!」


驚くアイツの力で、運よく俺は湖に到達して墜落した。

ぐぉぉぉぉ、腹痛ぇぇぇ……




湖の中で俺はもがく。この身体ではクロールや背泳ぎは出来ないのである。

まぁ自然と浮いて行くので、犬搔きで逃げれるのだが俺なら出た瞬間にリスキルだ。

だから水中に逃げるのだ。


「うおぉぉぉい!出てこいや!」


湖に爆発が複数起きる。

あの野郎、水が一気に蒸発するレベルの魔法バンバン撃ってきやがってる。

なんなのあの子、超こわいんですけどー!


っていうか息が、そろそろヤバい。畜生めー!魚さえ食べまくればエラ呼吸できたものを……

エラ?


「ぼべばべびぶぼ!ばっべばぶー!」


俺は出来るぞやってやる!イメージするんだ、魚をイメージするんだ。

俺は目の前で仰向けに倒れる、ワニみたいな生物を見て明確にイメージした。


「あっ、何かいた!そして、毒殺されてる!?」


取り敢えず、湖にもモンスターっていたのね。




湖の中から攻撃をされなくなったので、恐る恐る顔を覗かせる。

いた、奴だ。すごい数の針コボルトと戦っている。

何て言うか、百対一って感じだ。ボス戦かよ……っていうか、俺いらなくね?


「えぇい、邪魔だ邪魔だ!」


針コボルトが吹き飛ばされたり引き寄せられたりしている。

なんなんだアイツ、呂布かよ!一人だけ無双してるじゃないか。

俺は、少しだけ針コボルトに同情した。

待っていろ、今新しく手に入れた変身能力で!

目の前のアイツを見ながら翼を生やす。何だろう、犬の頭に魚のエラと尻尾、マーライオンに翼が生えてるみたいだ。


「あっ、やっと出てきおったか!」

「追ってくんなバーカ!」


俺はある地点まで奴を誘導する為、森の奥地に逃げ出した。

変身とはどうやら魔力を使うらしく、長くは使えない。

なので、節約を込めて翼以外元に戻した。

途中、後ろで障害物ごと噛み砕く奴がいて怖いが小回りの利く俺ならギリギリ大丈夫である。


「死ぬが良い!」


奴が攻撃してきた、しかし俺の目的地でそれはアウトだ。

俺は地面にぶつかる程、直角に急降下した。

奴の魔法はある集団にぶつかった。奴らジャイアントアントだ。

ブチュッという音と共に、蟻の尻尾が爆発。白い液体がアイツに付着した。


「キシャァァァァ!」

「チィ!貴様、ハメやがったな」


知らん知らん、聞こえない。次いでと言わんばかりにドライアドの木の近くまで逃げる。

後ろから蟻の群れに追われていた俺達の前に、巨大な蜂が群れで現れた。

よし、湖に逃げよう。まだ、俺の戦いは始まったばかりだ。


「おい来いよ、どうしたどうした!」

「クソ、何故コイツらは寄ってくる!邪魔だ!」

「残念だったな、一匹でも殺したお前が悪いんだ!」


これは戦いではない。

戦争だ、そして戦争とは数だよ。



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