第19話 ミニ旅行(山登り)
第19話を読みに来ていただきありがとうございます。
それから数分後、僕と明里さんは僕たちの後に出発した信也と九条さんが戻ってくるのを待っていた。
「成功したかしら」
明里さんはとても不安そうに僕にたずねてくる。
今回この肝試し大会に参加したのは、僕と明里さんが二人っきりで話せる場が欲しかったというのもあるけど、メインは信也と九条さんの仲直りのきっかけの場を作ること。上手くいっていれば良いんだけど。
「きっと大丈夫だよ」
スタート地点から折り返し地点まで行って再びここに戻ってくるのは三十分くらいはかかる。恐らくその間に信也たちも落ち着いていろいろな話が出来ているだろう。
それから五分くらい経って信也と九条さんは戻ってきた。二人ともいい顔をしている。どうやら上手くいったようだ。
「仲直り出来たみたいだね」
「おう、心配かけて悪かったな。それから彩香ちゃんも空気悪くしてごめん」
「ううん、いいの。これから楽しみましょ!」
「そうだな!」
明里さんの言葉に信也は元気いっぱいに返していた。
これで信也と九条さんの件については解決だ、あとは残りを存分に楽しむこととしよう。
次の日、僕たちは山登りしている。何でも頂上にたどり着くと、とても綺麗な景色が見えるらしい。
わざわざ登山しなくてもロープウェイで頂上まで行くという方法もあった。けれど下調べしたときに相談した結果、今回は『普段都会では体験出来ないようなことをたくさん経験する』というコンセプトで来ているので、ロープウェイには乗らずに登山コースを通っていこうということになった。
とはいえこの山道は結構きつい……。
運動部で鍛えている信也は余裕そうな顔をしているが、普段運動などしていない運動不足の僕からすればかなりしんどい。
「英一大丈夫か?」
信也は心配そうにこちらを見ている。
そういう信也はまだまだ、体力有り余ってますよという感じで息も乱れてないし、ピンピンしている。
これが日頃運動しているやつと、していないやつの差か……。
信也の隣には九条さんもいる。
昨日仲直りしてからというもの、前よりも仲が良くなったようにも感じる。
実際、今だって九条さんは信也にべったりとくっついているし。
そういえば確か駅で集合した時、九条さんは信也の家に泊まったと言ってたな。あのときはそれどころじゃなくて考える余裕なんてなかったけど、最近の高校生は平気で異性の家に上がり込んで泊まるのが普通なのか? 僕は最近の学生の流行りとかにはかなり疎いほうなのでそれが常識なのか非常識なのかすらわからない。
というか、九条さんも元気そうだな。この山道しんどいはずなのに。
確か九条さんは運動部ではないはずだけど、普通に体力あるんだなあ。
まあとりあえず、信也と九条さんに先に行ってもらおうかな。このまま同じペースで歩いてたら僕はしんどいし、信也達は逆に遅すぎるだろう。
「僕は大丈夫だから九条さんと先に行ってて」
僕の一言で信也と九条さんは了承して先に行ったが、そうしてほしかった理由がほかにもう二つある。
一つはさっきから実は明里さんがかなり辛そうにしているのだ。
「大丈夫? 信也達には先に行くように言っておいたから一旦休も?」
「うん、ごめんね。私体力全然ないから」
明里さんを連れて近くにあった休憩用ベンチに腰掛けた。
「ねえ?」
「どうしたの?」と明里さんは答える。
「昨日真二と交代してあげられなかったし、今から代わってもいいかな?」
これが二つ目の理由である。昨日僕たちが結局全部時間を使ってしまったから、どこかでもう一度二人っきりになる時間を作りたかっんだ。
明里さんは少し考えてからわかったわと答えた。
「本当は彩香にこの山道を歩かせたくはないんだけど、まあ彼女にもたまには自然を体験してほしいし良いかな」
ちょっと待ってね、と言って頭を下げて彩香さんとチェンジする。同じタイミングで僕も真二と交代した。
第19話を読んでいただきありがとうございました。
このミニ旅行編はもう少し続きますので、もう少し、お付き合いください。
ちなみに、ミニ旅行編が終わったところくらいで物語全体の三分の一くらいを予定しています。




