倉庫Ⅰ バイトっ娘の憂鬱 (蔦村学入居フラグ①)
おはようございます、テスト期間で吐きそうな中酸実です。
今回から3話連続で番外編となります、一応番外編ですが後々本編とも繋がっていくと思います。
・・・サブタイの元ネタ分かる人いるのかな?
「ありがとうございました!・・・はぁ~」
「蔦村、お前一週間前からそんな感じだぞ。シャキッとしろよ」
本日で7回目のため息に先輩からのありがたい叱咤が飛ぶ。
コンビニ内に客がいないことを良いことに普段の言葉遣いだ。
「だって古坂先輩、今日も『あの人』が来なかったんですよ!」
日増しにため息が増えていく原因となった『あの人』、私は『あの人』に心を奪われてしまったと言っても過言ではない。
「お前が『あの人』に会ったときに、私はシフトじゃなかったから分からないが。お前の話を聞く限り妄想の産物にしか聞こえないぞ」
『あの人』を妄想の産物扱いにするとは何たる失礼。
「『あの人』は妄想の産物ではありません!この僕が見て感じたのだから確定的に明らかなのです!」
『あの人』の直後に来た女性にも同じようなバカにされたが。絶対に『あの人』は現実にいた人だ。
本当・・・何で名前を聞かなかったのだろう、あの時の自分をぶん殴りたい。
私の憂鬱は一週間前から続いているのだ。
~一週間前~
「ありがとうございました~」
コンビニのバイトを始めてからもうすぐ3年が経とうとしていた、大学の入学と同時にこのバイトを始めたが今では惰性が混じっているのは否めない。
ふと、そんな事を考えてしんみりしていると。
「蔦村~、私もうそろそろあがるよ」
控室から古坂先輩の声が聞こえる。先輩こと古坂美里先輩は学部は違うが同じ大学の先輩だ、バイトを始めたころからずっとお世話になっていて大学に関しての色々な事を教えてもらった。
「次の時間のシフトの子、来ていないみたいですが何かあったのですか?」
先から気になっていたのだが、この時間なら先輩の代わりに来るシフトの子がもう来ているはずだ。
「ああ、それなんだけど。あの子、今日は遅れるって連絡があったよ」
「何分ぐらい遅れるのですか?」
「30分位かな」
その返事を聞いて心の中が少し暗くなる。ピークは過ぎたとはいえ深夜みたく人が全く来ない時間帯なわけでもない。
その時間帯を私一人でしろと言うのか・・・
「僕一人だけですか?先輩は残ってくれないのですか?」
一人じゃ流石にきついので藁にも縋る思いで、先輩の助力を求める。
「すまん、今日この後合コンあるだ。・・・何としてでも男をGETしないと!!」
私の救難信号をあっさりと切り捨てた先輩は目に炎を焚き付けながら意気込んでいた。
先輩、黙っていれば美人なんだけどな、口を開くとね・・・
「・・・分かりました」
どうせ今回の合コンも失敗するだろうと言う心の声を押し込めつつ、了承の意を示す。
「じゃあ、頑張れよ~」
そう言うや否や先輩は全速力でコンビニを後にした・・・あ、これ時間ギリギリなやつや。
流石に三年近く一緒に仕事をしていると大体分かるものだ。
「取りあえず、次のシフトの子に愚痴ってやる」
誰もいない店内で黒い言葉を呟く。
「・・・それにしても、合コンかぁ」
店内に人がいないことを良いことに軽く独り言が出てしまう。
生まれてこの方、男性にあまり興味がないと言ったら語弊が出てしまうが。要するに『いい人』に出会ったことがない。
「何がいいんだろうなぁ・・・」
チャララララ~ン チャラララ
そんな事を呟いていると、入店を知らせるチャイムが鳴る。
「いらっしゃいま・・・せ」
今や反射となった言葉を言いかけて止まってしまう。何故なら全く予期していなかった人物が来訪したのだ。
「え、何で?」と言う考えが脳裏をグルグルと回っている。
来訪者は『男性』だ。普段、男性はコンビニなどあまり来ないし、来たとしても人(主に女性)が少ない深夜帯のはずだ・・・こんな時間帯には来ないし、それにその男性の服装も変わっていた。
スーツなんて、働く女性が主に着るものであって働くことが殊勝と言われるこんな世の中じゃ男性は着ないはずだ。
そんな不思議な男性が買い物籠を手に弁当コーナーで品定めをしていた。
弁当かおにぎりかで手を取って悩んでいたみたいだがどうやらおにぎりに軍配が上がった様だ。
と、そんな感じで他人ごとのように観察をしていた私だが。
トン
目の前に買い物籠が置かれることで、自分の事だと思い直す。
・・・ダメだ、生まれてこの方。男性と接したことが殆どないせいで動きがさび付いたブリキみたいにカックカクになってしまう。
「え、えっと、こちら3点でまっ、間違いないですか!?」
緊張しすぎて声が上ずりまともに発音できてない。
「は、はい・・・」
レジを売っている間はもう、自分が自分ではないような感じがしている。
「さっ、3点でにっ、275エンです!」
自分でも、何を言っているのかわからない。男性と対面すると私ってこんなにも緊張するのか。
「あの、375円じゃないですか?」
男性の言葉に水に打たれたように冷静になる。
冷えた頭でさっきの言葉を反芻する、さっきなんて言った私・・・
『さっ、3点でにっ、≪275エン≫です!』
や、やってしまったぁ!
少し熱をもっていた頭も今では急速に冷えた・・・と言うよりはむしろ背筋が冷たい。
「すっ、すみませんでした!!!」
腰を折り曲げ誠心誠意で謝罪する。世の中の男性はこうしたちょっとしたことでかなり気を悪くする。
実際、私も街中で男性とぶつかったときにはひどく怒られてしまった事もある。
どんな罵詈雑言が飛び出してくるかと姿勢をそのままに身構えていると。
「誰にでも失敗はあります」
えっ?
宥める様な声と言葉に思わず面を上げてしまうが、男性は構わずに言葉を続ける。
「そんなに過剰にならなくても、わざと間違えたことではないのは分かってますから」
励ます言葉に思わず男性の顔を見てしまう。今まであまり気にしてはいなかったが、目の前の男性は痩せすぎず太すぎないといった体形をしており・・・要するに、テレビの中に映る男性よりも十二分にかっこよかった。
「は、はい!ありがとうございます!私、精一杯頑張ります!」
期待に応えるために思わず身を乗り出して声を出してしまう。
「あ、あのレ、レジの方をお願いします」
あ、そうだった。
「す、すみません」
謝罪の言葉を挟み、レジを打つ。体は未だに熱を持っているが、目の前の男性の為にと思うと自然と身体が動く。
「改めまして、375エンです」
「はいどうぞ、ぴったり375円です」
男性からお金を受け取る際、手に触れたがそれだけで熱くなってしまう。
男性は商品を受け取るとそそくさとコンビニを後にして行ってしまう。
「有難うございました!またお越しください!」
自然とここまで気持ちのいい挨拶が出た事に自分でも驚いた。
男性が去っていった入口に熱を持った視線で見ている自分に気が付く、今までこんな事なかったのに。
「ああそうか、恋するってこう言う事なんだ・・・」
未だに握りしめている硬貨が温かくなるのを感じながら、初めて芽生えた感情を噛みしめていた。
・・・頭の中には遅れて来る次のシフトの子を怒るという考えはすっかり抜け落ちていた。
Q;あなたは何をしていましたか?
A;小説を書いていました。
・・・テストは!?
ってなわけで、テスト勉強のストレスから執筆に走ってしまいましたが私は元気です。
今日中に活動報告を上げるかもしれません。
一応補足なのですが、男性が来るかもしれない深夜のシフトは意外にも人気です。
ですので蔦村は深夜にシフトを入れてない、もとい入れられないので男性に会ったことが殆どありません。
ってなわけで、キャラ紹介!
蔦村 学 (ツタムラ マナブ)
年齢・21歳
職業・コンビニのアルバイト
趣味・観察、
好物・ファッション
家族・母、姉
誕生日・4月13日
大学三年生。
主人公の事を一目ぼれしちゃった女の子、馬鹿な発言やドジっぽい行動が目立つ。




