第42話 夢の内容
第42話を読みに来ていただきありがとうございます。
「はい、皆さん明けましておめでとう」
僕らの担任が教団の前に立って、新年一発目の挨拶が行われる。皆正月気分で気が緩んでいるのか、担任の先生が話を始めても口々に喋っている。
皆、よく自由に話せるな。先生の顔をよく見てみろよ、一見笑っているように見えるかもしれないけど目が全然笑っていない。これはかなりお怒りだぞ……。
あの先生普段は温厚な人だが、一度怒らせると止まらないタイプなので勘弁してもらいたい。
ほら、こうしている間にも段々とあの先生から殺気が出始めている。
その先生の殺気があまりにも凄まじかったのか、このクラスの生徒全員が危険を察知し、一瞬で静まりかえった。
「あら、静かになってよかったわ。あと十秒遅かったら死人が出ていたかもしれないわよ」
笑顔でさらりと、とんでもないことを言いだした。そして、その笑顔が逆に怖すぎる。
「まあ、ともかく今から、重要なプリントを配ります。二年生の進路希望の紙なので各自しっかり考えてから一ヵ月以内に提出してください」
進路希望。もうそんな時期なのか。僕の高校は一年生の間は皆同じ授業を受けているが、二年生になったら、進路によって授業内容が大きく分けられる。まず大きく分けたら文系と理系。まあ、これはどこの高校にもあるだろう。そしてうちの高校にはその文理からさらに進学コースと特進コースがある。
簡単に言ったらそのまま大学に進学するコースと他大学を受験するコースに分かれるということだ。一見、そのまま大学に進学する人が多そうではあるけど、そこまで良い大学ではないから半数以上は受験してより良い大学を目指すらしい。
今日は始業式だけで、授業はないので、その進路選択の話と簡単な事務連絡だけあって今日は解散となった。
解散後クラスでは進路の話で持ちっきりだった。
「ねえ、進路どうする?」
それは明里さん、信也、九条さんのいる僕たちのグループも例外ではない。
「俺は、もう決まってるぜ、文系の進学コース」
信也が先陣をきって話し始めた。
「私は理系の進学か特進かな、文系科目は苦手だし」
続いて彩香さんが口に出す。さっき、また不自然な入れ替わりがあったらしい。
そのあと九条さんも口を開いたがまだ決まっていいないだそうだ。
「英一君はどうするの?」
「こいつなら、まず理系だろ」
明里さんの質問になぜか信也が答える形になったが当たっている。僕は今のところ理系は確定。あとは進学か特進を選ぶだけ。
ん? 選ぶ?
そのとき、今までの夢が一気にフラッシュバックした。
そうだ、思い出した。なかなか思い出せなかった夢の最後に言われる言葉。あれは『選んで』だ。毎回夢を見る度に、背景や、状況、登場人物まで変わっているけど、最後に決まって女性に『選んで?』と言われているんだ。
なんだ、なんか気持ち悪い。思い出せたは良いけど吐き気がする。
僕がうずくまっていると周りから「大丈夫か?」と言われている気がするけど、声が出ない。こんな感覚は初めてだ。
次に僕が目覚めたとき、そこは保健室のベッドの上だった。
保健室の先生の話によると、突然僕が教室で気を失ったらしく、信也がここまで運んできてくれたらしい。
とりあえず急に倒れたということは脳や心臓の病気の可能性があるから一度病院で診てもらうように、と言われた。
保健室の先生に言われるまま、病院で検査を受けたが異常はなかった。
まあ、当然だなと思う。僕は倒れる直前の意識がはっきりあったから原因が病気でないことは想像していた。皆と進路の話をしていたときに、僕が『選ぶ』という単語を連想したところで異常が起こったことでまず間違いない。
よく出てくる奇妙な夢、その内容がやっとわかって、今ではスッキリした気分になっているけど、あれは結局のところ何なのだろう?
何かの予知夢? それともよくある前世の記憶とかの類だろうか?
案外、僕の前世は何かの選択肢を間違えて死んだとかそんなんだったりして。
冗談を思いつくほど僕はすっかり元気になっていた。
そのようなことを考えながらスマホを起動させると恐ろしいほどのメッセージと着信が入っていた。画面には富永さん、信也、九条さんの名前がずらっと並んでいる。
まあ、冷静に考えたら当たり前だな、四人で楽しく話していたところでいきなり倒れたんだから。
それから僕は一時間くらいかけて明里さん、信也、九条さんに連絡をいれて、急に倒れて心配をかけたことの謝罪と検査の結果、異常はなかったことをそれぞれ一人ずつ電話で伝えた。
第42話を読んでいただきありがとうございました。
もう少しすればなぜずっとこのような夢を見ていたのかがわかると思います。




