冒険者ギルドにて 2
明日からしばらく9時、21時の1日に2回投稿したいと思います。時間がある方は朝の9時にも覗きに来てくださいね。なるべく頑張ります!
「さっさとオークを倒して久しぶりに2人で模擬戦でもしようか」
「え!いいの?よーし頑張るぞー!」
日向はやる気満々である。ここは…
「よし、ならここでも勝負といこうか。これから1時間後にどれだけ多くの魔物を狩ってこられるか対決しよう。最低でも2人ともオーク15匹は必要だ。それをクリアしてないとその時点で負け。15匹狩れたのなら他の魔物を倒すなりオークの討伐数を増やすなり好きにする。最終的にはギルドの査定で勝負しようか」
「これなら楓くんに勝てるかもしれないね。よーし頑張るぞ!」
「頑張るのはいいが無茶は厳禁だ。もし死んだりしたら蘇生してたっぷり説教だからな」
楓も日向を死なせる気は無いのだ。
「死んでも生き返る可能性大って凄いね…。でもその辺も気を付けて頑張るよ!」
日向も俺にみっともない所を見られたくないのだ。
「それじゃ行くぞ。だいたい1時間経ったらここに集合な。狩った魔物はマジックバッグに入れてギルドでお互いの戦果を見せ合おう。あ、ハンデで10分やるよ、先に行け」
「ぐぬぬ…そのハンデ、後悔する事になるよ!」
日向は悔しそうにでもハンデを有効活用しようと魔法を使った移動手段で先に行く。
「ここでオークを狩り尽くしたら問答無用で私の勝ち!10分でなるべく多くのオークを狩り尽くしてやる」
日向は杖を構えて火矢を常にセットしておく。見つけ次第頭に一発で終了だ。
「私強くなれてるのかな…この勝負で楓くんに勝って私の方が魔物を狩るのは上手って証明しないと!」
日向は心配しているが今の日向のステータスを見て強くないと言い切れるのは一部だろう。
すでに10人中6、7人は強いと言うであろう強さとでも言えばいいのか。
そして日向はこの1時間、俺に勝つためだけにただひたすらオークを狩り尽くすのだった。
その結果オーク145匹と大量のオークを狩ったのであった。
「そういえば楓くん見なかったな。どこで狩りをしてたんだろ?でもこれだけ狩ったらさすがに私の方が上だよね」
日向は勝ちを信じていた。のちに日向は俺の恐ろしさを改めて実感する事になる。勝負になると負けず嫌いを発動する俺の意地汚さを…
「あ、もう先に待ってたんだね」
そんな事も知らずにやりきった感を出して戻ると先に俺が待っていた。
「おう。なんか日向も結構いい感じだったみたいだな」
「うん!これは私の勝ちかな〜」
「どうだろうな。それよりもとりあえずクエストは完了したししばらくやってなかった模擬戦でもするか。どれだけ強くなったのか楽しみだな」
「楽しみだけど楓くんのステータスオール∞に勝てるとは思ってないからその大きな胸を貸してね!」
「あぁ、かかってくるといい」
そのセリフだけを聞くとどこぞの魔王かと疑いたくなるが本人はいたって普通の人…ではないな。
日向は魔力が高まった事により今迄よりも多く魔法が撃てて、更に威力も上がっている。
先手必勝とばかりに日向は4属性の魔法を一気に俺に放つ。普通の人なら3回は死んでる威力だ。だが俺はそれを特に何をするわけでもなく自分の魔力で魔力の壁を作り魔法を防ぐ。
これはまだ日向には出来ない。という事ですでに日向よりも魔力操作も上な事を思い知らされ日向は歯をくいしばる。
「そんなに簡単に私の魔法を防がれたらいくら強いからってショックだな〜」
「安心しろ、以前とは比べものにならない程威力が上がっている。並みのやつならこれで死んでるから」
「それでも楓くんには効かないみたいだね」
「あぁ、じゃあ次は俺の番だな」
「!!!」
俺は迅速を使い日向の目にも止まらない速さで日向の懐に入る。
「とりあえずこれで一本だな」
そう言って俺は日向の首筋に剣を構える。
「あーあ。あんなの私の目では追えないよ」
「そのうち慣れるよ。それよりもまだやるだろ?」
「もちろん!」
それから2時間ほど、何度も何度も模擬戦を繰り返し2人ともまた一段と強くなるのであった。
「よし、じゃあこの位にしてシュトガルに戻るか」
「だね!模擬戦ではコテンパンにやられたけどこれからの買取査定では負けないよ!」
「それはどうだろうな?」
俺は意味深長な笑みを浮かべながら先に迅速を使いシュトガルを目指す。
「私の方が勝ってるもん!」
日向も自分に言い聞かせる様に言いながら俺の後を追う。行きと同様20分もかからないでシュトガルに戻るのであった。
「あの、オーク倒してきたんですけど少し多すぎてここで出したら凄いことになりそうなんですけどどうすればいいですか?」
「へ?」
受付嬢に何言ってるの?みたいな顔をされた。それはそうだろう。受付嬢からしたらまだまだひよっこの2人。
しかも2人は何も持っていない。ギルドの受付は買取もするので大きく作られている。なので俺の言ってることがイマイチよく分からなかったみたいだ。
「あーだからオーク討伐の依頼を受けたんですけど少し狩りすぎてしまって。なので別の広い場所はありませんか?」
「分かりました、ではこちらに付いて来て下さい」
受付嬢は半信半疑ながらも2人に場所を提供する。
「それでどちらにオークがあるのでしょうか?」
「じゃ、先に私行くね!」
そう言って日向は自分で狩ったオーク145匹をアイテムバッグから出す。
「!!!」
受付嬢の顔が一気に引き攣る。それもそうだ、まずアイテムバッグ自体相当高価なものでおいそれと買える値段ではない。
それにこれだけの量をしまっておけるアイテムバッグなど受付嬢も知らなかった。
それにこの量は一つのクランが一日中狩った量とあまり変わらないのだ。「パーティー」ではなく『クラン』だ。それだけの量を狩っていた。
「先に私のだけ査定して下さい」
「え!これ一人で狩った量ですか!?」
「はい」
「す、少しお待ちください!応援を呼んできます!」
そんなこんなで受付嬢が5人程のギルドの人を呼んできて査定をしていた。日向の結果はオーク1匹で銀貨5枚、つまり5000ルリでそれが145匹だったので金貨7枚と大銀貨2枚、銀貨5枚の72万5000ルリになったのだ。
「結構狩れたなー。それより次は楓くんの番だよ!」
日向は嬉しそうに言う。
「あぁ、とりあえずオークはこれだけだ」
楓はオーク15匹を取り出す。
「ん?何でそれだけしか狩ってないの?」
日向は勝った!と思いながらも楓に聞く。
「ん?それは…」
俺は意味深長な笑みを浮かべながら…
「これを狩ってもういいかなーと思ったからだ」
そこに出てきたのはワイバーンだった。普通ワイバーンとはそこら辺に出てくるような魔物ではなく、探すのに一苦労し、更に戦うのにもAランクパーティ必須なのでギルドからしても喉から手が出る程に欲しい魔物であった。
「す、少しお待ちください。久しぶりにワイバーンなんてものを見たので少しびっくりしました」
楓は周りを見渡すと腰を抜かしてるギルド職員もいた。
日向なんて鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしている。
「楓くん!何処でこんなの狩れたの!?」
「あぁ、これな、あの迷いの森ってあっただろ?そこの奥深くに入っていったらこいつと出会ってな。剣で一斬りだったよ」
「…」
日向はどうやって?や、あそこまでどうやって行ったのか?などなど問い詰めたかったがそれよりも目の前にあるワイバーンが迫力ありすぎて固まってしまった。
「カエデ様、ワイバーンが本物と確認いたしました。これの買取となると光金貨10枚、1億ルリとなりまして、さすがに今出せる額ではないのでまた後日でよろしいでしょうか?」
「あぁ構わない」
光金貨とは白金貨の一つ上の貨幣である。
「では先にオーク15匹分の7万5000ルリを渡しますね」
そう言って大銀貨7枚と銀貨5枚を渡された。
「これで俺の勝利だな」
「そうだね…それよりもこんな額あったらしばらく冒険者じゃなくてもいいよね…」
「だな。でもまぁ俺達の用事は迷宮にあるからな」
「そうだね」
「まぁ、今日はお疲れ様って事で宿に戻るか」
「うん」
日向は悔しそうにしていたがまぁこれで実力の差っていうのを再確認出来ただろう。
それから少しして二人はギルドを出る。二人が出た後にギルドの中で噂になったのを二人は知らないでいた。




