裂け目
おつ
「ここは……いい思い出は一つもないな……」
俺は重い口をあけながら言う。
吐き気や倦怠感が体を襲う。
それながら耐えられるものの、気分を害することに変わりはない。
「だ、大丈夫ですか?」
「か、帰った方が……」
「いや、……このまま行こう……なんだか嫌な予感がする。」
俺は公園を回ることにした。
~~~
『やめて!やめて!』
公園に響く俺の声。
しかし、止めてくれるものは誰もおらずみなただただ傍観するのみ。
関わりたくなかったのかもしれない。
しかし……
俺はもう逃げ道はない。
『このエアガン最新のやつなんだよ!お前にあてて楽しむことにしたんだ!』
『や、やめろよ!!』
『うるせぇ!』
怒号が飛ぶ。
そして、——は俺に向かって銃を放った。
『ッッ!!!……ひぐっ……うぅ……』
『ハハハハハハ泣いてるぜこの豚!』
『アハハハハハハハハハハハ』
俺の頭の中に嗤い声が聞こえる。
それは決して……楽しいものなんかではなかった。
~~~
「くそ……ぶっ殺してやる……」
「ら、蘭葉さん……?」
「お、お兄ちゃん!」
「あ、悪い……つい……」
二人を怖がらせはしない。
俺は殺気を抑えると、さらに進む。
そして、俺の中で特に記憶に刻まれた「あの場所」に着いた。
「ウっ!……」
俺は吐き気を催す。
俺はそのまま吐いてしまう。
「お兄ちゃん!」
「さすがに帰った方が……」
俺の耳には二人の声は聞こえない。
動揺しすぎている。
こんなに動揺しているのには訳がある。
俺が見ているそのベンチに「裂け目」が出てきていたのだ。
俺は何が起きているかわからない。
ただ異世界につながるべく裂け目だと感じてしまった。
「な、なぜだ——」
「ハロ~」
その裂け目から声が聞こえる。
しかし、二人には聞こえていないようだ。
「な、なんなんだ!?」
俺は裂け目を警戒する。
しかし、その声は以外な答えを出した。
「ふふ……フハハハハハッッ!!!この我より強者がいるとは……この世界も侮れんのう……」
な、なんだ!?
「待っておれ……我がこの世に降臨するとき……お前も我の踏み台にしてやろう……」
俺は裂け目が閉じていく。
俺はその言葉が癪でおそらく「女性」の声だったがそんなのは関係ない。
「マナデバフレーション」
俺は裂け目にその魔法を打ち込む。
この魔法は魔力の上限ギャップを下げるという魔法だ。
つまり、異世界からつなげられる魔法を使えなくなると考えて使った。
そもそも俺の異世界侵入妨害結界を貼っているため魔力の消費が激しいと予想した。
「来るんじゃねぇクソが。」
「な、なんじゃと!」
その裂け目は急速に閉じていく。
「お、覚えておけ!!!」
そしてそのおぞましい裂け目は閉じていった。
第91話終わり
そしてそいつは帰っていった。




