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流浪荘の管理人  作者: 中酸実
第三荘 隣人の事情
26/33

倉庫Ⅱ 管理人のお料理教室

遅れてしまい申し訳ないです。ちょっと用事が重なってしまいまして・・・

今回は前話の別視点、逆水(さかみず)さんのほうです。

倉庫も入って本編のスピードがかなり遅くなってる・・・巻いた方が良いのかなぁ。

 病院から帰ってきた大櫻(おおざくら)さんと別れてから悩む事約30分。

 大櫻さんとの待ち合わせの時間の間にご飯を炊き、約束の時間まであと10分と言ったところだろう。


「さて、作ろうか」


 気合を入れるために小さくガッツポーズをする。

 作る内容もバッチリと頭の中に把握して調理に取り掛かろう!

 と言っても、ある程度の料理は忘れたくても忘れられないほど頭に入っており、この料理もその中の一つだ。


「材料はっと」


 一人暮らしにはいささか大きすぎる冷蔵庫(支給品)を開け材料を確認する。

 今回のこの料理もはっきり言って冷蔵庫の在庫を見て思いついたのだ。


「キャベツに豚肉っと、後は適当な野菜かな」


 二人前ならキャベツ 4分の1

      豚バラ肉 100~150g

      ニンジン 1本

      もやし 主に2分の1袋


 が、主な材料だ。

 下ごしらえに関してだけど・・・もやしの下ごしらえをして、キャベツとニンジンを食べやすい大きさに切り分けるだけ。

 それだけで終わり!


「塩麹は・・・こんだけあれば十分だな」


 一昨日の買い物で買ってきた塩麹がまだ余ってて良かった。

 本当は自前で作りたかったが流石に時間がない。


 塩麹を使ったこの料理はなんとなく実家を思い出す。


『ご飯よ~椿も桜も降りておいで』

『お母さん、今日のご飯はなに?』

『豚とキャベツの蒸し料理よ』

『ええ~私、キャベツ嫌い。にぃに、代わりに食べてよ』

『桜、ちゃんと食べないと大きくなれないぞ』

『ええ~』


 ・・・いかん、昔を思い出してちょっと感傷的なってしまった。

 この世界は元居た世界と同じ様な世界、魔法も錬金術もない、帰れる見込みも・・・ない。


「あ、そうだ時間」


 約束の時間はとうに過ぎていてる、また倒れてないかと心配で急ぎ足で玄関に向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 結論から言うと、大櫻さんが倒れているわけでもなく扉の前でボーっとしていた。

 ・・・いったいどうしたのだろう。


 それはさておき、部屋でキョロキョロしている大櫻さんを置いて調理に取り掛かる。

 フライパンの上に野菜→お肉の順番で載せてお酒を大さじ1を回し入れたら、一番上に塩麹を適量(意外と塩が濃いので気を付ける事)乗っける。

 そして蓋をして中火でお肉の色が変わるまで蒸す!これだけ!


 後は、塩麹の塩加減や風味、肉のうまみなどが重力によって最下層の野菜に染み込む。

 水などは野菜から染み出てくる水分で十分なのでうま味を逃すことなく全体に行き渡らせることが出来るのだ。

 それに何と言っても余計な手間暇が要らず、それでいて野菜のビタミン等の栄養素を損なうことなく摂取できるこの料理は今の大櫻さんにはぴったりの料理だ。


 鍋敷きとフライパンを持って リビングに出ると大櫻さんが期待に満ちた目で見ている。

 これは・・・ちょっと緊張するがそれっぽく言ってみようかな。


「はい、豚肉とキャベツの塩麹蒸しお待ちどうさま」


 鍋敷きを取り出してテーブルの上に置く。

 っと、ここでご飯と味噌汁を持ってくるのを忘れていたのに気が付く。


「ちょっと待ってくださいね」


 急いで台所に戻って肝心の品をよそってくる。

 あれだけメインディッシュを堂々と置いておいて、後から主食と汁物を用意するのは恥ずかしいな。


「お待たせしました、ではいただきましょうか」


 フライパンの蓋に手を掛けた時の大櫻さんの表情はおもちゃを待ちきれない子供のように目を光らせてた・・・うん、可愛い。

 大櫻さんの顔を写真に撮りたい衝動をぐっとこらえて。


「じゃあ、開けますね」


 やっぱ、スマホで撮っとけばよかったなぁ。


「おおっ!」


 歓声を上げた大櫻さんはまるで子供の様で・・・見ているこちらもほっこりとしてしまう。 


 おいしい、おいしいと声を上げながら食べている大櫻さんを見ているとなんだかとても心が穏やかになる、母さんもこんな気持ちだったのかな・・・


「おかわりさ!」

「わかりました」


 塩麹の効きすぎか久方ぶりに食べるこの料理は記憶の中の料理よりしょっぱい感じがした。



 そして事が起きたのは食べ終えてから片づけようした時だった。


「洗い物は私がするよ!」


 流石に食べてばっかりだと申し訳ないと思ったのか大櫻さんが立ち上がろうとした瞬間・・・


「あっ!」

「危ない!」


 急に立ち上がった拍子にバランスを崩してしまった大櫻さんに身体が反応する。

 食器を片付けるために中腰だったのもあってなんとか両腕で受け止めることに成功。


「だ、大丈夫ですか」


 腕の中にすっぽりと納まる形でもたれ掛かる大櫻さんに声を掛ける。

 大きな瞳がこちらの顔をとらえる。

 良かった意識は無事みたいだ・・・心なしか震えてる?

 ともった瞬間

 

「い、イヤッ」


 華奢(きゃしゃ)な体つきからは想像できな程の力で引きはがされ驚く。

 引きはがした本人は視線を落したまま、まるで何かに怯えるように両腕を抱えている。

 急変した態度に困惑してしまう。


「大櫻さん・・?」


 こちらを見ずに見えない何かに怯えるさまは精神が不安定の様だ。


「ご、ごめんなさい!」


 そう言い残すと走って部屋から出ていく大櫻さんに・・・


「あっ」


 としか言葉をだせなかった。




「どうしたんだろう」


 まさに豹変(ひょうへん)と言っても過言ではない変わりように頭が混乱する。

 でもあの感じ、まるで見えない何かに怯える様だ。


「トラウマ・・・」


 ふと出てきた単語に確信が沸いてくのは、先の大櫻さんの行動がそれに起因するものだとは

 けど、お隣さんの自分に何ができるだろう。


 いや、もうお隣さん・・・他人って言えないような関係だ。


「ここでやらなきゃ、男が(すた)るってもんだよな」


 気合を入れるために小さくガッツポーズをしたがこの手の問題は下手に手を出すと取返しのつかない事になるので、どうしたものかと考えを巡らせるのであった。

この章は本編で後二話です、次の話は一気に解決までもって行く予定なので長くなるかもしれません・・・

何時もの事ですが感想、指摘などあればどんどん言ってください作者のモチベ向上に直結します。

では、これで失礼します。

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