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第11話 舞踏会 ダンシング・ハート

 ようやく、石の絨毯(じゅうたん)を歩き終えて屋敷の扉へたどり着いた。


 扉を解放した屋敷も、また広くて、お屋敷の中へ踏み入れると煌びやかなホールが出迎える。


 赤いカーペットは町の道路並みに続き、中央は横に広い階段が二階まで伸びていき、上の階は階段から左右に通路が続いている。


 天井から吊るされたシャンデリアは、浮島に建てられた大都市のようで、幻想的な夜景を彩る。


 絵本や噂で聞いていた物が現実にあった。


「スゴい、スゴい、スゴい! 師匠、見て下さい。こんなに大きな階段がホントにあるんですね」


「ふん、デカイだけで実用的かどうかは別だろ?」


「すぐ偏屈なことを言う~」


 アラベラ嬢がクスっと笑いながら。


「驚かれるのは早いですよ。会場はホールと比較できないほど広いですわ」


 魚人のダーケスト様へ向けられる奇異な視線を無視して、早々と廊下を通って舞踏会の会場へたどり着く。


「わぁ……」


 目に飛び込む全ての光景が、真珠のような輝きを見せていた。

 巨人を招いても、ゆったり出来る程の高い天井。

 天井や壁は金の装飾に囲まれ、囲まれた壁面には、いくつもの絵が描かれている。


 絵を端から追って行くと、神が天界にやって来た人間を善人か悪人か選定し、天国へ招くか、決議する一つの物語が成り立つ。

 言葉が違う異国の来客でも、目で見て楽しむことができる工夫が成されていた。


 窓も柱も矢先に似たアーチがいくつも並び、神聖な空間を構築しており、大理石の床は首を傾けると、自分の顔が蜃気楼のように写る。

 歩けばハイヒールがカスタネットとなり、心地よい楽器に変わった。


 回るキャンドル人形を思わせる貴族のダンスを見た私は、気持ちが高ぶり、師匠の丸太のような腕を掴んで催促する。


「ねぇねぇ、師匠。私たちも踊りましょうよ!」


「あのな、貴族の舞踏会だぞ? 田舎のダンスパーティーとは訳が違う。それに、ついぞ庭の門で経験しただろ? 我のような魚人が貴族の群れに飛び込めば、つまみ出される」


「え〜、せっかく来たのに~」


「それに我は踊れぬ」


 もう、ダンスは諦めた。


「アラベラさん。お屋敷の外は鎧を着た兵士が多いのに、中に入ると急に少なくなりますね?」


「舞踏会は優雅な場所なので、物騒な持ち物を会場に持ち込みたくない、貴族の方達もいます。なので、舞踏会が終わるまで衛兵を目の届かない場所に配置していますわ」


「アレもコレも貴族ファーストなんですね」


 せっかく来たのだから、招いて頂いたアラベラ嬢の婚約者を見ておきたい。


「アラベラさんの婚約者さんはどこにいるんですか?」


「まだ、お見えになっていないようです」


「ふ~ん。平気で未来の花嫁に醜いとか言う男が、どれほどのモノか見ておこうと思ったんですけど」


 師匠は「これ!」と小さく叱責したので、片手を口に添え、とぼけた顔で誤魔化す。


 アラベラ嬢は表情に影を落としながらも、遠い過去の記憶を、愛おしく思いながら話してくれた。


「ご理解頂けるかかわりませんが、もう、十年も前のことです――――」 

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