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私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
48/73

第48話 終わりの始まり

第48話を読みに来ていただきありがとうございます。

 一週間後、僕は今日、明里さんと約束した通り花見をすることになっている。

 けど、集合時間になったが一向に明里さんが来る様子はない。ひょっとして、時間か集合場所を間違えたかな? スマホにメモしている時間と場所はここで合っているけど、もしかしたらメモする段階ですでに間違っていたのかもしれない。

 確認しようとさっきから明里さんに電話をかけているのだがなぜか出ない。

 連絡が付かないので仕方なくそのまま待ってみると十分後くらいに明里さんは大きな荷物を持ちながらやってきた。


「ごめんごめん、お弁当作ってたら遅くなっちゃった」

「それはいいけどその風呂敷に入った大きな荷物は何?」


 彼女の手を見ると、頑張れば人が入れそうなほど大きい荷物を風呂敷に入れて持っている。なんかさっきから明里さんの手がピクピクしているし、かなり重そうだ。


「これ? 今日のお弁当だよ」


 にっこりと明里さんはそう答えたが、僕は苦笑いをしてしまった。

 この大きさをどうやってふたりで食べるんだろう……。

 僕はどちらかというと小食な方だし、明里さんだって普段の昼ごはんを見る限りでは大食いというイメージは全くない。

 まあ、でも僕のために朝早くに起きてお弁当を作ってきてくれたという事実だけで凄く嬉しい。全部食べられるかはわからないけど、うん、頑張ろう。


「とりあえず荷物もつよ」


 明里さんが持っている風呂敷を受け取り、公園へ向かう。

 ……やっぱり風呂敷はかなり重かった。


「ところで、このお弁当作るのに今日何時に起きたの?」


 この重さからして相当な量だ。集合時間だって、十一時で決して早くはないけど、これほどの量を作ったならよほど手際よく作ってもかなりの時間がかかる気がする。


「えっと、確か四時だったかしら」

「四時!?」

「あ、でもその分昨日は早くに寝てるから大丈夫だよ」

 

 明里さんはそう言っているが、改めて明里さんの顔を見てみると、目の下にクマが出来ており、少し顔色も悪い気がした。何と言うか、ちょっと申し訳ない気持ちになる。


「ありがとね。ちゃんと味わって食べるから」


 明里さんは「うん」と言って、目線を下に向けながら顔を紅潮させていた。


「ところで何を作ったの?」

「それはね、食べるときまでのお楽しみ! 味は保証するから安心して!」


 食べるまでお楽しみか。いったい何が入っているんだろう。これだけ大きいし、なんかとんでもない物が入れられてそう。

 そう考えているとだんだん心がウキウキしてきた。早く中身を確認したい。



 それから、明里さんが飲みものを準備するのを忘れたというので、コンビニに寄って、ジュースを何本か買った。あんな大変なお弁当を作ってくれたんだからここはもちろん僕の自腹だ。明里さんも払おうとしていたが、僕がそれを制止し、全額支払った。



 キーーーー、ドーン


 コンビニを出たところで自動車同士が衝突事故を起こした。結構勢いよくぶつかっていたけど大丈夫だろうか。


「結構凄い音してたけど、大丈夫かな?」


 隣を向いて、明里さんに話しかけたけど、そこには明里さんはいない。おかしいなと思って後ろを振り返ると、そこにはうずくまって苦しそうな明里さんがいた。


「明里さん? どうしたの?」

「はあ、はあ……うっ……」


 明里さんは口を手で押さえて戻している。それが終わってもなお、息が荒く、かなり苦しそうにしている。


「どうしたの明里さん!」


 彼女からの返答はない。もはや僕の声は彼女の耳に届いてすらいなさそうな様子だ。


「あ、ああああぁぁぁぁ!」


 救急車だ! 僕はこの瞬間理解した。多分今起きた事故がきっかけで記憶が戻ったんだ。だとしたら、今彼女はかなり危険な状況だ。一刻も早く、病院につれていかなければ。

 おかしい、一一九の三つの数字を押して電話をかけるだけなのに、何回も押し間違えてしまう。落ち着け、僕がパニックになってどうするんだ。こうしている間にも明里さんは苦しがっているんだ。早く、早くするんだ!

第48話を読んでいただきありがとうございました。


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