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私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
40/73

第40話 デジャブ

第40話を読みに来ていただきありがとうございます。


「いやー、いっぱい買っちゃった!」

「そんなに買って、お金は大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫、お年玉いっぱい貰ったから!」


 あれから結局二時間も服選びに付き合わされて、外は真っ暗になっているし、もうくたくただ。

 しかし、お年玉が沢山貰えるなんて羨ましい。俺なんて祖母から一万円貰っただけだ。しかも英一が貰ったやつだから俺は勝手に使えないし。

 ん? ふと彩香の方に目をやると、彩香はついてきてい。


「どうした?」


 一呼吸おいてから返事が来た。


「ごめん、入れ替わっちゃったみたい」


 そこには再び、不自然な入れ替わりで出てきた明里がいた。

 またか、昨年の十二月でも不自然な入れ替わりが増えたと思っていたが、年を越してからまた更に増えたな。かなり彼女たちの人格が今不安定にあることが安易に想像できる。


「大丈夫か?」

「私は大丈夫なんだけど、この荷物はなんなの?」


 明里が手一杯に持っている袋を見て困惑している。


「ああ、さっき彩香がお年玉使って服買ってたけど、記憶を共有しているのに知らないのか?」

「あれ? 言ってなかったかしら。不自然な入れ替わりの時は、なぜか記憶が共出来ないことがあるの」


 うん、聞いていない。初めて聞いたぞそれ。俺は詳しく聞こうとしたがどうやら聞けそうな雰囲気ではないことを一瞬で察した。


「それより、彩香が勝手にこんなに大量の服を買ったですって? 許せない、あのお年玉は私のも含まれているのに、こんなに買ったら私なにも買えないじゃない!」


 おお、明里は酷くご立腹の様子だ。彼女が怒っているところを見たのは夏のミニ旅行の時以来かもしれない。

 まあ、いいや。明里に戻ったことだし、俺も英一とチェンジしよう。


「怒っているところ悪いんだけど、俺そろそろ英一と交代するから」


 俺がそういうと明里は我に返ったようで「あらごめんなさい、またね」とだけ言ってくれた。


「……」

「その荷物どうしたの?」


 いきなり戻ったかと思えば明里さんが大量の袋を抱えているからびっくりした。

 それに気のせいか、明里さんの機嫌がよろしくないように思える。もしかして聞いたらいけないやつだったかな。


「彩香が、私のお年玉まで使ってこんなに大量の服を買ったんですって」


 うん、気のせいじゃなかった。めっちゃ怒っている。明里さんはムッとして僕にそう返してきた。


「ま、まあ。とりあえずこれだけ持ってたら重いでしょ? 僕が少し持つよ」


 僕が手を差し出したら「悪いからいい」と断られた。でも、なんとなく僕が手ぶらで明里さんに大量の荷物を持たせたまま歩くのも世間の目線から耐えられる気がしなかったので僕は引き下がらない。


「ほんと気にしなくていいから。むしろ僕に少し持たせて?」

「まあ、そんなに持ちないなら別にいいけど」


 明里さんが少し困惑したようで折れる。


「じゃあ、これとこれ、どっち持つ? 選んでよ」


 そのとき、僕の心臓は大きく跳ね上がった。

 選ぶ? 選ぶ、選ぶ……。なんだ、よくわからないけどこの言葉凄く違和感がある。

 どこかで何度も聞いたような。でも、思い出せない。一体どこで聞いたんだったっけ?

 僕は困惑して固まっていると、明里さんが「どうしたの?」と心配そうに僕の方を見ていた。


「やっぱり嫌だった? なら無理しなくていいわよ、もともと私の荷物だし」

「いや、そうじゃないんだ。なんか『選ぶ』というワードに妙に違和感を感じて」


 そう言って僕は明里さんが持っている右の荷物を適当に選んだ。


「違和感? ああ、既視感。いわゆるデジャブってやつじゃない? ほら初体験にもかかわらず、どこかで同じ体験をしたことがある感覚に陥るやつ」

「ああ、なるほど。確かにそれかも」


 うん、確かにしっくりする。どこかで何度もあった気がしたけどデジャブか。それなら違和感の説明もつくな。


「まあ、深く考えないことだね、そんなの気にしてたらきりがないよ?」


「そうだね」と僕と明里さんはお互いに笑い合いながら帰り道を歩き、そのまま明里さんを家まで送ってあげたとこで解散した。

第40話を読んでくださりありがとうございました。

無事に40話まで辿り着くことが出来ました。次も50話を目指して頑張ります。



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