第十三章13-1南の大陸
どこもかしこも腐っていやがる!
だが俺は生き延びる。
生き延びてやるんだ!!
奴隷戦士アインの生き延びるための戦い。
はたして彼は生き延びることが出来るだろうか?
13-1南の大陸
南の大陸サージム大陸が見えてから早三日目、俺たちはルシフルの港町へ向かっていた。
「この辺は岩礁が多い。これ以上陸には近づけないぞ?」
「何処か岩場でいいから陸に上がれる場所は無いか? 俺の『鋼鉄の鎧騎士』が上陸できればいいのだから」
既に船は陸にかなり近づいている。
この入り江の向こうにルシフルの港町があるそうだ。
そこまで行けば船が陸に着けられるくらいの場所がもっとあるそうだが流石にそこまで行けば見つかってしまう。
ロバートの話だとルシフルの港町の住人は全て秘密結社ジュメルとか言う連中らしい。
どんな狂った集団だか知らないが少なくともその力は侮れない。
「鋼鉄の鎧騎士」を作り上げようとするほどの財力があり、そして技術力もあるようだ。
「しかし、そのジュメルとか言うのは一体なんなんだろうね?」
船酔いがだいぶ治まったルデンは少しやつれてはいるが元気を取り戻したようだった。
「かなり昔からある集団らしいな。伝説の『巨人戦争』の黒幕らしい。その昔は北のホリゾン公国を裏から操っていたとかの噂もあるな」
ホリゾンが?
俺はそんな話を聞いたことは無かった。
しかしそこまで大きな組織だとは。
俺がそう思ているとロバートは思い出したように付け加える。
「もっとも、今では女神様の逆鱗に触れ組織自体はほとんど壊滅に近い状態になったらしいがな。今のルシフルの港町もあいつらの最大拠点らしい」
特に興味もなさそうにそう言う。
しかしそれでも「鋼鉄の鎧騎士」を作れるのだ、それ相応なのだろう。
「なあアイン、ふと思うのだがルシフルの港町には『鋼鉄の鎧騎士』のパーツが有るのだろう? お前の『鋼鉄の鎧騎士』の外装だがそこには使えそうなパーツは無いかな?」
オクツマートは入り江の向こうを見ながらそう言う。
「中身はオリジナルでもの凄く強い『鋼鉄の鎧騎士』でも流石に外装があの中古品じゃお前さんがガレントの奴とやり合う時に心配になって来るぞ?」
「だからと言ってルシフルにちょうどいい外装があるかどうかわからんぞ」
「良いじゃないか、どうせろくでも無い連中なのだろう? 手持ちも無くなってきたし丁度いいだろう」
ベリアルも話を聞いていたらしくこちらに歩いてきながらそう言う。
「あんたらがあの連中を壊滅してくれるなら俺たちロブの村も大助かりだからな。今後あいつらと関わる事も無くなるだろう」
ロバートもそう言い俺を見る。
俺は苦笑を浮かべロバートに手を差し伸べる。
「協力してもらえると言う事だな?」
するとロバートは手を握り返して来て言う。
「乗り掛かった舟だ。夜になったら奇襲をかけよう。連中は夜でも見張りを立てているが死角がある。そこから攻め込めば制圧できるだろう。分かっている限りあちらには『鋼鉄の鎧騎士』が三体いるはずだ」
ロバートはニヤリと笑いながら頷く。
俺はまたもや苦笑を浮かべる。
「よし、夜を待って奇襲をかけるぞ! 連中の『鋼鉄の鎧騎士』を倒して港町を制圧しよう!」
俺たちはここで夜を待つ事となるのだった。
次回:「ルシフル強襲」
俺は神を信じない。
評価、ブックマーク、ご意見、ご感想いただけますと励みになります。
誤字、脱字ありましたらご指摘いただけますようお願いいたします。




