クラスメイトたちは修行をするみたいです!
楓たちがリングベリーを出発してからしばらくして…
〜神殿〜
「どりゃ!」
異世界に転移されて約1ヶ月間、クラスメイトたちは外でモンスターなどを狩るのではなく神殿の地下にある訓練場にてそれぞれの職の基礎を教えられていた。
「俺達、この世界に飛ばされてどうなるかと思っていたけど案外イージーモードでよかったな!」
「あぁ、ちゃんとした勇者になってお姫様と結婚してやるぞ!」
「俺も頑張ってやる!」
一応言っておくが、決してクラスメイト達もこの世界で最強というわけではない。
なんせ楓や日向、マリーという存在がいるのだから。それにまだまだクラスメイトよりも上の存在はいる。現状では一番下の者で冒険者ランクで言うとCランク。
一番上でAランクと言ったところか。まぁそれなりにこの世界では強いのだろうがイージーモードと言える程の力は持っていない。
前にも全知全能神であるイリアが言っていた様に恩恵を授けられる魂を持っていたのは楓だけなのだから。
しかもそれは勇者の『恩恵』であって全知全能神であるイリアをも超える力を与える予定はイリア本人にもなかったのだ。本来なら到底耐えられるはずのない力をその身に宿した楓がさらに元々持っていた楓自身の潜在能力によって神であるイリアでさえも超越したのであった。
今回のメインが楓であるとも知らずあっさりと楓を見放した教会にはご愁傷様としか言い様がない。まぁ教会側からしたらそれでもそこそこ戦える奴が出て来たのだから良かったのだろう。
「この一ヶ月間、勇者の皆様はお強くなられた。まさかこの一ヶ月でここまでの強さを身に付けられるとは思っておりませんでしたぞ」
これはガウルの本心である。まさかここまで成長するとは思ってもいなかった。まぁ初期ステータスオール200の奴もいたから素質はあったのだ。
「そしてそろそろ勇者の皆様には冒険者として旅立ってもらおうかと思います」
その言葉をガウルが発した瞬間クラスメイトがざわめきだす。
「やったぜ!やっと冒険者になれる!ここからが俺達の勇者としての第一歩だ!」
「どんな冒険が俺達を待っているのかな?」
「さっさと魔王を倒して勇者ハーレムしたいぜ!」
などなど、強さは身に付けても精神的なものは小学生以下だった。
「つきましてはここにいる勇者候補の皆様には一つのクランとして活動していただきます。本来冒険者というのはFランクからなのですが皆様Cランクからのスタートとなります」
Cランクと聞き一部が一番上じゃないのかよと不満を口にするがガウルは聞こえないふりをする。
「なお、クラン設立にあたりクランマスターという代表が必要なのですがその方だけは特例としてAランクになります。ですがこれはAランク相当の力をお持ちの方限定となりますのでここで言うとサスケ様になります」
佐助というのは元学級委員長だ。こいつがステータスオール200を叩き出した張本人だ。
現在はそこから伸びもよく全てのステータスが500あたりまで伸びている。
「分かりました。僕がこのクラスのトップとして活動していきたいと思います」
佐助がガウルに宣言する。それを見て男子の何人かは羨ましそうに嫉妬の目を向けているが、地球でも学級委員長をやっていた為、特に異論は出なかった。
「では、明日にでも勇者である皆様の事を公表させていただきます。最初の任務としてシュトガルという街があるのでそこに行っていただきます。そこに迷宮があるのでそこである程度レベルを上げてきて下さい。明日の朝9時に馬車での出発となります。教会からは1人指導役をつけるのでその者に分からない事があれば聞いて下さい」
やっと勇者として認められ、迷宮というゲームチックな所に赴くことの喜びを隠せないクラスメイト達であった。
「そーいや楓と佐倉さんって今どうしているのかな?」
「さぁ、弱キャラらしく何処かで貧相に生きてるんじゃね?」
「だな、今度会った時に俺達の実力を見せてやろうぜ」
「おう!」
奇しくもクラスメイト達の目的地に楓達がいるので行ったら鉢合わせになるかどうかは未だ誰にも分からないのであった。




