全軍出動
一方……
「ど、どうするんですか!置いてきちゃいましたよ蘭葉さん!」
「わかってます……少し黙っててください……」
言葉に怒気がこもる。
私はいったい何をしているんだ……
「早くヘラクレス様のもとへ……」
「ええ……」
「え、ヘラクレス様って……神位第一位の――」
「そんなこと言ってる暇はないんです!急ぎますよ!」
私はゲートを神界に直通させる。
そして出来たらちょうど目の前にヘラクレス様が立っていたのだ。
「失敗したか……?」
ヘラクレス様は少し顔が暗い。
「いえ、ファルティア様と蘭葉様が交戦中です。」
「そうか……」
ヘラクレス様はそういうと魔方陣を自分の口の前に展開し声を発する。
「全ヘラクレス軍に告ぐ。ファルティアのいる冥界を叩き潰す。」
「なッ!?」
「えッ!」
「そ、そんな……」
三者三様の驚き方をしてしまったが……まさかその命令を下すとは……
「……わかりました。私はどこの配置に?」
「お前は戦略部隊だ。そこでお前の頭脳と指示力を使って存分に活躍してこい。以上だ。」
「はい、分かりました。ヘラクレス様。」
「これで蘭葉さんを助けに行ける!」
「現地の状況を知ってるのはマリハ。お前と、ジルクリス。お前だな?」
「はい……」
「なんだ?今更止められないぞ?外の世界に侵入し人を殺していたお前たちに慈悲はない。」
こんなヘラクレス様は久しぶりだ。いつも怒ることはないのにこういう時は真面目に対応してくれる。
しかしヘラクレス様はいつもより取り乱していらっしゃる。
今は怒っているからかもしれないが……別の理由な気がする。
長年使えてきた私にはそう感じたのだ。
「では各自配置について待機しろ。俺が入り口を作る。」
「了解です。」
「そしてマリハ、ジルクリス。お前たちは俺と一緒に来い。」
「はい!」
「あぁ……」
どこか、ヘラクレス様は焦っているように見えた。
~~~~~~
「ッ!……リンクが切れた……あいつの仕業か……ファルティア!」
ヘラクレスは自分の玉座に思いっきり拳をぶつける。
幸いここはヘラクレスの領域のため誰も入ってはこない。
「……またあいつか……あいつの仕業なのか……クソっ!!!」
彼は頬を叩いて冷静になる。
「俺は蘭葉を幸せに導かなくてはならない……あいつに……反抗するために……それにこれは……ゼウスとの約束だしな……」
彼は冥界から部下がかえって来るのを待つことにした。
「ゼウス……お前は本当に……運勢最悪な男だな……」
第186話終わり
遅くなり申し訳ない。




