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私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
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第18話 ミニ旅行(肝試し3)

第18話を読みに来てくださりありがとうございます。

「この札を私と英一君の分で二枚持っていったらいいのよね?」

「うん、たぶんそうだと思う」


 暗くてもはっきり見えるように、ご丁寧に『札はここ↓』というネオン付の看板が設置してあって、確かに矢印の指す方向に沢山の札が置いてあった。恐らく、これを取って持ち帰れということなんだろう。

 札を二枚取って、さあ真二に交代しようとしたところでついに招かざる者が出てきた。


「今取った札を返せ~」


 突然それは飛び出してきた。しかも派手なゾンビメイクをして足元から。


「きゃー!」「ぎゃー」


 僕と明里さんは同時に叫び声をあげてその場から大急ぎで走って逃げた。



「びっくりしたね……」

「う、うん……」


 驚いて走って逃げた僕たちは、結局折り返し地点からスタート地点の真ん中に位置するくらいの場所まで来てしまった。そこから真二と交代してもよかったが、もうここからだとほとんど話せないのでこのまま僕と明里さんでスタート地点まで戻ることとなった。


「ふふっ、結局最後まで私たちのままで来てしまったわね」

「うん、そうだね」


 明里さんもだいぶ落ち着いたようだ。僕はというと、まだ少しドキドキしている。

 あれは正直びっくりした。驚かすといっても物陰からわっと飛び出してくるくらいかと思っていたのに、まさかあらかじめ地面を掘っておいて、そこから顔を出してくるとは完全に予想の斜め上をいっていた。


「このままスタート地点まで私で行ってもいいんだけど、せっかくだから少しだけでも彩香と話しておかない?」

「うん、そうだね。僕もちょうどそう思っていたところなんだ」

「わかった、じゃあ代わるわ」


 一度明里さんは立ち止まり、頭を下げて人格を入れ替えている。再び顔を上げた時そこには彩香さんがいた。


「……初めまして、彩香です」

「うん、初めまして、英一です」

「……」


 そこから沈黙が続いてしまった。明里さんは話すのが大好きなようで、よくいろいろな人と会話している。しかし、どうやら彩香さんの方はあまり話すのが得意ではないらしい。

 何かいい話題がないかと考えているところで先に口を開いたのは以外にも彩香さんの方だった。


「あの、明里の件ありがとうございました」

「ん? あーそっか、明里さんと記憶を共有しているんだったね」

「はい、英一さんが明里と話していた内容は全部頭に入っています」


 うーん、なんかそれはそれで嫌だな。することはないけど、もし明里さんに告白したりして、良いムード作りをしたりしたら、それを第三者視点として彩香さんにも見られることになるのか。

 しかも、その先ちょっとエッチなことをするところまで発展したとして、それを彩香さんは見たくなくても見せられるわけで……。おぇ、想像しただけで吐き気がする。いや、まてよ、つまり真二にも見られてるということか。うん、これは絶対無理だ、第三者にまじまじ見られるのは生理的に受け付けられない。

 やっぱり、二重人格は不便なことばかりだ。早く一人の僕にならないと。


「正直私は前から私が残りたいって思っていました。しっかり友達を作って以前のように戻りたいと」


 僕がくだらない考え事をしていたら、彩香さんが続けて話し始め、我にかえる。


「でも、明里はそれが当然のことで、自分自身が消えるのが当たり前だ、という考えに私はすごく罪悪感を覚えていたんです。だから私もなかなか前に進みにくかった」


 彩香さんは目を合わさずにさらに続ける。


「でも今回英一さんが明里と話してくれたおかげで、彼女の考え方も変わったみたいです。記憶を共有できるので間違いありません。彼女は私を押しのけてでも残る決意をしたみたいです」

「これで私もやっと前に進めそうです。だから、ありがとうございました」


 そっか、そういうことね。明里さんは、明里さん自身が消えるべきだと思っていた割にはずっと二重人格の均衡が保たれているなとは思っていた。それは彩香さん自身も明里さんがそう考えていた時には残ろうと思わなかったからなのか。だからお互い主張しあうことなく、これまで平和にやってこれたのだろう。だとすると明里さんの予想通り、これから間違いなく動き始めるだろう。そしてその動き始めるきっかけを作ってしまったのが僕ということになるのか。


「これでよかったのかな」

 

 このまま何もしなければ、もしかしたら均衡が永遠に保たれたままで、二人とも残れたかもしれないのに、僕がそれを壊してしまった。本当にこれでよかったのだろうか。

 気付けば僕はそう呟いていた。

 

「もちろんです、遅かれ早かれ、いつかは一人に戻らないといけない時が来ます。英一さんはそのきっかけをくれたのです」

「そっか、うん。わかった」

「どちらが残るかはわからないですけど、それまで見守っていてくれれば嬉しいです」

「わかった」


 そこからまた数分沈黙が続いたが、もうスタート地点に到着する直前だったので彩香さんは明里に戻ると言って再び明里さんに戻った。


第18話をよんでくださり、ありがとうございました。

少しタイトルが雑になってきましたが、良いのが思いつかないのでこれで勘弁してください。何か良いのを思いついたら修正をいれます。



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