迷宮探索 21
投稿予約時間ミスってました。楽しみにしてくださってた方は本当にごめんなさい。
お詫びとして今日は12時と21時の計3本投稿するのでそちらも見に来てくださいね!
〜最下層〜
「また門があるね」
「え、またボス戦か?」
俺は少し戸惑いの声を出し、日向はまた少し震えだす。
『いえ、もうボス戦はないですよ。まぁ、中に入れば分かります』
だそうだ。例の如くこんな所でうだうだしていても始まらないので意を決して門を開ける。
「うわぁ」
「これ、やばくないか?」
今俺達の前には5メートルくらいの立派なドラゴンがいた。
ちょっと待てナビちゃん、ボス戦はなかったんじゃなかったっけ?
『はい、そもそもこんな所で戦えませんよ』
へ?
俺はナビちゃんの言葉を聞き一度ドラゴンから視線を外す。
するとそのドラゴンの後ろには直径2メートルくらいでひし形の形をした透明の石が宙に浮いていた。
「綺麗だな…」
「え?何が?」
日向はまだドラゴンから目を離せていない為その石の存在を知らない。
「お、やっと来たね」
「「は?」」
いきなり目の前にいるドラゴンが話しだし、これには二人共反応に困った。
ドラゴンって喋れるの?
『はい、ある程度知性のあるドラゴンは話せますね』
「君達がこの迷宮をクリアした人達だね。僕の名前はアルメダだよ。アルって呼んでね。一応伝説龍をやっているよ」
伝説龍って何?
『ドラゴンの中にもランクがあり上から神龍→伝説龍→古龍→成龍→幼龍→上級龍→中級龍→下級龍とされています。伝説龍は上から二つ目ですね』
それって強いの?
『ドラゴンはこの世界では最強の種族として謳われているのでその中のナンバー2となれば強い部類に入るでしょう』
へー。ていうか幼龍より上級龍の方が弱いのが疑問なんだが?
『ドラゴンの中でも幼い時期から選ばれたドラゴンしか幼龍として認められません。なお、幼龍からしかその上のランクにはいけません』
つまり生まれた時に下級龍か、幼龍かによってドラゴンの中のランクも変わってくるわけか。
『そういう事です』
なるほど。そして日向は完全にフリーズしてるな。とりあえずスルーしておこう。
「よろしくアル。とりあえず今の状況を説明してくれると嬉しいんだがな」
「へー。僕の事を知ってなお堂々と話してくるなんて凄いね。命知らずかな?」
アルも俺の態度に驚きと感心を持っている。
「命知らずではないかな。なにせお前よりは強いから」
「へー、自信満々だね。ん?あはは!ほんとだすごいね君。これでは僕に勝ち目はなさそうだ。そうだ!君の名前は?」
アルは俺の事を見てその実力の一端を理解したのか俺の態度に納得した。
「ん?俺か?俺は楓だ」
「カエデか。よろしくねカエデ」
「こちらこそよろしくな」
「やっぱりすごいね。それと今の状況の説明だっけ?何から聞きたい?」
「とりあえずアルがなんでこんなところにいるのかと、途中に奇妙な部屋があってな。とある情報からだと最下層に行けば謎が解けるって聞いたんだがそれも聞きたいな。」
「OKカエデ。なぜ僕がここにいるのかというとたまたまかな。ちょうどこの迷宮が出来る前にこの地の上で昼寝をしてたんだけどその時にちょうど迷宮が出来ちゃって閉じ込められちゃったんだよ。それでこのコアから一応ここを守るように言われたんだけどこの世界の人間ってあんまり強くないからずっと暇してたんだー」
アルが面白そうに話をしてくれる。俺の中でドラゴンといえばもっと威厳がある奴が多いのかと思ったがそうでもないのか?
『いえ、このドラゴンが特別なだけかと…』
「へーじゃあ今は俺達が来たから俺達に敵対するって事かな?」
「いやいや、そんなわけないでしょ。カエデにはどうやっても勝ち目ないから戦わないよ。僕は賢いから勝ち目のない無駄な戦いはしない主義なんだー」
賢い奴である。
「そういう事ならいい。それと次の質問の答えは?」
「そうだね。あの部屋は言わば迷宮からのプレゼントみたいな物なんだ。簡単に見つかる様な物じゃないからもしあの部屋を見つけた者がいるのならそいつに全てをプレゼントしようと。
ちなみにあのアイテム全てこの迷宮の魔力で物質生成して作り出された物だよ。他の迷宮にあるのかは知らないけどこの迷宮はそうやって自分の威厳を守ってたんだってー」
なるほど。あれは迷宮自身のプライドの高さだけで作り出された物なのか。にしても便利だな。迷宮ってのは。
「なるほど、理解した。ちなみに俺達はこれからどうすればいい?」
「選択肢は二つ。一つ目はあの迷宮のコアを潰してこの迷宮自体を潰す。そうすると自動的に君たちは外へと転移する様になってるから君達は潰れる事はないよ。二つ目はこの迷宮の為にここは見逃してくれる事。そうすればこの迷宮はまだ生きていけるしこれからも迷宮として活動していけるんだとさ」
「そうか、ちなみにお前はどうする予定だ?」
「そうだね。せっかくカエデと仲良くなれたから良かったら一緒に連れて行ってくれない?」
なんとアルは思いもよらない事を提案してきた。
「別に良いが流石にその格好はまずいだろう」
少し呆れながら話す。俺自身別にアルなら俺達の仲間になっても良いと思っている。
日向にも確認を取りたいが今はフリーズしているのと、こいつなら多分了承してくれるだろうからクランマスターである俺がとりあえず返事をしておく。
「さすがに目立っちゃうか。ならこれならどうかな?」
そう言ってアルの体は光だしだんだんと人の形をかたどっていく。
「これならいいかな?」
「あぁ完璧だな」
「ありがとう」
アルは二十代前半の青年に変わっていた。
髪の毛は赤色で、優しそうな目をしている。楓より少し背は高く楓程ではないがイケメンだ。
「アルはこれから俺達に付いて来るんだよな?ここはいいのか?」
「そうやって聞くって事はコアは潰さないんだね。うん、そもそも僕はここにいる必要がないからね。あとカエデ達以外でここまで来られた人なんていないから大丈夫だよ」
「当たり前だろ。なんでわざわざこの都市の収入源を潰さないといけないんだ」
「あはは!そうだよね。良かったねコア」
そうアルが迷宮のコアにいうとコアは突然光りだす。
「コアもありがとうって言ってるよ。本来ならあのアイテムはここから出ると没収されるんだけどカエデは命の恩人だから全て持って行って良いよだって」
迷宮のコアにも気に入られたみたいだな。
「ありがとうな。ありがたく使わせてもらう」
そう俺が言うとまたコアは光りだす。
「は!?楓くんこの人誰?」
日向は今頃フリーズモードから解き放たれ今の現状把握に努める。
「こいつはアルメダ。さっきのドラゴンだよ。これから一緒に行動していこうと思うんだけどいいか?そしてアル。こいつは日向、俺の仲間だ」
「ヒナタか。よろしく。僕のことはアルって呼んでね。にしても君もなかなか強そうだね」
「あ、ありがとう。分かったよ楓くんがそう言うなら私は反対しない。むしろあのドラゴンが仲間になるなんて心強いね。よろしくねアル」
3人で軽く自己紹介をしたらすぐに馴染んだ。
「てかアルって何歳よ?後ステータス見てもいいか?」
「いいよ。ちなみに僕は1000歳は超えてると思うけど細かい歳は忘れちゃったよ」
さすが伝説龍だな。ちなみにステータスはどんな感じかな?
ーステータスーーーーーーーーーーーーーーーー
アルメダ Lv1000(人間 Lv100)
種族 伝説龍
体力 50000 (30000)
筋力 50000 (30000)
敏速 50000 (30000)
知力 50000 (30000)
魔力 50000 (30000)
幸運 50000 (30000)
スキル
身体強化 Lv100
鎌術 Lv100
体術 Lv100
魔法 Lv100
ユニークスキル
戦略
全属性魔法
エクストラスキル
伝説龍の誇り
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うわ、これは魔王よりも強いんだろうな…。それとドラゴンはレベルの上限が1000みたいだな。ここら辺は後で俺がスキルをいじって限界突破など使えそうなスキルを付与するとしてこいつ鎌術を持ってるな。アルの専用武器は鎌なのか?
「アルって鎌を使えるのか?」
「そうだね。人間の姿になる時は基本的に鎌を使ってたからね」
「了解した。今度アルの分の武器も作っておくよ」
「本当かい!それは嬉しいね!楽しみにしてるよ!」
アルは嬉しそうである。
「そういえば楓くん。これからどうするの?次は登っていくのかな?」
あ、すっかりと忘れていた。どうしようかな…
「あぁそれなら迷宮のコアがお礼も兼ねて迷宮の外のバレない所に転移してくれるみたいだよ」
「本当か?それは助かるな」
「ん?コアってあれが?そっか!ありがとね!」
二人でコアに向かってお礼を言ったらコアは今まで以上に青白く光り目を開ければそこは迷宮の外だった。
「本当に出てきたな」
「凄いね。転移魔法。っていうか楓くんも使えたんじゃない?」
「あはは!久しぶりに外に出たけど変わらないなぁ。でも気持ちいいや!」
そうだった。わざわざ野宿なんてしないで転移魔法で戻ってくれば良かったんだ。忘れてた。
「忘れてたね?」
「ごめんなさい」
素直に謝っておこう。
「それよりアルも仲間になったんだし今日は宿をとって明日から色々と手続きをしないとな」
「そうだね」
「そっか!よろしく頼むよカエデ、ヒナタ!」
新しい仲間が増えクラン『無限の伝説』に初めて仲間が増えた歴史的瞬間であった。




