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私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
45/73

第45話 進路選択

第45話を読みに来ていただきありがとうございます。

 三月前半に差し掛かり、徐々に気温が上がってきて少しだけだが暖かくなってきた。

 クラス内では進路どうするのかの話題で持ち切りだった。もう既に決めて、来年の進路希望の紙を提出した人とまだ迷っていて提出していない人。二つに分かれているけど、今日担任の先生より、来週が提出期限なのでそろそろ決めて提出してほしいと言われた。

 僕もまだ提出していない方に属する。正直な話僕は特にやりたいことがないのだ。普通に大学に入って勉強して、そこそこの企業に入社して、働く。そのそこそこの企業とは何でもよく、何か好きなものを職にしたいから、それに合わせて大学はどこどこに進む。そのために進路はこうだ、というものがないからいつまでも決まらない。

 成績からして、文系に進むことはないけど、理系の進学コースか特進コースか。今の成績ならどちらでもいけると担任からは言われてはいるけど、どうしたものか……。

 ちなみに明里さんは、理系の特進コースに行くらしい。この前聞いたことだけど、彼女は数学者になりたいらしい。確かに彼女の数学の成績はいつも異常なほどに良いから、凄いなとは思っていたけど、数学者になりたいとは知らなかった。なのでかなり名の通っている一流大学を受け、そこでひたすら数学の勉強をしたいようだ。

 信也は文系の進学コースらしい。信也いわく、文系科目が得意だから文系で、このままエスカレーター式で大学に進学して、大学生活をエンジョイしたいから進学コースだそうだ。実に信也らしい理由だ。

 九条さんは文系の特進コースだと言っていた。予想外といっては失礼だが、彼女は心理カウンセラーになりたいらしい。何でも、小さい頃になかなか周りと馴染めなかった時、プロのカウンセリングを受けて、それをきっかけに周りとも馴染めるようになったらしく、同じように悩んでる子供を助けたいと最近気付いたらしい。うちの大学には心理学を学べるコースがないから他大学受験することになるようだ。

 それらを聞いたとき、皆きちんとこのあとどうなっていきたいかしっかり考えているんだなと感心してしまった。それとも僕が考えなさすぎなのだろうか……。

 机の上に、進路希望の紙を置いて考える。

 うーん、この前ミニ旅行に行ったとき、僕が企画したものを皆が楽しんで凄く喜んでくれた。そのときに、人笑顔のために何かをするのって案外気持ちいいものだと知り、人のためになる仕事をしたいとは思った。けど、よくよく考えると人のためにならない仕事なんて存在しない。僕のその気持ちはどの仕事でも出来る気がする。


 放課後の誰もいない教室で小一時間考えてみたが、結局なにも浮かばなかったので帰ることにする。


「おう、英一じゃないか。こんな時間までいたなんて珍しいな」


 ちょうど部活が終わったのか、前を見るとそこには信也がいた。


「お疲れ、信也は部活終わり?」

「おう、今日はグラウンドが確保できなかったからとか言って、一日中走らせられたぜ。まったくいつからこの部活は陸上部になったんだよ」


 汗だくの信也はそう言って嘆いている。

 うちの学校はそんなにグラウンドが広くないので、いろいろな部活が交代で使っている。それで今日信也が所属しているサッカー部はグラウンドが使えない日だったようだ。


「ちょっと待っててくれよ、すぐ着替えてくるから途中まで一緒に帰ろうぜ」


 そう言って信也は足早に部室へと向かっていった。




「そういえば英一はなんでこんな時間まで学校にいたんだ?」

「進路のこと考えてたんだよ。ほら、もうすぐ提出期限だって、今日言ってただろ? 僕はまだ出していないからそれの考え事をね」

「ああ、あれか。まだ出してなかったのか。英一なら理系はほぼ確定だし、あとは進学か特進かだけだろ?」

「うん、その進学か特進かで迷っているんだよ」

「とくにやりたいことがないなら別に進学でいいんじゃね? 俺なんてわざわざ受験してまで難しい大学入って、またその大学でひたすら勉強するなんて嫌だからって理由で、文系の進学コース選んだし」


 そう言って、信也は二ヒヒと笑っている。

 確かに、それもありかなとは思う。けどなんかしっくりこないんだよなあ……。

「もう、何も考えずに進学コース選んじまって大学でも一緒に遊ぼうぜ」

「ははは、流石にそういう理由で決めるのはないかな」


 誰かが行くからそれに合わせて行くは、僕の中では考えられない。だから、明里さんが理系の特進に行くから僕もそれに合わせるってことは一切考えていない。

 いろいろと話している間に、解散する場所に到着した。


「じゃあ、また明日な」

「うん、また明日」


 僕が、信也と反対の道へ行こうとしたところで信也に止められた。


「案外、近くにヒントとかあると思うぜ。自分の周りを見つめ直してみると本当にやりたいことが見つかると思うぜ」


 それだけ言い終わると信也は去っていった。

第45話を読んでいただきありがとうございました。


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