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聞いた

蘭葉の……過去

「へぇ~パンケーキが好きなんですね~」


「ああ、あのバターが乗ってんのが良いんだよ!食べたらもっちりしてていいんだよ!」


「私も食べたくなってきたな~」


「お兄ちゃん!私も食べたい!」


「僕も——」


「お前はダメ!」


「なんで!?!?」


俺らは雑談に花を咲かせていた。

見上さんの好きなものや趣味について聞いたり、俺の好きなものや趣味を話したりしていた。


俺の目的……というか疑問は見上さんの察知能力だ。

俺の隠蔽を見破ったその実力は計り知れない。

俺より高度な隠蔽を使って実力を隠しているのかも……


それとも……神様だったってオチは……ないよな?

いや、ヘラクレスが感知できない以上それはないだろう……


とにかく、得意なこととか聞いてみるか……


「見上さんは得意なこととかないの?」


見上さんは少し考えこんだ後、俺に言った。


「そう……ですね……得意と言えることでもないんですが……

よく、()()()()()()のが得意と言われますね……」


お!ビンゴ!これは……なにか掴めるか……?


「ちなみに……それって生まれつきですか?」


俺は彼女に聞いた。

返答には時間はかからなかった。


「そうですね。生まれつき……だと思います。どちらかと言うと遺伝子ですかね?

私の祖父が目が見えない人だったんですが、私が近づくとすぐわかるんですよ!」


ほう……血筋……か……

ヘラクレスが調べたはずなんだけどな……

あいつ……やっぱ頼りになんねぇな……


「そうなんだね……おじいさんと見上さんはどっちの方が人を見つけるのに長けてるの?」


見上さんはまた少し考えたあと、こう言った。


「多分、私だと思う……目が見えないっていうのもあるけど人を見つけるのは自信があるから!」


!?……この自信……なんだ……?違和感というか……

どうしてここまで言い張れる……?


「私はね!将来迷子の子を助ける人になりたいんだ!」


俺は……強く胸を打った。

この言葉、この自信を……見たことがあったからだ。


~~~~~

異世界


「お~い!マナ?あんま離れんなよ!スキルの持続時間が切れちまう……」


「はいは~い!それにしても生意気になったな~このAランク冒険者の「マナ」様に向かって~」


「御託はいいから……早く倒しに行くよ……」


「了解~」


マナ。不思議な女性だった。

初めて会ったときはAランク、それもギルドでもトップの実力を誇る

最強の盗賊。俺はあこがれていた。


異世界に行き、順調にレベルが上がり、ソロでクリアできないクエストが発生した。

その時、同じ悩みを抱えていた「マナ」と一緒にパーティーを組み、俺らは仲良くなった。


「よろしく!」


「はい……こちらこそ……」


最初は逆らわないほうが良いかななんて思っていたが、時間が経つにつれて彼女の

裏側を知った。


だらしない、金遣いが荒い、洗濯ができない、盗み癖あり、と

最悪な性格がそろっていたのだ。


まぁ、そのおかげなのか俺も遠慮なく彼女と話すことができた。


「気を付けろよ?今回はAランクの依頼。エルダーリッチ3体の討伐。

なかなか手ごわいぞ……?」


「大丈夫だって!私たちが負けるなんてあるわけないだろ?」


「はぁ……大丈夫かな……?」


俺たちはそんな感じでいつも依頼をこなしていった。

何か月か経つと俺らは親友のようになっていた。


「聞いてくれよ~ランバ~バーの店主がさ~」


「お前が全面的に悪い……」


「おい!?まだ何も言ってないんだけど!?!?」


「謝ってこい!」


「だからまだ何も言ってないって~~」


こいつは結構泣き虫だということが発覚した。

おいおい……Aランク冒険者様が泣き虫?


新人冒険者が聞いてあきれるぜ……


「なぁ?ランバ~」


「ん?」


「私はな~人を見つけるために冒険者になったんだ……」


「へ~そうなのか……」


「軽いな!?おい……まぁ、いいか。しかしいくら経っても見つかんなくてな……」


「ほう……それで諦めそうになったって?」


「違う違う!本当に私は冒険者でいいのか不安なんだよ……」


「?」


「家族を養うために~とか、生きていくために~とか、私にはそんな大層な理由はなくて……どうしたらいいんだろうな——」


「はぁ?知らねぇよ?」


俺はマナに言ってやった。


「周りがどんな大層な理由だろうがお前の意思で始めたんだろうが?

それなら胸を張っていいぜ?俺なんか、「とりあえず気分で入ってみる~?」みたいな

感じで入ったからな」


「なんだその理由?」


「まぁ、まとめると、俺みたいなやつもいっぱいいるから安心しなってこった。」


「く……くははは……あははは……WWW」


「お前……草生えてんじゃねぇよ……」


「その言葉の意味は分からないが、まぁいいか!私は必ず探し出してみせるぜ~!!」


「じゃあ相談料一メタルな。」


「金取るのかよ!?」


こいつは自分ならできる。そう決まって言う女だった。


そう、その夢が叶えばよかったんだけどな……


残念ながら夢は叶わなかった。


第59話終わり


……

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