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ナラ、変えてしまおう

俺は蘭葉として色々なやつを見てきたが、結局自分にとって満足できる人間はいなかった。それは自分が自分じゃないみたいで、操作されてるようなゲームのキャラクターのように、自分の人生ではなく他人の人生をずっと生きていたようだった。


今だってそうだ。操作されてると自分自身が思う。これは誰かの意思が自分の中に存在しているようで……あのヘラクレスに言われて異世界に行ったあの【決断】をしたあの日。なぜ自分があの決断をできたのか、

それは……自分の決断ではなかった。からかもしれない。きっとそんな混在した意識がなければ俺はいじめられっ子のままだっただろう。


なぜ俺はこいつを助けようと思った?なぜ幼馴染を殺そうとしたやつを仲間に加えようと思った?なぜヘラクレスがいじめっ子を殺そうと言ったときに逆上した?それは…きっと……この場所が「内側」だからだ、外側のやつらは……どう…思って……


〜〜〜〜

「また気付いた……何回目だよ…」


彼は……いや僕は蘭葉に投げかけるように言う。


「せっかく面白いストーリーにしようと思ったのに〜気付いちゃうのかな〜?」


僕はいつも通り、彼の記憶を抹消、意識を書き換える。


「やっぱり君は恐ろしい、ゼウスの生まれ変わりとしての素質。そして…ヘラクレスしかなし得なかった「第四の壁」を自力で認識している……」


僕は、ヘラクレスと取引をしたんだ、

彼を見守り、彼を助け、そして…彼を導け、とね、


ヘラクレスは取引に乗り気じゃなかったみたい、でもそんなのは関係ない。これは俺の「ストーリー」だ。楽しいく、そしてハッピーな物語に導いてやるよ。蘭葉。


189話終わり

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