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迷宮探索 13


俺の言っていた通り第十八階層と第十九階層にも隠し扉が存在した。


まず第十八階層の隠し部屋の中身だが小さな部屋に計十個のアイテムバッグが置かれていた。


最初俺達はアイテムバッグそのものがここの目当ての物かと思ったが中身を見てみると一つ一つに凄まじい量の素材が入っていた。それはレアな魔物の素材やレアな植物、まず普通に生活していては出会えないであろう素材が中にぎっしりとあった。


調べてみると一つのアイテムバッグの大きさはシュトガルの面積と同じ位であった。


まずこの大きさのアイテムバッグを迷宮はどうやって手に入れたのかは未知数だがこんな物があると知られたら戦争物なのは確実である。


このアイテムバッグは日向では使い道がないという事で俺が全て受け取った。俺の場合武器を作るなり防具を作るなりで使い道は山程あるからだ。中にはドラゴンの素材や伝説の魔物の素材もあったので凄い物が出来上がるだろう。


そして今第十九階層の隠し部屋を見つけた二人は…


「さっきの階層のは凄かったね」


「あぁ、なんでこんな物があそこにあったのかは謎だが、どうせ迷宮が絡んでる事は事実だろう。それよりもここは何が待っているのやら…」


流石に俺もここ迄都合良く色んな物が手に入るとは思っておらず貰い過ぎでは?と少々萎縮してしまっている。それでもちゃっかり全て貰って行くところを見ると俺の図太さが分かるだろう。


「さて、じゃあ入ってみるか」


「そうだね。流石に他に冒険者はいなさそうだけどあんまり扉の前で話してるのもよくないしね」


俺はドアを開ける。そこには一つの豪華そうに見える机の上に一冊の本が置かれていた。


「ん?この本?」


「分からない。とりあえず鑑定してみるよ」


鑑定っと…


〜世界資本〜

この世界の下級情報は全て分かる優れもの


なんだこれ?


『これは私の下位互換ですね。情報にも神級、超級、上級、中級、下級と情報のランク分けがされていてこれはその下級の情報が引き出せる本ですね。私と違って自我がありませんし、ただ聞かれた事に対して情報開示が可能ならばその本自体が教えてくれます』


結構凄くね?


『当たり前ですよ、ワールドアイテムなんですから…』


え!?これワールドアイテムなの!?なんでまたこんな所に…


『それは最下層に行けば分かりますよ』


へー、っていうことは隠し部屋についても最下層に行けば何か分かるって事だな。それとナビちゃんってどこまでの情報が引き出せるの?


『私も成長し、前迄は超級迄でしたが今では全ての情報開示が可能です』


ナビちゃんもチートしてるんだね…


『なにせマスターの一部ですから』


という事は俺には必要ないな。日向にあげるか。


「日向、これはワールドアイテムらしい。なんでもこの世界の下級情報ならなんでも分かるんだとさ。例えばこの素材は何処何処にある、とかシュトガルの歴史などなどらしい。それで俺はスキルで間に合ってるからこれは日向に渡そうと思う。なんでもワールドアイテムっていうアイテムの中でも頂点レアリティらしいからそれを持ってるのは恐らく日向だけだろうな」


「え!?そんなものを貰っちゃっていいの!?」


「あぁ、俺はお金も素材もほとんど貰ってしまったからな。それは、そうだな……俺からのプレゼントだ。これなら受け取ってくれるか?」


「プレゼント…ありがとう!」


日向は嬉しそうである。普通ワールドアイテムを女の子のプレゼントにする人などあり得ないが俺にしても別に必要ないので日向に有効活用してもらう。多分日向ならいい使い方をしてくれるはずだ。


「ありがとう楓くん!大事にするよ!」


日向はまたお礼を言ってきた。


「喜んでもらえて良かったよ」


そんなこんなで隠し部屋の謎が深まる一方であったのだが、そんな悩みを持っているとは思えない程のスピードで歴代で1パーティーしか到達していない第二十階層に挑むのであった。



〜一方その頃勇者達は〜


「うわ!なんだこのトラップ!」


「ちょっと待って今解除…なんて私達出来ないよ!?」


「どーするよ!トラップがあるなんて聞いてないし!」


「ここにポーションが大量にあるから傷がある奴は使っていけ!」


「でもこれ苦い!」


「そんな事言ってないで!学級委員長!アイテムバッグの中にあるポーションちょーだい!」


クラスメイトたちは第五階層迄のうざいトラップではなく確実に少しずつダメージの入るトラップにパニックになり統率が全く取れていないのであった。


「っ!とりあえず撤退だ!一回戻ってガウルさんに報告だ!」


「そうだね!もう嫌だ!さっさと帰ってふかふかのベッドで寝たい!」


「俺も美味い料理が食べたい!」


などなど口々に言いだす始末。勇者クランは目標の第十階層にたどり着く前に今回の攻略を諦めるのであった。

このおかげで俺達はクラスメイトと遭遇する事なく攻略に励めるのであった。

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