昔
ああ……
「が……ががががががが……がっこう……」
「どうしたんすか!?震えだして……」
「お兄ちゃん!」
ああ……だめだ……おれ……おれ……は……
意識が遠くなる。
「学校」。その単語を聞いてよく思わないのは俺だけだろうか?
否、みんな誰しも苦い思い出を持っているはずだ。
俺はその経験が特に強いだけだ。
しかし、それが体に出る。いくら異世界に行ったってメンタルが強くなったわけではない、
いや、確かに強くはなった。しかし、トラウマが強いのだろう。
自分でも恐ろしいほど恐怖している。
立つのがつらくなるほど、
声が震えだすほど……
「蘭葉!しっかりして!」
「私が悪かったわ!ごめんなさい!」
「あ……やば……い……」
俺は、倒れた。
~~~~~~~~~
「んぅ……ここは……!?」
俺は周りを見渡したがなにもない……それこそヘラクレスが使っている 白い部屋 に
居た。俺のスキルを発動させた覚えがない。そこじゃない……そこじゃないんだ!
俺の……俺の体が…… 透けている !?
『ど……どういうことだ!?』
「結局お前もそちら側なんだな。ヘラクレス。」
「ええ。あなたはやりすぎた。」
『!?』
気が付くとそこには二人の男がいた。
一人は俺がよく見慣れた男だった。
ヘラクレスなのだ。
しかし、俺の知っているヘラクレスではなかった。
丁寧な口調でもう一人の男と話している。
俺はヘラクレスに話しかけた。
『おい!ヘラクレス!ここはいったい——』
「あなたは終わりです。もうこんなことはやめてください。」
だめだ……俺の声が聞こえないらしい。
そして……こいつは……誰だ?
ヘラクレスと同じくギリシャ神話の布で体を覆っている。
しかし、本能で悟った。
こいつは違う。
何かが違う。
他の奴らと……全く違う。
この世界とは別の世界から来たのかってほどに違う。
強すぎる。
ヘラクレスが異常なほどに強いのにも関わらず、こいつは……ヘラクレスを瞬殺できるほどの強さだ。
しかし、なぜだろう……この男を見ていても……恐怖を感じることがない。
普段の俺ならありえない。なのに……
「で?別に悪いことやってないじゃ~ん。」
「やってるんです!見てくださいよこの資料!」
ヘラクレスは手を虚空に伸ばし、紙を出すと、強調するように読み上げた。
「天使の奴隷撤廃!神の神力の使用制限!人間界への行動制限!
さらには……神たちの神殿を数々も爆破して……」
『爆破!?』
こいつ……ヘラクレス同様にやばいな……というか……いったいここはどこなんだ!?
「だって~俺の計画の邪魔だったんだから~」
「その思考がダメなんですよ……はぁ……なんで神の中のトップオブトップがこれなんでしょう……はぁ……」
「そんな二回もため息吐くんじゃねぇぞ……これでも最強なんだぞ?」
「へ~……」
「興味ねぇな……まぁこの俺、「ゼウス」に対等に戦闘できる奴はいないしな!」
『ゼウス……!?』
ってことは……これは昔の話……俺はどういう状況なんだ!?
第24話 終わり
遅くなり申し訳ございません。




