クラスメイトがアホの子のようです!
楓達が冒険者になった同時刻
〜神殿〜
「さて、今日からは魔王を倒す勇者となるため、修行を行っていただきます」
クラスのあちらこちらからやる気のある声とない声でぐちゃぐちゃになる。
「勇者というのは、この世界では神さまみたいなものなのです。皆さま、頑張ってください。ここで強くなられたら、これからはなんでもやりたい放題ですよ」
その、瞬間クラスメイト一同やる気に満ちた雰囲気を醸し出す。本当に欲に忠実なお方達だ。とガウルは真剣に思う。まぁ扱いやすくて助かってはいるのだが…
「ふんっ!ここで力をつけて楓の野郎から日向ちゃんを奪い取ってやろうぜ!」
クラスの男子達が楓を潰すために一生懸命になる。
「その調子です。勇者様方。それでは始めます」
訓練は初日ということもあり、1時間だけになった。まだこの時楓達は迷いの森でゴブリンに無双していた時間だ。
「なんだよこれ。俺らステータスでこの世界の最強集団になれたんじゃなかったのかよ。なんでこんなキツイことしないといけないんだよ」
クラスのあちらこちらから愚痴が溢れてくる。
たった1時間の訓練ごときでここまで音を上げるとはさすがのガウルも想定していなかった。
これは明日からのメニューも予定よりハードルを下げる必要があるな。勇者のやる気を損なわせるのが一番まずい。教会側についてもらわないと、これからの計画に差し支えが出てしまう。ここは成長が落ちるとしても優しくしていくべきだな…
「今日は特別ですよ。明日はもう少し楽ですから。本来の人ならここまでついてこられません。さすが勇者様です」
そんなこと全くないのだが真実を突き止める手段をこいつらは知らない。
「や、やっぱり俺らは特別なのか。それじゃ楓をボコるのも余裕だな!」
「そうでございます。それでは明日からも頑張ってください」
「「「任せとけ!」」」
クラスのそこらから返事が飛んでくる。本当にクズでも教会からすれば都合のいい相手だ。
このまま上手く丸め込んで…
「ではご昼食をご用意させていただきます。午後からは教会の中ならご自由に散策されてもよろしいので、自由時間とさせていただきましょう」
教会と言えどもここはそこらへんの城と同じくらいのサイズを誇る。クラスメイトもそわそわしていた。
「俺らって本当に最強なのかもな!これなら魔王もイチコロだぜ!」
「早く魔王倒してめっちゃ美人なお姉さんを嫁に侍らせようぜ!なんならハーレムでもいいな!」
「拙者は小さい女子がいいでござる。楽しみでござるなぁぐふふぅ」
男子達が気持ち悪い妄想をしている。
「私たちも魔王を倒したら何を叶えてもらおうかしら。いい男もいいけど、楓くんをひ・と・り・じ・め。もいいかもしれないわね。あの白髪かっこよかったわね」
「そうよね。日向とかいうあのバカ女はついていったみたいだけど…」
「絶対にあいつは殺してやるわ。私たちを出し抜いて媚びを売るなんてクズね」
女子は女子でゲスい考えを膨らませている。なおこのころ楓は盛大に鳥肌が立っていたとか…
「本当に欲望に忠実な奴らだ。本当に勇者か?こいつら…魔族と言われても違和感のない考えだな。まぁまだ若い奴らが力を持つとどうなるか。わかっていたことだがな」
普通、まだ16の子供達が自分には力があると分かれば天狗になるのは分かりきっていたことだ。
楓と日向が特別なだけだ。この反応が正常なのだが。想像していた以上にこいつらがアホの子だった。
「さて、これからどうしていくかね…」
ガウルは1人これからどうやって料理していくか考えているのであった。




