クリスマス
たっちゃんの部屋に移り住んで、2ヶ月たった。
家賃が浮いて凄く助かる。
定時で帰れる僕が自然と食事を作るようになったので、食費も全額彼女が出してくれる。
さらに、電気、ガス、水道代なども彼女持ちだ。
はっきりいって、コレは嬉しい。
だって、給料全額が僕のお小遣いになるんだぜ。
浮いた金で、僕は今度のクリスマスでプロポーズするつもりだ。
用意した婚約指輪の裏側には、R&M と彫ってある。
彼女に敬意を表して、彼女のイニシャルのRを先にしてもらったものだ。
「たっちゃん、いえ、龍子、僕と結婚してください」
食後のコヒータイムに、彼女にプロポーズ。
「まあ、ありがとう、嬉しいわ。でも、貴方と結婚するには条件があるわ」
「えっ」
僕の渾身のサプライズだったつもりだったが、彼女は驚いた風もなく言葉を続けた。
「あなたが総合職になって、立派な男であることを証明して頂戴」
なんだ、そんな事か。
条件なんて驚かすから一瞬戸惑ったが、大したことのない条件だ。
僕にはCM出演やマスコミの取材など、一般職男子の宣伝役として、会社にかなり貢献しているんだ。来年の職種転換試験なんて、合格は決まったも同然じゃね。
まあ、結婚が一年延びただけ、もう同棲してるんだし、実質、夫婦みたいなもんだろ。




