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15話 呼びだされた元ダンジョン暮らしの少年、観て視て、視られる。

すでに応援いただいた方、本当にありがとうございます! 特に、高評価いただいた方、本当にありがとうございました! ローファンのランキングにいられるのは、みなさまのおかげです!


主人公視点にもどって。

では、本日もよろしくお願いいたします!





 のぞきこんだ小さな液晶画面の中、肩だしのややコスプレチックな巫女服を着た〝幼女〟がロング缶を片手に満面の笑みを見せる。


『ぐびっ、ぐびっ、ぷはぁ〜! いっひゃっひゃっひゃ! 今日も朝っぱらから酒が美味い! 待たせたのう! みなのもの! 〈双天〉ツクヨ姫さまの生ナマなまちゃんねる! 本日も配信再開じゃ〜! 今日もリスナーからの貢ぎものを着て、可愛いわらわがおとどけするぞ〜! で、さっそくじゃが、この服、どうかのう?』


(可愛い〜!)


(肩が出てるのが可愛いくていいね〜! 似合ってる〜!)


(可愛いです! 可愛いです! 本当に、すごく、めっちゃくちゃ可愛いです! ああ……! いますぐお持ちか――)


 ぶるり、と液晶画面の中のツクヨがその小さな体を震わせた。


『うひっ!? お、悪寒じゃと……? こ、このわらわが……? ど、どうやら自動抑制機能(フィルタリング)にひっかかってしまったものもおるようじゃが、まあ伝わってきた途中まではすごくほめてくれていたようじゃし……。うむ! みなのもの、ありがとうの〜! わらわもこの貢ぎもの、とても気に入ったぞ〜! では、わらわの寝姿をながめていたやや寝不足のものたちもそうでないものたちも、仕事に学校……は、いまは休みかの? まあ、とにかく気をつけて行ってくるのじゃぞ〜!』


(くそ〜! オレも飲みてえ……! やべ!? 遅れる! 行ってきま〜す!)


(ツクヨひめさま! おはよー! あそびにいってくるねー!)


(ふふふ。今日休みの私、高みの見物。ドヤァ)


「あ! ほら! 見てください! ユーリくん! ツクヨ姫さまが小さな体で、あんなに一生懸命に手を振って……! ああ……! 可愛いです……! 可愛いですよね、可愛いですよね……! あ、ほら! いま執事くんもちらっと……! ああ、ふたりとも可愛い……! この執事くんって、いつも夜ツクヨ姫さまがおやすみされるまでは、となりで添い寝してあげてるんですよ……! ああ、なんて可愛いんでしょう……! わたし、その真ん中にはさまって、ふたりにぎゅ〜って、左右から抱き枕にされるのが夢なんです……! ああ……!」


 ――ああ。こりゃ自動フィルタリングとやらにひっかかっても、無理もねーな?


 朝の陽射しの中、東京の真ん中――からは少し外れた地区にあるちょっとした広場のベンチに着古したジャージの俺と黒セーラー服のフタバは並んで座っていた。


 お気に入りだという生配信動画を観てちょっと興奮しすぎな横のフタバの痴態?をやや引き気味にながめながら俺が思っていたのは、「あー、ツクヨってコイツかぁ」ということ。


 金のない俺は、今朝道中のコンビニでフタバに買ってもらった、キャラクターがプリントされた缶のオレンジジュースをくっと喉に流しこむ。


 空になったばかりのその表面をまじまじと見つめれば、そこには見覚えのある――さっき配信動画で見たばかりの〈ツクヨ姫〉があきらかにモデルとわかるデフォルメしたキャラクターがでかでかとプリントされていた。


 昨日、リビングでくつろいでいるとき、フタバから「ツクヨ」って聞いて、どこかで聞いたような気がしたけど、なんてことはない。ごくあたりまえの話だった。


 〈ツクヨ姫じるし〉。超人気配信探索者であるツクヨ姫の真似をしようと、誤って酒類に手をだす子どもたちがでないように考えだされた、ほとんどのジュース類にプリントされた一定年齢までの子どもに大人気の商品。


 これを持って、配信でいっしょに「かんぱ〜い」とするのが一定年齢までの子どもに大人気の遊びらしい。……たぶん、意味もよくわかってないだろうけど。


 って言っても、俺も昔はてっきり探索者協会のマスコットだと思ってたしなぁ。


 よくわからずに母さんにせがんでたっけ。「やだ! おれ、ツクさまとおんなじのがいい!」って。もちろん買ってくれたのは、〈ツクヨ姫じるし〉のほうだけど。


 もう二度ともどらない日々を思い、少しだけ感傷的な気分に浸りながら、今度はフタバの観ている動画を()()()()()()でもう一度視る。


 ――ああ。こりゃすげーな。


 魔素を集中した、紫の炎を宿した目で視たツクヨ。それはまさに、異質の存在だった。その透けた小さな体から伸びる無数の微細な魔素の線。そして、それとは別の二つの大小の太さの線。


 太いほうは、いまツクヨがいる〈無限螺旋〉とかいうダンジョンか? けど、この結びつきの深さ。半分一体化しているようなもんじゃねーか。


 それよりは細いもう一本は、外……地上か? あー、そーか。つまり、【迷宮掌握(ダンジョンハック)】って地上と各ダンジョンとツクヨ(無限螺旋)の三点を結ぶことで――


『んん〜! なにやら、むずがゆいのう! まだ朝っぱらだというのに、わらわをそれは熱〜い視線で視ておるものがおるようじゃ。けれど、よいのか? 別にわらわはかまわぬが、おぬしらは今日、そんなにも暇をもてあましておったじゃろうか?』


 ――液晶画面の中、愛らしい仕草で正面をまじまじと見つめながら、ツクヨがきょとんと首を傾げる。


「……え? あ!? ユーリくん! まずいです! もうこんな時間! 急がないと探索者協会から指示された時間に遅れちゃいます!」


「え!? あ、ああ! わかった!」


「よーし! 昨日、連絡を受けたときからずっと不安でしたけど、朝からツクヨ姫さまの愛らしいお姿を観れたおかげで気合いが入りました! 行きましょう! ユーリくん!」


「ああ! 行くぞ! フタバ!」


 探索者用の防護スマホをしまい、飲みほした空き缶を近くのゴミ箱へと放りこみ、フタバと俺は立ち上がる。


 目指すは、視界の彼方に映る巨大ビル――探索者協会本部。




ということで、ヒロ……イン……? という挙動を見せるヤバげなフタバと、主人公ユーリ少年と〈双天〉ツクヨ姫さまが間接的な邂逅をはたす、の回でした。タイトルどおり、たがいに視て、視られています。


直接会うのは、いつになるんでしょうか。

とりあえずいまは、召喚された探索者協会本部が先ですが。


あと、空き缶をユーリがぐしゃぐしゃに握りつぶす案は、プリントされたツクヨ姫さまがなんだかかわいそうなのでやめておきました。




さて、作者からみなさまにお願いです! 本作を面白いと思って頂けましたら、是非ブクマや☆5による評価、いいね! による応援をお願いいたします!


読者様の応援が作者の活力、燃料です!

それをモチベに作者は馬車馬のごとく書きますので!



では、また次回「呼びだされた元ダンジョン暮らしの少年と、案内役」で。

まだ〈五輝星〉ではないですが、新キャラが登場します!

9月17日昼更新予定!


これからもよろしくお願いいたします!

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