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いよいよ出発なのです!

いよいよである。シュトガルに行くと言いながら準備やらクラン設立やらで先延ばしになってしまったがようやく全てが一段落し、行動を起こせる様になった。


「日向〜。今日からシュトガルに向けて歩いて行くけどいいよな?」


「え!?歩いて行くの!?」


「当たり前だろ。俺らの修行も兼ねてるんだから。徒歩で3日だろ?余裕だって」


「そうだけど…わざわざ馬車で1日で着く距離を歩いて行くんだ…」


日向は終始だれていたけど気にしない。


まず馬車と言っても誰が扱うんだって話になるのと、集団で行くのもあるみたいだが知らない人と隣り合わせで窮屈な思いをしてまで馬車で行こうとは思わない。


準備は昨日のうちに終わらせておいたから今日にでも出発するつもりだ。シュトガルには迷宮もあるみたいだから楽しみである。


「さっさと行くぞー。準備しろ」


「はーい」


さて。それでは2日を目標にして、シュトガルに行こうか。


「待つのじゃ」


門を出ようとするとギルドマスターに声を掛けられた。このクソタイミングの悪い…


「はい?どうしたんですか?」


「お主、別の街に行くのか?」


なんで知ってるし…


「はい。なんで知ってるかは置いといてなんか用ですか?」


「いやいや、お主は儂にも勝る冒険者なのでな。この街から抜けられるのは困るのじゃ」


「そんなの知ったことじゃないですよ。僕の判断は揺るがないし、せっかく準備したのにもったいないです」


「ぬぅ…じゃg」


「無理です」


ギルドマスターが何か言おうとする前に即答する。


「まだ何も言ってないじゃろ!…それより何処どこに行くつもりなのじゃ?」


「シュトガルに行こうかと」


「ほう。シュトガルか」


ギルドマスターが何やら怪しい笑みをこぼす。


「シュトガルに行くのか、あそこの冒険者達はこの街の冒険者程優しくないぞ?言ってはなんだが別世界だ。あそこの連中は迷宮がある事もあり強者揃いじゃ。儂に勝てたくらいで慢心してたらやられるぞ?ギルドマスターも儂より余裕で強いしな」


ほう。楽しそうな所じゃないか。


「それは楽しみだな」


「せいぜいヒナタを犯されないように守る事じゃな。あそこの連中は金と性欲に忠実なのでな。そんな可愛い子と行動してたらやられるぞ?」


「それは大丈夫です。日向に乱暴をしようとする奴らには…ね?この前のギルドの様にしてあげますよ」


「ぐぬぬ…」


ギルドマスターも俺の実力を知っている。あの威圧を食らってなお平気でいられる人間など限られている。


それに俺ならシュトガルはそこまで危なくない。確かに冒険者達は強いしギルドマスターも自分より強いがあそこは治安がそこそこ良い。


ただここで俺達を手放すのは惜しいと考えカマをかけてみた様だが、想像以上に余裕であるからすでに諦めモードに入っている。


「そうか、お主らが決めたのならしょうがない。なんせ冒険者は自由でなければいかんからな。じゃが気を付けろよ?お前らならなんとかなるじゃろうがあそこの冒険者は本当に欲望に忠実な奴らが多いのでな。というより街全体的にそんな感じじゃ。何かあればすぐに帰って来ても良いのでな」


「まぁ、少しは気を付けるよ。それよりこんな所にギルドマスターがいても良くないだろうよ。俺たちはもう行くからな」


「あぁ、健闘を祈るぞ」


本来ギルドマスターが一冒険者にここまでして止めに入る事はないのだが、バアラアトルはなんとなく俺を手放したくなかった様だ。


今のギルドにここまで出来る奴がいなかったから低ランク冒険者の態度がでかくなってきていたのだ。


まぁこの前の殺気を受けた者は皆あまりにもでかい威圧を受けて態度をでかくする事はなくなったのだが…


「よし、やっとギルドマスターもいなくなった。それじゃ日向準備は良いか?」


「うん!なんか私の体が危なくなりそうだけど楓くんやマリーちゃんがいればなんとかなるよね!」


「あぁ、それに俺達の力を借りなくてもなんとかなると思うぞ」


「そんな事ないよ。私は全然…楓くんの足を引っ張ってばっかり」


「まぁ、そのうち日向にはSランク冒険者よりも強くなってもらうから安心しろ」


「なれるかな?」


「あぁ俺に任せとけ」


「うん。任せた!」


「おう」


ギルドマスターに止められるというハプニングもあったがようやくシュトガルに向かって出発するのであった。


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