第55話 真相3
第55話を読みに来ていただきありがとうございます。
翌日、僕は彩香さんを呼び出して、二日連続の話し合いの場を設けた。
昨日僕が考えたことを話すと、あっさり彩香さんは答えてくれた。
「多分、英一さんの考えは正しいと思う。ほら、昔は明里みたいに明るい性格だったって言ったでしょ? あのとき追い詰められてた私は、昔みたいに戻りたいと思ったのよ。でも記憶は無理やり消せても性格までは急に元通りには出来ないでしょ? だからあの時、嫌な記憶を消して、幼い頃の性格とそっくりな明里を作った。そしていつか主人格を受け渡して、以前の生活に戻ろうとしたんじゃないかなと思うの。実際、記憶が消した後もなぜか主人格は明里に譲らなければならないという使命感だけは残っていたのよね」
なるほど。確かにそう言われると全てに納得がいく。
「それで、その使命感は残ってはいたものの、なぜそうしなければならなかったのかは、記憶を消したせいで覚えていなかったから、私も次第に残りたいと思うようになった。そんなところじゃないかしらね?」
「えっと、なんで疑問形なの? だって、彩香さんが全てやったんじゃ……」
「そう言われても、あの時相当切羽詰まってたからね。全て無意識のうちにやったことだし、そのせいか記憶もところどころ曖昧なのよね」
まあ、そうかと僕は納得する。意識的にそのようなことが出来るなら、今頃世の中は二重人格だらけだなと思いながら少しゾッとした。
それから数時間、入れ替わる明里さん彩香さんと交互に話をして解散する流れとなった。
「それじゃあ、また学校で」
「あ、待って」
別れる直前、彩香さんに呼び止められた。
「一つ言い忘れていたことがあったわ」
「言い忘れていたこと?」
「ええ、最終的に私たちのどちらが残るのか」
ああ、そうだった、この前も聞くのを忘れていて、今回もまた忘れるところだった。
「うん、どっちが残るの?」
僕の声が強張っていたのが自分でもわかる。もしかしたら、忘れていたのではなくで、聞くのが怖くて無意識のうちに、その話題を避けていたのかもしれない。
「ふふ、そんなに強張らなくてもいいわよ。現時点ではどちらが残るかはまだなんとも言えない」
「え、そうなの? てっきり主人格の彩香さんが残るのかと思っていた」
「うん、普通ならそうなることが多いだろうけど、ほら、昔の性格は明里に近かったから、明里が残って私が消えることも考えられる、てこの前お医者さんが言ってた」
そっか、確かに僕の場合、真二は僕を守るサポート的な役割だから、僕が一人で大丈夫になったら、存在する理由がなくなっていなくなる。けれど明里さんは彩香さんを守る目的で誕生した人格じゃない。なのであの出来事を乗り越えたとして、別に目的を失うわけではないから、そうなってもおかしくはないのか。
「また、近々検査入院させられるらしいから、その時にははっきりするんじゃないかしらね」
「わかった、教えてくれてありがとう。それじゃあ、また明日」
そう言って、この日僕らは解散した。
第55話を読んでいただきありがとうございました。
一応富永さんの過去に何があったのかなどの話はこれで終わりです。多分、あやふやなところがあると思いますので何か質問があれば遠慮なくしてください。




