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ファルティアの臆病

こんにちは!!

りるくです。

今回の小説楽しんでいってください!

「なんて……無力なんだ……」


「仕方ないですよ……もともと私たちみたいな存在が神に敵うと思うこと自体が間違っているのかもしれません……」


「そうか……そうだな。仕方ないのだ。」


「クソ……」


「……急ぎましょう……」


バルスさんは足早に冥界に開けた穴を利用して逃げるよう提案する。

しかし拳をぎりぎりと握りしめている。


「……バルスさんも……悔しいんですね……」


「そうです……悔しいですよ……でも……でも……」


「わかっているバルス嬢。だが急いでヘラクレス殿に知らせないと……」


「そうですね……」


「早く行きましょう!」


蘭葉さん……無事でいてください……


~~~

「まったく……その程度か?神様は……?」


「チっ……なぜすべての攻撃が無効化されるのよ!?」


ファルティアは焦る。

そして俺に上段蹴りを繰り出す。


「だからお前は物理攻撃は効かねぇよ。それにお前……元から物理で攻撃するようなキャラじゃないだろ?」


「そ、そうだが……」


「お前……まさか元から攻撃向きの特性じゃないだろ?」


「……」


「沈黙は肯定とみるがいいな?」


「……ああ、そうだ。私はもともと死霊術師だ。その力を使ってここの一番上に降臨したのだ。」


「まぁそうだろうな……この冥界に降臨するならこれ系の術師だとは思ったが……」


俺も元から思っていたのだ。どうやってこの冥界を屈服するに値する主として選ばれたのか?

どんな能力の使い手かと思ったが……


「お前は死霊を使い冥界にいる人たちを脅かしここの主として君臨した。そうだな?」


「……ああ……」


「そして最近になって他の世界の住人の魂を回収し始めたのは……なにか理由があるのか?」


「フンっ……さあな——」


「おい、お前は結局神として降臨しているがしていることは厄神だ。」


「……」


「お前にどんな事情があろうとやっていることは殺人なのだがそれについて弁明はあるか?」


俺は殺気を全力に出してファルティアを威圧する。


「……」


ファルティアは沈黙を貫く。


「自分で悪事を働いたことを認識しているならなぜやめない——」


「仕方なかったのだッ!妾もこんなことを望んでするわけがないだろう!」


彼女は逆ギレする。

俺は想定していたことの通りだと思い、話を聞く。


「……理由は聞こう。」


「妾は民たちを助けたかったのだ……」


聞いたところによると長生きする人が多すぎて冥界に来る人が少なくなってしまったのだ。そのせいで、魂からとるエネルギーが少なくなってしまったのだ。そりゃそうだ。冥界に来る人がいなかったらエネルギーはそりゃないだろうっつぅ話だ。


「そのせいで民たちが生きるためのエネルギーがなくなってしまったのだ……」


ッ!そうか……冥界の民たちにとって俺たち人間の電気やガスが魂からとれるエネルギーなのだ。


「だからといって人を殺していい理由には——」


「だったら民たちを見殺しにしろとッ!?」


「いいかげんにしろよッ!!!お前は生きるのに莫大なエネルギーがないと食っていけないと聞いた!そのエネルギーはどこから来ている?そうだお前が言う「魂のエネルギー」だろ?じゃあお前が消費しなければいい話だろ?」


「いや……それは……」


「冥界の外に行けばいい話だよな?ましてや神界に行けばいくらでもエネルギーの補充ができるというのに……お前はそれをしなかった。自分可愛さに勇気を振り絞れず安全圏から罪のない人を殺した大馬鹿野郎だ……お前は……」


「……ああ……その通りだ……」


「じゃあお前に反論する資格はない。お前の判断ミス……いやお前が臆病なせいじゃないか!」


「……」


「いや、すまなかった。おそらくお前にも抱えているものがあるんだろう。部外者の俺が口を出してしまって申し訳なかった……」


俺は素直に謝罪する。

ファルティアはこの状況になにか納得がいっていないようだ。


「……納得がいかないって顔だな……」


「ああ……」


「なら!」


「ッ!?」


俺は彼女の手を取る。


「民たちに勇気を見せつけにいこうぜ!」


「ッッ!!!」


俺たちは城下町の方向に足を向ける。

おそらく彼女は非難されるだろう。


しかしそれも必要だ。


だが俺が仲間だという風に認識させることで俺に依存させるとかなんとか口実をつけて助けたいと思っているだけなのだ。


はぁ……お人よしなのかな?人よりも……


第181話終わり

この話はファルティアの臆病さを責めるシーンもありましたがそれと同時に主人公の「お人よし」さを見せれたらいいなと思って作った話です。

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