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(WEB版)凄くモテる後輩が絡んでくるが、俺は絶対絆されない!  作者: yuki
第三章 : 凄くモテる後輩と俺
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おにいちゃんは我慢できない

「――――あんた、本当にバカね!!」


 店内に、音琴の怒りの声が響いた。


「あんた、これまで二菜ちゃんの何を見てきたのよ!」

「お、おい音琴、落ち着けって! めっちゃ目立ってるから、お前!」

「そんなもんわかってるわよ!」

「六花、落ち着きなって……一雪がバカなのは昔からだし、そんなんじゃ冷静に話もできないでしょ?」

「おい……」


うー、っとうなる音琴を、五百里が宥める。

普段から感情的に動くやつとはいえ、ここまで怒っているのを見るのは初めてだ。


「一雪も、冷静になってこれまでを思い返したほうがいいよ」

「冷静に……なぁ……」


冷静に……春からの出会いを思い出して……。

思い出してみたが……ほんとに、俺なんかのどこがいいんだこいつ?

しょっぱなから、『俺は金がない』とか言ってる男だぞ。


わからん、二菜が俺なんかのどこがいいのか、さっぱりわからん……!



「そんなんだからあんた、これまで好きになった女の子みんなにフラれんのよ」

「……音琴さんや、俺の心の傷を的確に抉るの、やめてもらえます!?」

「はー……二菜ちゃんも可哀想ねぇ、こんなヘタれに惚れちゃって」

「おい」


いやまあ、事実ヘタレなんですが。


「あとは、天音さんと少し話し合った方がいいかもね」

「そうねぇ……この様子だと、二菜ちゃんがなんで一雪を好きになったかも知らないだろうし」

「その口ぶりだと、なんか聞いてそうだな音琴」

「知ってるわけないじゃない……そういうのもちゃんと話せって言ってんの!」


なんだよ、知らないのかよ。

ていうか二菜が俺を好きになった理由?

……あんの、そんなの?


「君たちはいつも一緒にいるわりに、そういうこと知らないんだねぇ」

「今日は帰ったら、絶対二菜ちゃんとちゃんと話し合うのよ! いいわね!!」

「はい……」


ここまでこの二人に言われるというのは、本当に珍しい。

そうだな……帰ったら、一度落ち着いて話してみるか……。


「ところで一雪、文化祭の件だけど……」



 * * *



「ただいまー」

「あ、おかえりなさい先輩、遅かったですね?」

「んー、あいつらとちょっと色々な……」


 夕方に帰宅すると、二菜がいつも通り、うちで料理をしていた。

今までなんとも想ってなかったけど、毎日こうして料理してくれるのって、ほんとにありがたいよなぁ……。

とんとん、とリズミカルに包丁の音を鳴らす二菜に、近づいていく。


「先輩、手を洗ったら、ちょっとお茶にしましょうか、こっちも一段落……ひえっ!?」



 ……思わず背中から、二菜を抱きしめてしまった。

あー、まずい……これは妹にしてもいい事の範疇を超えている気がするっていうか、ついこの前まで、俺は絶対こんなことしない、って言ってた気がするんだけど!?


「あ、あのあの、先輩、ど、どうしたんですか急に!?」

「いやー……なんか、後ろから見てたらなんとなく……」

「い、今! 包丁持ってるから、危ないですよ!?」

「じゃー、包丁置いてくれ」


あー、落ち着く……。

早く離してやらないと、変な勘違いをさせてしまう! とは思うものの……


「……くふふ、仕方のない先輩ですねー……」

「悪い……あーでも、落ち着く……」

「先輩はー、妹と思ってる女の子にこんなことするんですかー?」

「そ、そうだよ、俺、実は妹萌えなんだよ!」

「くふふ! そうですか、妹萌えですかー! だめなおにいちゃんですねぇ……♡」


 なんか、どんどん変な方向に進んでいる気がするのは気のせいだろうか?

……いや、気のせいじゃないな、どんどんだめな方向に進んでるわこれ……!

でも、今はこの心地よさに抗えない……っ!


「……そうだよ、俺は駄目なお兄ちゃんだから、二菜も気をつけるんだぞ」

「くふふ……はぁい、気をつけます!」

「あ、あと、膝枕して欲しい」

「お兄ちゃんは急に遠慮がなくなりましたね!?」


そうだよ、お兄ちゃんは我慢がきかないんだ。


「駄目か?」

「いえ、いいんですけどー……」

「夕飯食べてからでもいいから」

「ちょうどいいです、一段落したので、ソファーのほうへ行きましょうか」



そういうと、二菜がするりと俺の腕から抜けてしまう。

ああ、膝枕は嬉しいけど、これはこれで寂しいなぁ……。


「さ、先輩、どうぞー♡」

「それじゃ遠慮なく……前から思ってたけど、これ膝じゃなくてふともも枕だよな」

「まー、頭を乗せる場所が場所ですから……ねぇ……」


さらさら、と俺の前髪を二菜がなでてくれる。

あー、ほんとに気持ちいい……。

ふと目を開くと、優しげな表情で俺を見ている二菜と目があった。


それにしても、本当に、可愛いやつだな。

目もぱっちりしてるし、瞳も綺麗な青色。

桜色に色づいた頬も艶やかな唇も、妙に色っぽく見える。


「二菜は、本当に可愛いな……」

「な、ななななんですかいきなり!?」

「本当に……なんで二菜みたいな女の子が、うちにいるんだろうなぁ……」

「……くふふ、それは、私が先輩を大好きだからですよー?」

「そっかー……」

「はいっ、ですから、私とお付き合いしましょう!」

「お兄ちゃんは、妹とはお付き合いしないんですー……」

「もー! なんでですかー!」


そういいながらも、二菜の表情は優しく微笑んだままで、俺の髪をなでる手も優しい。

こうやっていると、どんどん眠たくなってきて……あー、二菜と、話をしないといけないのに……。

まぶたが、下がって……。

あれ、何か言わなきゃいけない事が……あった気が……。


「……二菜……」

「はいはい、なんですか先輩?」

「……好きだ……」

「へっ……」


 * * *



「せ、先輩、今、なんていいました? え、好き? え??」

「すぅ……」

「って寝てるし……!」


あ、あわわ……好きって……先輩が、好きって……!

え、すき? 隙? 私が隙だらけってこと? え!?


肝心の先輩は完全に寝ちゃってるし、どういう意味か聞けないし!


「なんでこんなときに言うんですかぁー!」


こんなんじゃ、私、生殺しみたいじゃないですか!

大好きな先輩を膝枕して! そんな先輩に好きって言われて!!


と、とりあえず、これもお義母様に報告しなくては……。

まぁ、なんにせよ。


「……先輩、次はちゃんと起きてる時に、言ってくださいね?」



私は、いつでも待ってますから。

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