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異世界召喚された勇者に付き添う僕  作者: 丘松並幸
第1章 グリーム王国編
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牢屋生活

 牢屋生活1日目。


 ……寒い。

 それに体が痛い。

 それもそうか、石の床の上で寝たんだから。

 僕は今、城の地下室にいる。

 まぁ、地下室という名のただの牢屋だ。

 僕は拘束されたまま馬車に揺られて城まで帰って、拘束を解かれずに牢屋に入れられた。

 ここまでする必要は全くないと思う。

 つまりケイトが指示してやらせているのだろう。

 こういうところも僕は嫌いだ。

 いつも僕に対して過剰な対応をしてくる。

 本当に面倒くさい。


「カエデとアドア、大丈夫かなぁ……」


 薄暗い牢屋の中、気絶する前に見た2人の顔を思い出す。

 騎士のあの様子では僕以外に危害を加えないとは思う。

 それでも最後まで見ていないから少し心配だ。

 おそらくカエデは監視を付けられて城の中、アドアは注意されて前の生活に戻るといった感じだろう。

 ケイトは今回のことをあくまで僕がやったことにしたいみたいだから、カエデはもちろんでアドアも特に何かの罪を問われるということはないだろう。

 それでもやっぱり心配だ。


「ロア・ノーブル、朝飯だ。さっさと食べろ」


 壁についている小さな窓が開いてそこからパンが投げられる。

 人が2人寝転んだらいっぱいになってしまう程の広さしかない牢屋の壁には城の廊下と繋がっている窓があって、そこから昨日もご飯を渡された。

 ちなみに入るときはその窓の隣にある黒意石の扉から入った。

 黒意石というのは魔法による攻撃を防ぐ最硬度の石だ。

 魔法はもちろん、その硬さから物理的な攻撃まで防ぐという優れものだ。

 その扉以外の壁は一定以上の衝撃を受けると爆発して部屋が崩れるようになっているらしい。

 牢屋に入れられる前に兵士が楽しそうにベラベラと喋っていた。

 だから脱出は無理だ、と。

 もちろんできることなら脱出して国から逃げ出したい。

 このままだとどんな目にあってしまうかわからない。

 ジトンで考えていた通り、殺されてしまうのが一番あり得る。

 でももう逃げられないだろう。

 例えこの牢屋から出られたとしても僕だけの力では逃げきれない。

 だから僕はもう終わりなのだ。

 僕はこれ以上何も考えず、この何もない牢屋の中で1日ジッとして過ごした。


 牢屋生活2日目。


 何もしていないせいか、昨日はあまり寝れなかった。

 他にも原因はあると思うけど。

 僕は狭い牢屋の中で限界まで体を伸ばす。

 狭すぎるから全く体を伸ばせていないけどやらないよりかはましだ。

 牢屋の中では動きが少ないから時間が長く感じるのは気のせいではないはず。

 他の牢屋仲間にも聞いてみたいところだ。

 こんな感じで2日目の牢屋の中を不快適に終える。


 ――と思っていたけど違った。

 それは昼過ぎのこと。

 昨日のようにジッとしていると聴き慣れた声が聞こえてきた。


「ロア様、助けに来ました! 早く逃げましょう!」


 窓を見るとそこにはアドアがいた。


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