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私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
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第36話 富永さんによる二重人格の二つのタイミングと三つの可能性

第36話を読みに来ていただきありごうございます。

「とりあえず今の話で少しわかったことがあります」


「何かわかったの?」と食い気味に聞いてこられたので、一つ一つ丁寧に説明を始める。


「まず、二重人格が始まった可能性がある時期。これは恐らく二つあります。一つ目は事故が起こってすぐ。そこで性格が急に暗くなったのが性格の変化ではなく、二重人格の変化だった可能性があります。そして二つ目が暗くなった性格が急にまた明るくなったとき。この時に出てきたのは明里さんで間違いないと思うのでここが二つ目のタイミングの可能性であって、この先での二重人格の登場はあり得ないと思います」


 僕は考えていたことを話してみる。彼女たちの母親は口を開かず僕の仮説を黙って聞いてくれている。


「そして肝心の誰が主人格で、誰がいつどのタイミングで登場したのかですが、これは三つの可能性があると思います。まず主人格は明里さんの可能性。もともとは明るい性格だったわけですし、その可能性は大いにあると思います。そして事故が原因で明里さんの精神を守る目的で彩香さんが出てきた。それからしばらくは彩香さんで過ごしていたけど、彩香さんのままだと友達が作れないのであの事故から少し経って落ち着いてきたところで明里さんが再び出てくるようになった」


「次に主人格が彩香さんの可能性。この可能性も十分にあり得るんじゃないかと思います。もともと明るい性格だった彩香さんが事故をきっかけに性格の変化で暗くなった。その後このまま暗い性格だと友達も出来ずに寂しい思いをすることになるので明里さんという人格を作りだした。それが二重人格の始まりとなる」


「そして最後が第三の人格がある可能性。この場合だったときが正直一番大変です。もともとは明里さんでも彩香さんでもない人格が主人格だった。しかし事故が原因でその人格の精神を守るために彩香さんが登場。あとは他と同じで彩香さんが明里さんを作り出した。万が一これが正解なら本当の主人格は未だに彼女たちのなかで眠り続けているということになるので、一番厄介です」


 僕は一通り今可能性のある仮説を話し終えた。

 冷静に考えたら他にも可能性があるのかもしれないけど今話を聞いてすぐに思いついたのはこの三つだった。


「どうして?」


 少しの沈黙のあと不意に彼女たちの母親は不思議そうな顔をしてそう言い出した。


「なぜ少し話を聞いただけでそこまで二重人格のことを理解できるの? 親である私でも理解するのに何度もお医者様からの説明を受けたのに」


 彼女たちの母親は目を丸くしてそう尋ねる。


「ええ、その仮説は正しいわ。お医者様も同じことをおっしゃっていたから。でも何故なの? おばさんシンプルに気になるわ」


 ふむ、話の流れからして僕も二重人格であることは明里さんたちから聞いてないようだったから出来るならこのまま黙っていようかと思っていたけど、これはもう話すしかなさそうだな。


「実は僕も二重人格なんですよ。信じてもらえないかもしれないですけど、僕も二重人格だからこそ、彼女たちのことも気になっていますし、二重人格についてもそれなりに詳しいんですよ」

「…………」


 彼女たちの母親は黙ったままだ。まあ、いきなりこんなこと言い出して信じろというのが無理な話だ。普通ならこいつ頭大丈夫か? という反応をされる方が正常な考えの持ち主のような気さえする。


「いや、信じるわ」


 しかし意外にも正常な考えの持ち主でなかったことに驚いてしまう。冗談はともかく、よく信じられるなと、この人は騙されやすい人なんじゃないかと少し心配になってしまう。


「だって、そうじゃないといくらなんでも詳しすぎるもの。最近の時代だから調べたらいくつか事例は出てくるでしょうけど、それだけだと、やはり本質的なところはわからないと思うの」

「むしろ二重人格であるということで全て納得がいったわ」


 彼女たちの母親はそう言って僕の方を見つめてきた。


「それで佐々岡君の方は大丈夫なの?」

「あ、はい。僕の方は最近かなり良い傾向にあるそうで、何事も起きなければ数年で一つの人格に戻るだろうとこの前医者に言われました」


 当然僕も自分の二重人格について定期的に診てもらっている。つい先月診てもらった時にそう言われたのだ。


「そうなの、それは良かったわね」


 彼女たちの母親は自分のことのように嬉しそうにしてくれ、僕もそれに少し嬉しくなった。

第36話を読んでいただきありがとうございました。



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