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私の中に私たちはいる  作者: µ(ミュー)
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第15話 ミニ旅行(仲直りの作戦会議2)

第15話を読みに来ていただきありがとうございます。

「じゃあ十分後に荷物をもって入口前に集合で」


 いつもなら信也が率先してやってくれるのだが、ご覧の通り目が死んでいるので、代わりに僕がこの場を仕切る。

 宿は二人一部屋を二室予約しており当然僕と信也、九条さんと明里さんの部屋割りだ。一度部屋に行き、荷物を整理してから出かけようということになった。



「思ったより広いね」


 割り当てられた部屋に入った時にそう思った。頑張れば、一部屋で四人寝られないこともない広さだ。


「なあ、英一」

「ん?」


 力のこもっていない弱い口調で、あまりにもいつもの信也と違いすぎて少し驚いてしまった。


「その、悪かったな。せっかくの旅行台無しにしてしまって」


 信也は珍しく屈託してこちらを見ている。

 こうして、正面向かって謝られると、責める気にはなれない。まあ、もともと怒ってはいないけど。

 ただ、旅行がこのまま終わって、その後四人の雰囲気が気まずくなって自然消滅、ということだけは避けたい。そうならないためにも出来るだけ早く解決したいとは思っているけど、どうしたものか……。


「何言ってるんだよ、まだ初日の昼だぜ? これから楽しんでいけばいいじゃん」

「そ、そうだよな……」


 しかし、そういう信也にはまるで元気がなかった。見るからに昼の出来事を引きずっている。

 まあ、無理はない。この状況で楽しめという方が無理な話だ。そんなことを考えているとふと、とあるパンフレットが目に入る。


『○○山肝試し大会開催のお知らせ』


「これだ!」

「おぉ、どうした?」


 突然大声を上げたので驚く様子の信也。


「心配するな、必ず今日中に仲直り出来る機会を用意してやるよ」

「そうか、ありがとう」


 まだ信也は暗いままだったが、どこか先ほどまでとは違い安堵の表情を浮かべている気がした。


 それから数分後、僕たちは合流し、予定通り川に向かうことになった。ムードはまだまだ険悪だが信也も九条さんも少しだけ表情が穏やかになったように感じる。恐らく明里さんの方でも何か話したのだろう。


「ねえ英一君」


 川に向かう途中の細い歩道でまた明里さんが小声で話しかけてきた。


「何かな?」

「私二人を仲直りさせるいい方法を思いついたの」

「奇遇だね、僕もさっき思いついたんだ」


 どうやら彼女の方でもしっかり考えてくれていたようだ。僕の思いついた方法と彼女が思いついてくれた方法。二つ試せば成功する確率もぐっと上がりそうだ。


「それがね、部屋にあったパンフレットをたまたま見たんだけど」

 ん? 部屋にあったパンフレット。そこから仲直りに導く方法が見つかった?

 まさか、僕と同じ方法を思いついたんじゃ……。


「そのパンフレットってもしかすると肝試し大会のパンフレットのことだったりする?」

「そうだけどよくわかったね」


 明里さんが驚いた表情を見せたが、部屋にあったパンフレットといえばそれしかなかった。それに各部屋に違うパンフレットを置いてるとも考えにくいので恐らくそうだと思った。


「で、その肝試し大会の二人一組のペアを作るってところを利用して九条さんと信也にペアを組ませると」

「え? なんでそんなことまでわかるの? もしかして英一君て天才?」


 明里さんは目を丸くして、心底驚いているようだ。


「なんでって言われると僕も同じことを考えていたから」

「え? そうなの?」

「うん、僕もそれを見た時にこの方法なら吊り橋効果とかもあって成功しやすいんじゃないかって思ったんだ」

「なんだ同じか……」


 明里さんはがっくりと肩を落とし、残念そうな表情を浮かべているが、そこまで悲観的になることでもないと僕は思う。

 確かに別々の方法を両方試せればそれはそれでどちらかが上手くいく可能性が高かったとは思う。だが反対に、同様の案が出たってことはそれだけ成功する確証が得られたというものだ。

 絶対に上手くいく。あまり長引くと、今度はお互い謝るタイミングを失って、どんどん仲直りのきっかけすら掴めなくなってくるから、早めに解決しておきたい。


「まあそんなにがっかりしないでよ。僕たち二人ともが思いついた作戦なんだからきっと成功するよ」

「そうね、そうだよね! 大丈夫よね!」


 明里さんも数時間前まではかなり暗い表情を浮かべていたが、どうやらもう心配はいらなさそうで、少し安心した。




 川遊びが終わり夕食の時間になる。もともと用意されていた夕食に加え、僕たちが釣った川魚を捌いてもらい、より豪勢となっている。ちなみに僕が三匹、明里さんと九条さんは二匹、信也は四匹釣ったが、捌いてもらえるのは一人一匹までなので一番おいしそうな魚を選び残りは川へ返してあげた。




 夕食が終わり、この後どうするかという話になり、僕たちがパンフレットにあった肝試し大会に出てみたいと希望したので、作戦通り四人で参加することになった。

 内容は暗い山道を二人一組で通って、その先の神社にある札を持って帰ってくるというもの。無事に札を持って帰ったら、何か景品と交換してくれるらしい。

 とはいっても無料のイベントだから景品には期待しない方が良いだろう。

 それよりもここでの目的は主に二つ。まずは信也と九条さんを仲直りさせること。まあ、これに関しては二人きりの状況を作って、謝るきっかけを作るだけ。あとは当人同士の問題で、他に僕たちが出来ることはない。

 そして、もう一つの目的が僕と明里さんの問題だ。僕自身明里さんに話しておきたいこともあるし、真二と彩香さんも、これを機に親睦を深めてもらえればと思う。

 

 これらの作戦が上手くいきますように、と願いながら僕たちは肝試し会場へと向かっていった。

第15話を読んでいただきありがとうございました。

第15話投稿前で、PVが500を超えました。まだまだもっと多くの人に楽しんで読んでもらえるようにしますので今後ともよろしくお願いいたします!


次回も明日の18時頃の投稿です。誤字やおかしな点があれば指摘していただけると助かります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 成程、肝試しですか。 確かに良いアイデアですね。 これで信也と九条さんが仲直りして欲しいです!!
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