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オマケ その2

綺麗なナオキくんが見たくない人は飛ばしてね。

衝撃のラストにて伏線発覚するけど本編とは関係ありません。

同盟失敗、メアリ憑依、原作より酷い状況からのスタートです

IF 主人公になりたかった男


俺を慕ってくれる義勇兵のみんな、イグニス王国の火魔法使い。

俺達は世界の平和の為に、侵略される予定のアクア王国の救援に向かっていた。

今度こそ、今度こそ助けるんだ。俺はここまでの経緯を思い出す。


「ナオキ、姫様が呼んでる」

「そうか、今いくよ」


その時、テラ王国の城に俺はいた。というのも、呼び出しが掛かったからだ。

待合室で待っていた俺を親友と呼べる子を亡くしたばかりのペトロが呼んだ。

自分のせいで両親を失って、親友は自分のせいで身体を奪われた。

俺のいない所でいつも彼女は泣いている。何もできない俺を気遣って。

俺はそれが少しだけ嫌だった。


王様の部屋に入ると皆さんが待っていた。

恐らく、報告でもあるのだろう。


「やぁ、よく来たね。実は君の言ってたことを調べたんだ」

「態々、ありがとうございます」

「あぁ、いいとも。勇者と王は対等な立場だからね」

「そう言う訳には、でも本当にありがとうございます」


勇者何て言われるような器じゃない、俺は兵士よりも弱いのにみんな俺に期待してくる。

それが重くて嫌だった。


「やはり、イグニスだろう。報告はしたけど防げないかもしれない」

「そんな、いえすいません……」

「だが、魔物の軍勢は罠とウェントスが間に入る事で防げるだろう。私の力が無いためにウェントスは滅んでしまう、すまない」

「そんな事、ないです」


俺があの時ペトロを守れれば、四天王によって同盟を阻止されなかった。

主人公みたいに戦えれば、戦争に何てならなかった。

今はお互いの戦争で疲弊し、四天王による誤解と言うのは伝わり和解していた。

しかし、ウェントスとテラ王国の戦争は大きな損害だった。

俺のせいでみんな死んだ。


「それで、確認したいんだが」

「はい、四天王のドラゴンがアクア王国を攻めて行きます。本体は大陸みたいな大きさの植物です。戦うのは分身体だけで、本体は動けません。分身体は一体だけなので、穴を開けて誰かが引き付ける間に攻撃するのが一番だと思います」

「ドラゴンか、腕がなるな」

「こらこら、マーガレット。パパの分まで残してくれよ」


笑いあう、王様と王女。だが、俺はもっといい方法を知っていた。

でも、やっぱり出来る気がしない。怖くて仕方ない。


「ナオキ、大丈夫?あなた変よ」

「ッ!?ゴメン、何でもない」


あぁ、そうだ。今度こそ守るって、守りたいって思ったんだ。

何も出来ない俺を、彼女が救ってくれたんだから俺も何か返したかったんだ。

その時、俺の中で決心がついた。

もう死ぬ事は怖くない、これが覚悟って奴だ。


「失礼ながら、提案があります!」

「なんだい、勇者ナオキ」

「私の予知では、犠牲なくアクア王国を救う方法があります」


その言葉に、おぉぉぉ!と驚きの声が沸く。

本当は、犠牲はある。でも、一番被害が少なくて誰も悲しまない作戦だ。

作戦を告げると、俺の大事な人が泣いていた。

でも、俺の吐いた嘘で安心してはくれた。彼女が人を信じすぎて危ういと思うが、今は優しい嘘に騙されて欲しい。


一年の掛かる準備期間の間、俺は彼女と距離を置く事にした。

何故なら、これから訓練をしないといけないからだ。

今までは怖くて何も出来なかったけど、初めて何かを頑張ってみようと思う。

それが、俺の贖罪だ。


俺はそれから昼夜問わず訓練した。皆が止めたが、王様の命令で続けさせた。

途中、何度も決心が揺らいだが、頼んでいたので洗脳薬で俺は訓練した。

王様には酷い事を頼んだと思う。

マーガレットに寄生して戦い。ドラゴンを食べた事もあった。

捕獲した魔物を使って禁術にも手を染めた。

才能がない、だから思ったより効果は出なかったけど自分が魔物に近付く度に強くなるのは分かっていた。


「ナオキ……なの?」


久しぶりに会った彼女は狼狽える。無理もない、髪は白く変色して身体はボコボコした物となっていた。

腕は大きいのに下半身は小さい、体の中を何かが蠢き眼球は赤と黒のオッドアイとやらになっていた。

体中にも、刺青のようなナニカが書かれている。

化け物だった。でも、これでいい。


「すごいだろ、痛みも薬で無くてさ。すぐに強くなれたよ」

「今だったら、きっと四天王も倒せるさ」

「大丈夫、みんな守るから。きっと、またみんなで笑えるような場所にするから」


だから、さ……


「泣かないでくれよ、なぁ!何の為に頑張ったか分からないじゃないか!泣くんじゃねぇよ!全部、お前の為なんだぞ!」


違う、本当は違う。全て自分の為だ。毎晩、俺に恨み言をいう彼等から逃げたくて。陰口を言う貴族に腹立って、気遣う王様たちに息苦しくて。

俺は、何かしていたかったんだ。


「お前が俺を呼ばなければ!そしたら、俺はこんな辛い思いしなくて良かった」


そんなことは無かった。確かに辛い事はあったけど、それ以上に楽しかった。

異世界に夢見て、でも思い通りにいかなくて、この世界が物語じゃなくて現実だって感じて。

飢饉を目のあたりして悔しくて、炭鉱で働く奴隷を救いたくて、だからもっと勉強しとけばって後悔して。もう、失敗しないって誓ったんだ。


俺はその後、ペトロから逃げ出すように王城を抜けた。




俺はアクア王国に着いてから王城での事を思い出していた。

アクア王国には今や誰もいない。

俺一人だ、だから泣いて喚いて暴れても咎める者はいない。


「どうやら来たみたいだな」


準備に一年掛けた俺の戦いが始まった。

作戦は簡単だ、俺が奴を引き付けて本体を無属性魔法で俺と一緒に消飛ばす。

原作では国民がいたし、苦渋の決断だったけど。

今は義勇兵のみんなやイグニスの魔法使いが避難してくれている。

だから、俺だけが犠牲になれる。


「やっぱ、怒るかな」


王様たちには話したが、ペトロは俺が助かると思っている。

使い魔は無属性魔法が効かないっていう嘘だ。

これを機に、人を疑うことぐらい覚えればいいと思う。

俺を憎んでくれれば、きっと辛くない。


「貴様、何だ?何故、人間がいない」

「予言者だ、お前の行動を先読みした」

「なるほどな、この光景を見たならば信じられるな」


茶色い身体に、人と竜を足した感じ。

何だ、リザードマンみたいじゃないか。


「さて、では他の地域に行きたいのだが同じ事をしないと言うなら見逃すぞ」

「何度もするだろうぜ」

「お前、死にたいのか?」


キュウと奴の目が細まった。爬虫類の様な目である。


「あぁ、だからタイマンだ。どんな手を使っても殺す」

「人擬きが!邪魔をするなぁぁぁ!」


奴の身体が俺を貫いた、結局鍛えても意味が無いな。


「ガフゥ……防げなかったか」

「あぁ?おい、終わりか?あれだけ言っておいて」


俺の身体の刺青が奴に向けて動いて行く。

終わり?違うよ、始まりだ。


「何だこれは!貴様ぁぁぁ!」


俺の身体が吹き飛ばされる、痛みは感じないがおかげで視界が潰れた。

肉塊になった気がする。


「魔法が使えぬ!何故だ、本体に戻る事も出来ん!」

「その刺青は、魔法を阻害する。俺は魔法は使えないから肉弾戦だな」


身体が再生されていく、ドロドロの肉体が魂に合わせて人の形になっていく。


「なんだその肉体は、スライム?いや、お前は人をやめたのか!?」

「言っただろ、手段は選ばないって」

「貴様死ぬ気か、そんなもの明日死んでも可笑しくないぞ!」

「何度も言わせるな、死ぬ気だって言っただろ」


俺の腕が奴に向かう、奴は余裕で躱すが俺の本命はパンチじゃない。

腕を引き裂き、虫の頭が奴の方へと飛んで行く。

この世界のシロアリだ。


「ぐぁぁぁぁ!?私の腕が!?」

「やっぱり、植物だから効くんだな」


俺の腕からシロアリの頭が飛びだす。腹を裂くように、イソギンチャクの触手が現れる。不格好だがグリフォンの翼が背中に生え、ユニコーンの四足へと足は変わっていた。

気持ち悪い、魔族のお墨付きを貰えたか。そうさ、俺は今じゃ化け物だ。


「全部お前を殺す為だ。飛んでも走っても捕まえる、シロアリがお前を食い散らす!」

「舐めるなぁぁぁぁ!」


奴が飛び掛かってきた。

触手が拘束するが、奴は核を探すように俺を殴る。

どうやら弱点がバレたらしい。

シロアリの攻撃は、全て足へと向けた。恐らく再生に時間は掛かるから、死んでも大丈夫だ。

俺の右目に拳が迫る、ヤバい!?


「見つけたぞ、その目が核だな!」

「嬉しそうだな」

「何故、貴様まで笑っている!」


俺は上を見る。奴も釣られて見れば空は白かった。

あぁ、最後に見るのがペトロの魔法か。悪くないな……


「まさか、貴様は自分諸共!」

「何度も言わせるな、死ぬ気だよ」


此処まで来て、今までの事を後悔する。

やっぱり、逃げれば良かったな。

もっと、一緒にいたかったな。

嫌な事は、みんなに任せてペトロと一緒に。

あ……謝ってないや。馬鹿だな、後悔しないって決めたのに……


「最後まで意地張れないなんて――」


――また、主人公になれなかったな……




「……オキ……ナ……ナオ……」

「あぅ……んぅ……」

「ナオキ!ナオキ!」

「あ……れぇ……」


声がした。

あの子の声がした。

ぼやける視界に、確かにあの子が写っていた。

俺は確かめるように、そっと触れる。あたたかい、確かに彼女はそこにいる。


「あぁ、良かった!ナオキ!」

「ペトロ?……あぁ、そうか。そういうことか」


俺の身体は、人の物になっていた。

まわりは大きなクレーター、アレまでは消されてなかった。

俺の努力は消されてなかった。


「そうか、忘れてた。最終回で使ってたのにな……」


泣きじゃくる彼女の頭を撫でながら、俺は思い出した。

絶望が力になる、もう死んでもいいやと自棄になるくらい絶望する。

その条件は一番愛する人間の死。その死を、その過程を、世界の作った運命を、全部消えて飛ばす。

無属性魔法、運命の消滅だ。


「そうか、一番好きだったのか」


それは流石に予想外だった。あぁ、そうだ謝ろう。それからただいまって言うんだ。


「ごめんな。それと、ただい――」

「もう絶対離さない、貴方は私の物なんだから」

「――ま?……まさか!?」


俺の背筋が凍る気がした。また忘れていたことが会った。

無属性魔法使いは絶望を力にするから、その糧になる希望に執着する。

その設定だが、推測スレで言われて公式も認めていたじゃないか。

ヤンデレ属性であると。


「あの、ペトロさん。どうして、服を脱がしてるんでございましょうか?」

「ナオキが悪いんだから、全部私の物にしてあげる」

「待って、ここ外だから!うわ、なにをする!やめろ!」

「もう、暴れるなら足消すよ?」

「魔法飛ばさないで、分かったから!危なっ!?」


なんだか締まらない感じだが、俺は悪くないなと思った。

ただ、いつかこの世界の作者、神様だけはぶん殴ってやると思うのだった。


「やさしくしてください」

「こわくないよ~」


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