第61話 選ばれなかった側
第61話を読みに来ていただきありがとうございます。
先に忠告があります。今日の内容はかなり残酷な描写が含まれています。
そういうのが嫌いな人、苦手な人は今日の内容を飛ばしても、大体の内容は分かるように62話を書きますので、読まないことをお勧めします。
「じゃあ、明里さんで」
言おうとしていた言葉と全く違う言葉が僕の口から飛び出してびっくりしてしまった。慌てて訂正しようとしたが、先に明里さんが口を開いたので遮られてしまう。
「そう、わかったわ。」
そう言った瞬間、明里さんの隣でグサッという音を立てた。
恐る恐る彩香さんの方へ向いてみると、彩香さんの胸元にナイフが刺さっており、そのナイフを中心に赤い液体が染み出ている。
「え……明里さん、何してるの?」
「何って、殺してるのよ。私を選んだんだから、彩香はもう必要ないでしょ?」
明里さんは平然とそう言って、ナイフを抜き、もう一度刺そうとする。僕は明里さんを突き飛ばし、間一髪で阻止する。
「いったーい、何するのよ」
私は何も悪いことはしていない、というような態度を取っている明里さんに対し、僕の怒りは限界に達してしまった。
「ふざけるな! 確かに僕は明里さんを選んだ。でも、何でそこまでする? 何で明里さんの手で彩香さんを殺す必要があるんだよ!」
「何言ってるの? 英一君が彩香を選ばないってことはそれはつまり、彩香を殺すっていう意味なんだよ?」
明里さんは嘲笑うように僕の方を見ながらそう言った。
もう話にならないので、明里さんは無視して、彩香さんの方へ近づいた。
「彩香さん、大丈夫? すぐに救急車を呼ぶから」
僕が彩香さんに声をかけると、今までに聞いたことがないくらい低い声で返答があった。
「は? 大丈夫なわけないでしょ? あんたが、明里なんかを選んだせいで私がこんな目に遭っているのに、何平然としているの?」
「ごめん……」
今の僕には謝ることしか出来なかった。
「ごめん、てわかってるの? あんたが明里を選んだせいで、私は死ぬのよ? この人殺し!」
「ち、ちが……僕はただ……」
僕の言葉は彩香さんに遮られる。
「何が違うのよ? あんたが明里を選んだから、私は死ぬことになる。つまりあんたが私を殺したのと同じよ」
「そうそう、英一君が殺そうとしているのに、それが受け入れられないからって、私のせいにしないでよね、このヒ・ト・ゴ・ロ・シ」
いつの間にか立ち上がっていた明里さんが僕の耳元でそう呟いた。
違う。僕はそんなつもりで明里さんを選んだんじゃない。僕はただ、ただ残る方を選んだだけで、決して殺したわけじゃ……。
違う。ちがうちがうちがう。僕は人殺しなんかじゃない。僕のせいじゃない。僕が悪いんじゃない……。
次の瞬間。僕はベッドの上にいた。
「夢、だったの、か……」
僕は恐怖のあまり身体が震え、しばらくベッドから起き上がることさえも出来なかった。
第61話をよんでいただきありがとうございました。
私自身、書いていて気持ちいい物ではなかったですが、今後を書く上では必要な描写なので我慢して書きました......。




