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027 初だんじょんは気もそぞろ

 


 結界の魔道具をその場でちょっと改良して二人に渡し、自分も身に付ける。


 魔石をちょっと大きめにしてみたのと、エネルギーが切れてきたらだんだん結界の色が変わる術式を組み込んでみた。

 これで4時間経ったかどうかハラハラしなくても大丈夫だよね!


 結界の魔道具を展開させて、改めて今後について話し合う。

 その間にも私はリヒトとロティルに魔剣や各種魔道具や魔具、ポーション類を渡す。


 リヒトのメインウェポンは剣なので、いくつかの魔剣を渡す。

 ロティルのメインウェポンはナイフだった。短剣を佩いているのは「旅装です」とのこと。

 でもあれだね。何の偶然か私はナイフの魔剣も作ってたんだよ。


 二人が使えそうな武器は全部渡しておく。

 大丈夫、他にも魔の付く武器はたくさんあるから心配しないでよ!

 私も刀を装備。小太刀だって5歳児がもてば立派な太刀に見えなくもない。もちろん魔刀だよ。


 持っていた魔石も分配。ペンダントに使うからね。

 私と一緒にいる間は私がここで魔石を手に入れた先からどんどん結界の魔道具用に加工してみんなの分を用意する事にして、分配分ははぐれた時に使う。


 飲食物はリヒトもロティルも水筒と携行食を持っていた。

 二人には結構前から【アイテムボックス】の魔具を渡しあったので、予備の装備も含めてその中に入れていたみたい。



 それからまた改めて最悪の事態の事をいろいろ話し合い、魔道具も配り終えたところで脱出する為に行動に移す。

 私達が巨鳥の魔物にさらわれた事をみんな見ていたらしいので、早く合流しないと。


 それにリヒトやロティルに何かあったら二人の親御さんに顔向けできない。

 さっき結構リヒトをキズモノにしてしまったけど、何の傷跡もなく完治したけど…大丈夫だよね!?


 ロティルも知らないうちにどこか怪我しているかもしれないから、そっと【ヒール】の魔法をかけておいた。すぐバレたけど。

 でもまだ心配だから食事時にでもポーション飲んでもらうよ!


「ところでお嬢様、先ほど飲ませていただいた増血効果のあるポーションですが、一般的なものとは色が違いました。本来はどんなポーションなのですか?」


 ちょっと余裕が出て来たのか、リヒトが話しかけてくれる。

 話題はポーション。今まで興味なさげにしてたリヒトだったけど、興味持ってくれて嬉しいよ!

 いいよいいよ! なんでも聞いて。なんでも教えちゃうから!


「まいるどえりくさー」


 だから私は意気揚々と答えた。ドヤー。


「マイルド…? ……エリクサー!?」


「っ!?」


 茫然とポーション名を繰り返すリヒトと、驚くロティル。

 どちらも滅多に見る事の出来ない表情だ。


「うん。エリクサーから不老不死効果をはぶいた、ひとにやさしいえりくさー」


 この前こっそり両親に渡したものよりやや効果は劣るけど、やっぱり大人用と子供用で分けたほうがきっといいと思うんだ。

 事実、リヒトもロティルも両親より体格、体力、魔力が劣るわけだしね?


 もー、この配合を見つけるのが大変だったんだよ!

 あっ、原液もあるよ?


「「なるほど…」」


 何故か二人が死んだ魚の目の様な目になって心にもなさそうに納得を口にした。

 たまに見る表情だ。それどんな感情?


 そんな会話をしながらも、サクサク進む。

 C級の魔物でもリヒトは簡単に倒していく。

 私が思っている以上にリヒトはすごい護衛なのかもしれない。


 …………いや、待って。

 リヒトの歳で魔物を剣の一振りで屠るってかなりすごいよね!?

 確か今14歳。私の護衛に就いたときは12歳?

 毎日私の護衛してるからそんなに訓練の時間取れてないのに、これってすごくない!?

 もしやこやつ…主人公か!


 …でもそんなリヒトと訓練では最近私が勝つ機会が多いんだけど、どうなんですかね?

 種族違うから勝負に入らないですかね?




 魔物はダンジョンだからか、倒しても死体が残るわけではなく、魔石と、一部素材がぽてりと落ちるだけ。

 落ちたものを私が拾う。最初はロティルに難色を示されたけど、守られる立場の私が拾う方が効率がいい。


 でもだんだんそれも飽きてきた。“慣れ”と言うわけでないけど、リヒトを観察してたら私にも出来るような気がする。

 リーチの問題もあって物理攻撃はちょっと怖いけど、魔法ならイケる気がする。

 あと、魔物を倒したら消えると言うのもハードルを低くさせてくれる。


「リト」


「なんでしょう」


「わたしも魔物、たおしたい」


「……対人においてお嬢様は私より強いです。が、実戦経験や魔物相手となると…」


 リヒトがちょっと考え込む。


「かいそうぬし相手のれんけい、必要」


 ちょっとひと押ししてみる。


「…それもそうですね。今のうちから実践経験を積んだほうがいいかもしれません」


「うん!」


「今のところ向かってくる魔物は単体ですが、複数の魔物に襲われた場合の事も考えないといけなかったですね…。ではこれから3人での連携も考えて行動しましょう。ロティルには背後をお任せします。お嬢様は前から来る魔物の奥にいる魔物に遠距離魔法で牽制してもらう役目をお願いいたします」


「わかった」


「承知しました」


「ダンジョンでは何があるか分かりません。気をつけて進みましょう」


 護衛の領分であるため、今日はいつになくリヒトの声を聞く。

 いつも短い言葉しか聞けなかったけど、リヒトはこういう話し方をするんだなーってちょっと感慨深くなる。




 それから私もロティルもリヒトにサポートされながら、単体で出てくる魔物と何度か戦わせて貰った。


 私は魔法でも物理でも一撃で倒せた。

 ロティルは最初ちょっとてこずったけど、魔ナイフに持ちかえたら一撃で倒せるようになった。


 それを見て以降、リヒトは魔剣を使用し始めた。

 なんだか釈然としない気持ちだったけど、使ってくれたから良しとするか。


 二時間ほど進んだだろうか。

 私は限界がもうすぐそこまできていた。


 歩きながらうとうとしてしまう。

 この幼女体(ロリボディー)に夜更かしは難しい。


「お嬢様、もう少し頑張ってください。どこかにあるはずなのです、安全部屋と呼ばれる、ダンジョン内でも魔物の侵入や発生しない部屋が」


 おお…。

 本で読んだやつ!

 ちょっとだけテンションが上がり、眠気が紛れた。


「がんばる」


 宣言通り、私は頑張った。

 後半はロティルに手を引かれて歩いたけど、なんとか頑張った。


 1時間してやっと安全部屋を見つける事が出来た。


 入ってみると何の変哲もない、ゴツゴツした岩肌むき出しの部屋。

 小学校の教室くらいあるかな?


 もっとよくみたいけど、もうダメだ。

 私はロティルにワンセットだけ持っていた、日本のものの再現にハマっていた時に作ったキャンプ道具セットを渡すと同時に、眠ってしまった。

 説明書も入っているから大丈夫だよね、きっと。



 目が覚めると、きちんとテントの中にいた。

 どうやら二人はテントを組み立てる事に成功したようだ。

 寝袋には入っていなかったけど、寝袋を敷布団代わりにして上にはブランケットがかけてあった。

 隣で一緒に寝ているロティルも下に寝袋を敷き、上には毛布をかけている。


 ロティルの寝顔、初めて見た。

 あどけなさが出る寝顔もしっかり美少女だ。


 テントからもぞもぞと這い出ると、リヒトが番をしてくれていた。


「お目覚めですか。ご気分は如何ですか?」


「ん。普通」


 まだ働かない頭でぼんやり周囲を見ると、私が渡したキャンプ道具はきちんと全て組み立てられた状態だった。

 使用した感じもあるから使い方も説明書できちんと理解できたっぽい。

 私はそれを見つけ、ちょっと離れたとこにある簡易トイレでお花摘み。

 簡易トイレは自信作。【水魔法】と【アイテムボックス】の応用で作った、水洗トイレさ!


 水魔法で手を洗って風魔法で乾かし、トイレから出ると、ロティルも起きていた。

 二人は交代で休んだらしく、前半にリヒトが休み、後半にロティルが休んだと教えてくれた。

 ちなみにリヒトは仮にもお嬢様である私がテントを使用しているので、外で休んだっぽい。

 マジでごめんよ。


 しゅんとしてたら慌ててリヒトが言葉をかけてくれた。


「あの寝袋は素晴らしいですね。緊急で起きなければならない場合に備えて中に入る事はかないませんでしたが、敷布として使うと、地面から伝わり続ける冷たさを全然感じることなく、温かく休むことが出来ました。素晴らしいです」


 その後、毛布の事もとても褒めてくれた。

 ロティルも一緒に私を励ますようにリヒトの言葉に賛同しまくる。


 ああ、二人に気を使わせてしまった。

 これはアレですね。

 私、ここから挽回するからね!

 リヒトに一人用テントつくったる!

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