9話 元ダンジョン暮らしの少年と、〝家族〟。
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「イチカ姉さん。だまっていてごめんなさい。わたし、姉さんにお願いがあるの。ユーリくんは、あのダンジョンでわたしを救ってくれました。だから、わたしはユーリくんの力になりたい。ダンジョンを出たら行くところがないっていうユーリくんの居場所になってあげたい。だから、ユーリくんとこの家でいっしょに暮らしたいの……! 今日だけじゃなくて、これから、ずっと……! 家族として……!」
そこまでひと息に言いきると、凛としたフタバのまっすぐな、それでいて揺れる懇願するような瞳がイチカを見つめる。
それに対して、イチカは。
「ええ。いいわ」
さらりとそう言って、微笑んだ。
「うん……! わたしだって、わかってる……! いきなりそんなこと言われても難しいってことは……! でも……え?」
…………え?
「えーっと、フタバちゃん? だから、いいわ……よ?」
もう一度さらりとそう言いながら困ったように小首を傾げるイチカ。
説得する気満々で気合いを入れまくっていたフタバとそれを固唾を飲んで見守っていた俺は、そろって鳩が豆鉄砲を食らったようなまぬけな顔になった。
「え? あれ? でも、だって……ね、姉さんは、反対……しないの……? 今日会ったばかりの男の子と……住むのに……?」
「そ、そうだ! イチカ! 俺みたいな他人といっしょに住むなんて、そんな大事なことを軽々しく決めるのは!」
あまりにも混乱しすぎて、お願いする側のはずの俺とフタバのほうがそんなことを言いだす始末だ。
「ううん。ユーリくんはもう他人じゃないわ。それに、軽々しく決めたわけでもないの。……ねえ、ふたりとも聞いて?」
静かに首を振ってからそう前置きすると、イチカは俺とフタバに向けて諭すように語りかける。
「ねえ、考えてみてほしいの。もし、今日ユーリくんがフタバちゃんと出会わなかったら、どうなっていたのか。もし、ぜんぜん違う場所にいたとしたら。もし、ユーリくんが……生まれていなかったら」
そこで言葉を切ると、一度そっと目を閉じた。
「そのどれかたったひとつで、いまのこの幸せな光景はなくて、もっとずっと暗く、寒々しいものになっていたんだと思う。わたしがきっと……耐えきれないくらいに」
――幻視する。明かりすらつけない真っ暗な部屋の中。ただ独りイチカがテーブルの上に突っ伏し、泣きくずれる光景を。
それは、とてもざわざわと俺の中のなにかを、熱くかき立てるような、光景で。
「だから、今日そのどれひとつもなしに、命より大切なわたしのフタバちゃんを救ってくれたユーリくんは、わたしたちにとって運命なんだと、思うの。もうだれともかけがえのない、大切な……!」
そこで閉じていた瞳を開くと、イチカはまぶしいものを、愛おしいものを見つめるように、目を細めて微笑んだ。
「だから、そんな大切な、かけがえのない男の子がわたしたちと家族になってくれるなら、もうわたしには、うれしい以外にないわ……!」
「イチカ……姉さん……!」
――居候の、つもりだった。
あのダンジョンの中、半ばフタバに強引に誘われて、ほんの、ほんの軽い気持ちで。ほかに行くあてが、住むところが見つかるまでのつなぎだって。
でも、でもいま俺を見つめるイチカの瞳は、本当に愛しい〝家族〟を見つめるまなざしで。
イチカに懇願するフタバの真剣な思いは、まぎれもなく大切な〝家族〟に向けられるもので。
だから、俺は。
(ふふ。ユーリったら)
(もう……! ユーリ……!)
「「ユーリくん……!」」
「俺からも、頼む……! お願いだ……! 今日から、あんたたちの〝家族〟にならせてくれ……! フタバ……! い、イチカ……姉……!」
〝家族〟になりたい、と精いっぱいの想いをこめて、そう俺は懇願する。
すると――
「「うん……! もちろん……! ユーリくん……!」」
――左右から同時に、力いっぱいに抱きしめられた。
少しだけ年の離れたイチカと、同い年のフタバ。今日からの俺の新しい姉妹に。
ということで、主人公ユーリ少年、フタバとイチカの美人姉妹という新しい〝家族〟を得ました!
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では、また次回
「元ダンジョン暮らしの少年と、混浴。(俺、俺……断ったよなっ!?)」前編 にて。
すみません! 文章量とメインにしたいキャラの関係上、前後編に分けます! 9月8日昼投稿予定です!
これからもよろしくお願いいたします!




