第20話 ミニ旅行(山登り頂上到着)
第20話を読みに来ていただきありがとうございます。
「一日ぶりだね」
「そうですね」
英一と明里は俺と彩香にチェンジして再び山を登り始める。
しかし、少し行ったところで彼女は隠しているが明らかに辛そうにしていた。だから、俺が休みたいからということでまたベンチに腰掛けて休憩した。
「大丈夫? 結構しんどそうだけど……」
「問題ないです。普段あまり運動しないからで少し疲れただけなので」
大丈夫だと彩香は言っているが見るからにぐったりとしている。
「無理しなくてもいいよ。いざとなったら信也と九条に頂上まで着いたら俺らを待たずに戻ってきてもらえばいいし」
しかし彩香はかぶり振って立ち上がる。
「見たいの」
「頂上に着いたら見られるという綺麗な景色をこの目で見てみたいの」
彩香は本気のようだ。それなら止める理由もないので最後まで付き合おう。
まあ、俺自身、頂上の景色はどんなものか見てみたいし。
「わかったよ。ただ倒れたら大変だからこまめに休憩しながら目指そう」
「うん、ありがとう」
それから彩香と主に小説の話をした。俺が今度彩香に借りようと思っていた小説のあらすじや今彩香はどんなジャンルを読んでいるのかなど。
小説のことを話す彩香は目をキラキラさせて生き生きとしていた。きっと今まで趣味の合う友達と語ることもなかったのだろう。俺は彼女が楽しそうに話す顔を見ながら適度に相槌を打って話し終わるまで黙って聞いてあげた。
何度か休憩を挟み、俺らはようやく頂上目前のところまで辿り着いた。途中楽しそうに小説の話をしていた彩香もそろそろ疲れがピークなのかあまり喋らなくなった。
「ほら、あと少しだよ。頑張れ」
「うん、ありがとう」
かという俺もそろそろ体力の限界だ。ここまで疲れる思いをしたのは多分初めてだ。
普段英一と入れ替わっているときに誰かと遊ぶことはたまにあるけど、ここまで激しく息切れをしたことはない。
疲れから歩幅は小さくなっているが、一歩一歩着実に終着地点に近づいている。
やがてついに頂上に辿り着き景色が見え始める。
「わあ! 綺麗!」
「うん、綺麗だ」
これは本当に綺麗だ。雲一つない青空の下に広がる緑の山。さらにその下には透き通っている湖が山を反射させてうつしている。
文句のつけようがないほどの綺麗な風景がそこに広がっている。恐らく今まで見た景色の中では一番だ。
「ここまで頑張って登ってきたかいがあったよ」
彩香は嬉しそうに景色をまじまじと見つめている。
今は昼だがこれは日の出とかを見に来たらもっときれいな光景を見られたんだろうな。またいつかここに来て、日の出を見てみたい。
「ひゃあ!」
彩香の頬に買ってきたばかりのジュースを当てる。
「喉乾いてるだろ、これ飲みなよ」
「うん、ありがとう」
俺があげたジュースをぐぴぐぴと飲み、また風景に視線を戻す。
「本当に綺麗。今までが外出するときは大抵明里が出てたから山の頂上がこんなに綺麗な眺めだなんて知らなかった」
「俺もいろいろな景色を見たことあるけどここまで綺麗な眺めは初めて見たよ。天気がいいからより風景の良さを引き立てているな」
「明里の代わりに出てよかった。きっと明里の中に引きこもっていたら一生見れない景色だったよ」
「うん、そうだな」
彩香は喜びを頬に浮かべてそう言った。
俺はそのときの彼女の笑顔を見てこう思った。『美しい。この笑顔をこれからも守ってあげたい』と。
しばらく経って真二と彩香は英一と明里に交代した。明里さんは彩香と記憶を共有しているのでそれほどまで驚いてはいなかったが、僕は真二と記憶を共有していないのでこの景色を見て驚愕した。想像していた景色より何倍も綺麗だったから。
それからまたしばらくして僕と明里さんは信也、九条さんと合流した。
僕らが何度も休憩を挟みながら向かったため、頂上に着くのがあまりにも遅かったので、二人にはかなり心配されてしまったらしい。
その後あの綺麗な景色を背景に四人で写真を撮った。その時の僕らはこれ以上ない笑顔を浮かべていた。これはきっと忘れられない思い出になるだろう。
第20話を読んでくださりありがとうございました。
10話に続いて無事、節目までこれて少しほっとしています。
けどまだまだ、物語は続きますので気を抜かずに頑張ります!
次回も18時頃に投稿します。誤字やおかしな点があれば指摘していただけると助かります。
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