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流浪荘の管理人  作者: 中酸実
第一荘 あべこべ世界の管理人
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第十室 逆水の答え

 突然のジャンル分別に戸惑っている中酸身です。

 警察署を出ると空が茜色に染まっている。ポケットに入っているスマホを見ると時刻は五時を過ぎていた。書類の手続きでいつの間にかこんな時間になったようだ。


「けど、本当に良かったのですか?」


 そう言って送りの刑事さんが聞いてくる。東屋さん夫婦や西野さんは書類整理があって送迎には来れなかったようだ。彼らの代わりに送迎してくれる刑事さんは田丸たまるさんと言うらしい。愛らしい童顔にアホ毛が目立つ甘栗色のショートカットが特徴だ。


「ええ、あの時に東屋さんにも言いましたが。自分にはあの部屋に愛着があるのです」




~時は少しさかのぼり~


「ありがたいお話ですが、丁寧にお断りさせていただきます」


 そうはっきりと言うと東屋さんは張り詰めた空気を維持して問う。


「あのアパートは逆水さんのような男性を住むには、いささか安全面に不安が残りますが」


 どうやら理由を聞きたいようだ。


「確かに少しボロい建物ですが、自分にとってはあの部屋は住みやすい所なんです」


 それも理由にあるが実際の所は近いようで全然違う、この世界で元居た世界の名残を残すあのアパートから出るのが怖いだけなのだ。

 真剣な目で訴えたことが功をそうしたのか、東屋さんはふぅとため息をつき緊張した空気を解く。


「わかりました。元々、男性個人の意見には逆らいづらいので逆水さんが意思を示した時には、我々の決定権はありませんでした」


 じゃあ、何故理由を聞いたのか・・・


「その顔は疑問に思っているようですね。理由を聞いたのはあなたに親近感が湧いたからです。きちんとした『良識』のある男性が、何故あの部屋に住む事を決めてたのか。そこに理由があるのかをね。ただのおせっかいですよ」


 そう言い終わると彼はメモ帳を取り出し何かを書いてからこちらに手渡す。


「これは僕の連絡先です、逆水さんはまだこの国の事をよく知らないので何かと苦労すると思います。相談したい時にお使いください」

「あ、ありがとうございます」


 連絡先の紙を鞄の中にしまうと彼が申し訳なさそうに口を開く。


「お手数をおかけしますが、色々と書類を書いて貰わなければなりません」


 これに関しては仕方がない何しろこの世界の事は全く分からないのだから。


「分かりました」


 さて、一筆したためますか。



 時は現在、上機嫌に喋る田丸さんの話し相手をしているとどうやら目的地に着いたようだ。


「でね、その時の警部ったら・・・ってもう着きましたね。・・・ザンネンデス」


 行きより時間がかかったのは気のせいだろうか?

 パトカーから降りながら礼を言う。


「ありがとうございました、おかげで大分と助かりました」

「いやいや、ホント良識のある男性で良かったよ・・・ホントハモットハナシタカッタケド。あ、これ連絡先です」


 そう言って紙を渡してくる。何だろうこの世界は連絡先を渡すことがこの世界での挨拶なのか?


「男防の方でこのアパートの大家さんに話をつけておきました。後で挨拶をお願いします」


 挨拶は社会人の礼儀だ、後で101号室にお邪魔しよう。


「では、色々ありがとうございました」


 ぺこりとお辞儀をすると彼女は驚いて早口になる。


「い、いえ。私は男防として当然の責務をお、行っただけで」

「お世話になったら感謝の意を示す。社会人の礼儀じゃないですか」


 顔を上げて彼女に言う。礼をするのがそこまで驚くことかな?


「で、では私はこれで失礼します!・・・ダンセイニオレイヲシテモラッタノハハジメテダ」

「あ、はい」


 そう言って彼女はあわててパトカーに乗り帰っていった。

 さて、大家さんに挨拶しに行こうと思い振り返ると、件の大家さんがいた。


「話し終わったかぇ」


 ・・・正直びっくりしましたホントに。


「はい、これからよろしくお願いします『大家さん』」

「ようこそぉ『流浪荘』へぇ」


 そう、101号室での話し合いの時、男防が来る前に聞いたのだが。話していた若い女性と中老の女性は元居た世界の大家さんの娘と奥さんではなかった。

 それぞれ、中老の女性は大家さん、そして若い女性は202号室の住人だった。



 大家さんと二三会話した後、もう遅いからと自室に戻るよう言ってくれた。ご厚意に甘え203号室に行くと、ベットにタンスと言った最低限の家具が置かれていてちょっとした安堵感が出る。


 一先ず風呂に入りベットに腰掛けるとあることを思い出す。


「そうだ、連絡先を貰っていたんだった」


 そう思い立ち、スマホをで連絡先を追加しようとした時にあることに気が付く。


「え!?」


 流石のDoc〇moもこの世界までには電波を飛ばせないようだ・・・

 さて、この章もひと段落ですね。次は別視点のお話、その後は閑話を挟みまして次章となります。

 今回のキャラ設定はこの人です。



田丸 南 タマル ミナミ

年齢・24歳

職業・男性保護防犯課 巡査

趣味・男性のプロマイドを見る事

好物・ポトフ

家族・母、姉

誕生日・6月6日

座右の銘・物を知るには、これを愛さねばならず、物を愛すには、これを知らねばならない


 雑務担当の(この世界では)一般の女性。だが、個性豊かな面々についていけないことも・・・

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