ずっと一緒に
眠すんぎ(いつも言ってる
「おっしゃ~歯磨きするで~」
「「お~」」
俺たちは全員風呂に入った後、歯磨きをすることにした。
「ねぇ~蘭葉~宿題終わった~?」
「やったに決まってんだろ?舐めんなよ?この俺様をだれだと——」
「は~い誇張はいいので早く歯磨きして寝て頂戴。」
「……は~い……」
俺たちは洗面台に向かった。
「よ~しお前は掃除用歯ブラシな~マリハ~」
「ふざけん……な!」
「お兄ちゃん~取って~」
「はいは~い(ほっこり)」
「何ほっこりしてんスカ?」
「うっせ黙ってろ害虫。」
「ひど!?ひどすぎじゃ無いっスか?」
ああ……ほんとは魔法で取れるのに俺に頼んでくれるあたり好きやわ~
「ああ、この子を産んでくださった方……ありがとうございます……」
「その創った人ぶち殺したのは誰だっけな~ね~蘭葉さん!」
「……やっぱ掃除用歯ブラシでいいか?」
「ああ!嘘嘘ごめんなさい!」
俺に冗談は大概にしとけよ?(でも殺したのは本当!!)
さっさと歯磨きしよ……
「蘭葉さん~しっかり磨いてくださいね~」
「うっせお前が言わなくても分かってんだよバーカ。」
俺たちは歯磨きを終わらせた後、寝室がある二階に向かった。
「私お兄ちゃんの部屋で寝る~」
「分かった~っじゃ俺はこっちで寝ますんで、許可は取ってるんで、」
マリハは荒南の部屋を寝室にするようだ。
もともとここは、寝室だったのだが荒南が母さんと一緒に寝たいそうなので普通におもちゃしかない。あとベッド。
ベッドはきれいなのでマリハは大丈夫だろう。
さて……もう事前に消臭&抗菌は済ませているので大丈夫だろう。
……気まずい時間が流れる。
ハルは俺の部屋に興味津々のようだ。
俺は……拒絶されないか心配だ……あ!そうだ!
「ハル。」
「?なに?」
俺はハルに向かって手を差し出す。
「?」
「手を出して?」
「分かった……」
俺はハルと手を重ねると俺はある魔法を発動させる。
心の中で唱える。
(従者紋……解除……)
俺がその言葉を唱えると、ハルの手の甲にあった薄い従者紋は消えていき、
頭の中に俺の別人格の声が響く。
『契約は解除されました。』
よし!これで大丈夫!
「ハル。お前の手の甲に刻まれていた従者紋は消えた!だからもう本当の自由だ!」
そうだそうだ!忘れていたよ……人間界……下界に来てからすぐ解除してあげればよかった。
「あ……ありがとう……お兄ちゃん……!」
ハルは泣きながら俺に抱き着いてきた。
……ベタだな……ベッタベタだけど……嬉しいな……
感謝を素直に受け取るのも、いいかもな!
「よっしゃハル!辛気臭いのはこれまで!さっさと寝るぞ!」
「うん!」
添い寝は……やめようかな……?
「お兄ちゃん……?」
ハルは俺がベッドに入らないことを不思議がっているようだった。
「早く寝よ……?」
上目遣いでハルは俺に問う。
ハルさん……それは反則だって……!
「わ……分かった……じゃあ……」
俺はベッドに横になるとハルと反対の方向になって寝ようとした。
「お兄ちゃん!こっち向いて!」
「は……はい……」
俺は恐る恐るハルがいる方向に振り帰るとハルの顔と目と鼻の先という距離まで近づいた。
こう見ると……ハルの容姿……やっぱりきれいだな……
幼いからかわいい……そう思っているのだろうがハルは違う。
この子は「綺麗」なのだ。
そのパッチリとした目。凛とした鼻。顔のバランスも完璧と言っていいだろう。
将来この子はもっともっと美人になるのだろうと思った。
「お兄ちゃん。私ね!最初会ったときはお兄ちゃんがすごい怖かった。」
そう……だろうな……ラファエルの近くにいる天使共はほとんど女性だからな。
無理もないだろう……それがどうしたのだというのだろう……
「でも、私の奴隷紋を一瞬で消してくれたり、ラファエル様の呪縛から解放してくれたり、
私に、新しい世界を見せたりしてくれて……怖いとかの感情が全くなくなった!
本当に……ありがとう!お兄ちゃん!」
ハルはそう言うとにっこりとした表情で俺を見つめる。
初めて会ったときと対照的な明るい顔。希望がある顔だ。
絶望的な表情だったのに……変わったな……
「こちらこそ、ありがとう。そして、これからよろしくな!ハル!」
「……!……うん!」
ハルは俺の腕の中に収まるように包まって、スゥースゥーと寝てしまった。
俺はハルをぎゅっと抱きしめると、すごく……もう語彙力を喪失するほど幸せな気持ちだった。
きっと……これを見せたかったんだろう……ヘラクレスは……
俺はハルの耳で小さくささやく。
「俺はお前が守る。安心しろ。ずっと一緒だ。」
俺はそう一言添えると意識を夢の中に放り込んだ。
第45話終わり
次は「ハル」の視点からの蘭葉を描いたお話を入れたいと思います。
見てくれると嬉しいです!




