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私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
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第24話 英一と彩香、他愛のない雑談

第24話を読みにきていただきありあとうございます。

 ん? ここは?

 目を開けると見たこのない光景がそこにはあった。僕の周囲には綺麗な花畑が広がっていて、心地よい日が差し込んでいる。また、そこには白いドレスを着た女の子二人が走り回っており、まるで天使のようだ。

 僕がその子達を見ていると、楽しそうに何か話をしながら少しずつ僕の方に近づいてき、手を伸ばしたら届くくらいの距離で二人は立ち止まり『選んで』と発言した。


 ジリジリジリ


 目覚まし時計が大きな音を立てたので僕の意識は現実へと戻ってきた。意識が朦朧としながら目覚まし時計に手を伸ばし、それを止めて目を開ける。

 また夢か。最近奇妙な夢をよく見る。ミニ旅行に行った日、帰りの電車の中で変な夢を見て以来、週一、二回のペースで見ている気がする。

 毎回起きたらどんな夢だったのかは覚えていないけど、なぜか奇妙な夢だったということだけははっきり覚えているのがまた不思議だ。


「さて、行くか」


 ベッドから起き上がり、身支度を始める。

 二学期が始まってから二か月ほど過ぎた。今日は日曜日なので学校はないけど彩香さんと会う約束をしている。また、来週の日曜日は明里さんと会うことになっているので二週連続だ。

 今日会うのは親睦を深めるための雑談会であって、僕と真二が交互に話すことになっている。

 そして来週の明里さんは、大事な話があるから会って欲しいとだけ言われた。学校で話せない大事な話ということなので恐らく二重人格についてだろう。

 あのミニ旅行から二か月が過ぎ、僕の日常は少し変わった。まず、彩香さんが旅行前とは比べ物にならない頻度で出てくるようになった。もともと入れ替わりは好きなタイミングで出来るということは聞いているので、それに関してはまずいというわけではない。問題はないけれど彩香さんも明里さんも人格が統一されたとき、本気で残るために動いているようだ。

 次に僕と真二の問題だが、彼女とは反対に真二は以前に比べてあまり出てこなくなっている。以前なら少し僕が嫌な思いをするだけで出てくることもあった。けれど最近は少しくらい嫌なことがあった程度では出てこなくなった。出てくる時と言えば、彩香さんと話すときくらいな気がする。



 あらかじめ集合場所に決めた喫茶店に到着し、周りを見渡すが、彩香さんはまだ来ていないようだ。

 僕は窓際のテーブル席に座り、先にコーヒーを一杯頼んで彼女の到着を待った。

 それから五分ほどしてから彼女もやってきた、わざわざ走ってきてくれたのかかなり呼吸が乱れている。


「ごめんなさい。出かける前にお母さんにつかまって、来るの遅くなっちゃった」

「別にいいよ、僕も今来たところだし」


 そこから僕と彩香さんは他愛のない雑談をした。学校でのことや彼女の好きな小説のこと、それから明里さんのことや彩香さん自身のことなど。


「うん、昔は私が出て誰かと目を合わせるだけでも怖かったけど、最近はなんとかそれくらいなら出来るようになったの」

「そういえば初めて僕と会った時、逃げてたもんね」


 懐かしいな、あれからもう半年以上も経っているのか。感覚では一ヵ月くらいしか経ってない気がするのに、月日が経つのって本当に早いものだ。


「あ、あのときはごめんなさい。久しぶりに私が外に出て桜を見てたら急に声をかけてくるんだもん、頭が真っ白になっちゃったよ」

「あはは、今だから言えるけどあのときは正直傷ついたよ」

「ほんとごめん」と彼女は手を合わせながら謝っている。

「いいよいいよ、もう気にしてないから」


 むしろ、拒絶されてたわけじゃないと分かっただけでも良かった。


「でも少しずつでもいろいろな人と会話が出来るようになったみたいで、本当に良かったね」

「うん、これも英一さんと真二のおかげよ、ありがとね」


 それにしても本当に凄いことだと思う。いくら僕や真二が彼女と親身になって話すようになったとはいえ、たった二か月程度でここまで話せるようになるのは僕の想像を遥かに超える彼女の努力があったからだろう。話し方も最初に会った頃はかなり固い印象を受けてたけど、最近はそんな印象は全くない。むしろかなり柔らかい口調にすらなっている。僕たちが見てないところでも相当頑張っていたことが容易に想像できる。

 ……こんなに頑張っている彼女を見て、僕はなお、明里さんが残るべきだと言えるだろうか。それも半分好きだからという理由で。


「あ、もう会ってから結構時間経ってるわね」


 そう言われて腕時計を見ると彩香さんの言う通り二時間くらい経過していた。


「そんなに喋っていたんだ、そろそろ真二と代わろうか」

「うん、そうしてくれたら助かる」


 多分だが彩香さんにとっては真二と話す方が楽しみなんだろう。こうして話し始めたら、止まらないくらい話すほどだからそこそこ仲がいい関係にはなっていると思うけど、彩香さんと真二にはそれ以上のものを感じる。

 呼び方も僕を呼ぶときは『英一さん』とさん付けだけど真二の時はそのまま『真二』と呼んでいるようだし。

 まあ、別にそれが不満というわけではないけど、真二はこのことを知っているのだろうか。


「じゃあ、また学校で」


 そう言って僕は頭を下に向けて真二と交代した。

第24話を読んでいただきありがとうございました。

今日から10月ですね。え? 違う?

これを書いている日は10月1日なので合ってます(笑)

ともかく、暑さもかなりましになって秋という感じになりましたね。秋と言えばやっぱり読書の秋ですよね、そうですよね?(圧)

ということで秋は私の小説をたくさん読んでくださいね!


はい、冗談はともかく、無理のない範囲で読んでいただけると嬉しいです!


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